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「おーい、そろそろ行くのじゃー!」
「はーい、少しお待ちを~!」
下の玄関から聞こえるルカの催促に返事しながら、バタバタと準備を続ける。
……だって今日は、ついに――
魔法学校!!
聞くだけでテンションが爆上がり!
テンション上がりすぎて、昨夜は全然眠れなかったもんね!
思い返せば……最初は、そう。
魔法学校に入って、魔法を習って、仲間と冒険して――みたいな王道ファンタジー生活を夢見てたのに……
いざ異世界に来てみたら、奴隷で、泥水すすってたわけで。
でも!
でも!!!
どういうわけか巡りめぐって――
俺、異世界の魔法学校に入学します!!
「よーし!」
勢いよく叫んで、家の中をあさりまくって両手いっぱいの袋を抱え、玄関へダッシュ!
「何をしておるのじゃ」
「え? 買い物だからいっぱい買うだろうなって」
「はぁ……そんなもの、いらないのじゃ」
「?」
「これを使うのじゃ」
ルカはそう言って、袖の中から何かを取り出す。
それは、少し折り畳まれた――魔皮紙。
「これは?」
「これは【転送魔皮紙】じゃ。買ったものをこの上に置くと、家の倉庫に転送されるのじゃ。……常識なのじゃが」
「ほぇ〜」
そういや、そんなのがあったような……なかったような?
なんか買い物って言うと、荷物を持たされて文句言ってるイメージしかないんだよなぁ。
「ワシより……人間生活、長いじゃろうに……」
「?」
最後の一言は、ゴニョゴニョとしか聞こえなかった。
あ、そういえば――
「ここって、どこの国なの?」
確かこの世界には、グリード、ミクラル、アバレーの3つの国しかなかったはず。
「ここかの? えーっと……ここは確か、ミクラル王国の末端――モルノ町なのじゃ」
「おおおおおおおお!!!」
「な、なんなのじゃ!? 急に!」
「いや! べ、別にっ!」
ミクラル……ミクラル王国!
ってことは、もしかして……みんなに会える可能性あるんじゃない!?
確か、ユキちゃんもみんなの所に居るはずだし!
……う、でも……今の俺、そこまで強くなってないし。
あのとき、あんな言い方して別れちゃったし……今は仕事優先しとこう。
会いたいけど――会いたいけど……!
「まぁ良いのじゃ。ほれ、そんなものは置いて、もう行くのじゃ!」
「はーい!」
――こうして、朝から俺たちは、
明日に備えるためにモルノ町の市場へと向かった。
楽しみ!!