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数十分後、リビングのローテーブルには、バジルとチーズのピザと、マヨネーズ風味のベーコンポテトピザが並び、四人でシェアしながら楽しむ。
「そう言えば、純は中学時代、部活でバレーボールをやってたけど、高校に行ってからも続けたんだっけ?」
「ああ。続けたよ。バレー部の中では背が低めだったけど、時々、試合にも出させてもらえたし、まぁ何とか続けられた」
恵菜がチラッと純に眼差しを向けると、彼も気付いたのか、視線を絡められた。
「相沢さんは、高校時代、部活は?」
「私は合唱部でした」
「ああ、だから声が凛として綺麗なんだな……」
「あっ…………ありがとう……ございます……」
声が綺麗だなんて初めて言われた恵菜は、伏目がちに頬を赤らめる。
(そっか……。谷岡さんって、けっこう背が高いって思ってたけど、バレーボール部だったんだ……。そういえば、谷岡さんって、オリンピックに出場した有名な選手に似てるかも……)
年齢よりも若々しい純を、チラリと見ながら、恵菜は感じていた。
「豪と高村さんは……俺の予想だと、高校時代は帰宅部って感じだな」
純が本橋夫妻に顔を向け、ニヤっと唇を緩める。
「バレたか。あの頃の俺は、部活をやるなんて頭になかったからな。彼女を作ろうと躍起になってた」
「私も帰宅部でしたけど、ピアノ習ってたんでっ! っていうか、谷岡さん、そろそろ旧姓呼びをやめて、本橋で呼んで下さいよぉ……」
四人の青春時代のエピソードが飛び出していくうちに、時は穏やかに流れていき、時刻は二十一時を過ぎていた。
「じゃあ……私、そろそろ帰りますね。お邪魔しました」
恵菜は立ち上がり、豪と奈美に一礼する。
「いえいえ、こちらこそ、突然呼び出してすみません。純。相沢さんを送ってやれよ」
「恵菜、今日は本当にありがとう。色々余計な事を口走っちゃってごめんね……。夜道の一人歩きは危ないから、私も谷岡さんに送ってもらった方がいいと思うよ」
夫妻の提案に、恵菜の心臓が大きく震え出し、加速していく。
「でも、歩いて十分の距離だし、一人で……帰れるよ……」
恵菜が遠慮していると、隣に座っていた純が、スクっと立ち上がった。