『God』からのメッセージを読んで綾子は考える。
(『God』さんのプロフィール画像のリスは軽井沢のリスだったのね。でもここに住んでいる訳じゃないから私が軽井沢に住んでいると言っても特に問題ないのかな?)
『God』の今の住まいが東京の世田谷だと聞き余計に綾子は親しみを覚えていた。
なぜなら綾子も結婚していた時に世田谷に住んでいたからだ。
(アヤシイ人ではなさそうだから大丈夫かな?)
綾子はそう思い軽井沢に住んでいると伝える事にした。
【メールありがとうございました。ずっとお忙しかったようでお疲れ様です。仰る通りプロフ画像はアントニン・レーモンドの教会です。そしてご想像通り私は軽井沢に住んでいます。ここへ来る前は東京の世田谷にいたので『God』さんが世田谷に住んでいるとお聞きし驚きました。今日はこれから録画していた神楽坂氏のドラマを観る予定です。それではまた】
綾子は送信ボタンを押した。
ピコン
仁のノートパソコンが鳴った。もう見なくても誰からのメールなのかすぐにわかった。
仁はすぐにメールを見る。
(お、やっぱり軽井沢だな。って事は町立図書館へ本を送ればいいんだな。で、ん? 以前は世田谷に住んでいた? そりゃまた偶然だな)
仁は驚きつつすぐに返事を送る。
【ドラマ鑑賞中だろうからすぐに返事はしないで下さい、邪魔するつもりはないんで。以前世田谷にいたと知り驚きです。凄い偶然だね。よかったら次にメールをくれる時に世田谷のどのあたりに出没したかを教えてくれると嬉しいです。意外とすれ違ってたりしてね。神楽坂のドラマは結構評判いいみたいだけれど感想も聞かせて下さい。じゃあドラマ鑑賞楽しんで!】
ピコン
綾子のノートパソコンが鳴った。 綾子は気になったのでドラマを一時停止するとメールをチェックする。
『God』からすぐにメールが来たので綾子は微笑む。
(このメールにすぐ返信したらまたチャットみたいになっちゃうかな?)
そう思いながらも好奇心がむくむくと湧き上がりすぐに返事を書いた。
【ドラマは最新話を見ているのですが出だしから笑えました。神楽坂氏はなぜ小説とは全く違ったタイプのドラマを書くのでしょうか? 面白いからいいのですがそれがとても不思議です。世田谷でよく行った場所はデパートの豊島屋とか砧公園、岡本民家園とか? その辺りでしょうか? ではドラマ鑑賞に戻りますね】
ピコン
仁は仕事そっちのけでメールをチェックした。
(お? 広い世田谷の中でも割と近くにいたんだな。成城側か二子玉側か? どっちだ?)
仁はすぐに返事を打ち込む。
【僕の最寄り駅は成城学園前駅です。もしかしてエンジェルさんは二子玉側?】
ピコン
【そうです。でも成城側にも出られます。 あの辺りはどちらにも出られるので便利ですよね】
ピコン
【そうそう、意外と便利だよね。それに緑も多いし、あ、すみません、ドラマ観て下さい】
ピコン
【お気遣いありがとうございます。では今から集中して観ます】
ピコン
【観終わったら感想聞かせて下さい】
ピコン
【わかりました。ではまた】
綾子はメールを打ち終わるとフフッと笑った。結局今夜もチャットのようになってしまったからだ。
綾子はドラマに集中する為にパソコンの電源を消すと神楽坂仁が原作を書いた『依子さんのディープな恋』のドラマに集中した。
一方メールのやり取りを終えた仁はパソコンに軽井沢町の地図を開く。
図書館で検索するとすぐにりっぱな町立図書館が表示された。
(ここだな…..)
仁はそう呟くと隣の部屋へ行き段ボールの中をガサゴソと探る。そして一冊の本を手にしてデスクへ戻った。
仁が手にしている本は『フロストフラワー』だった。
その後仁は図書館宛てに簡単な手紙を書いた。
『この本を希望している方が軽井沢町にいると耳にしましたので小説を寄贈します』と。
そしてそれをプリントアウトすると二つ折りにしてから本に挟んだ。明日出版社に行く用事があるので担当から送ってもらう事にする。一冊じゃあショボいなと思った仁は最新作を何冊か添えた。
そして仁はもう一度エンジェルにメールを送る。
【一週間くらいしたら町立図書館へ行ってみて下さい。多分『フロストフラワー』が見つかると思います。僕は『神』なのであなたの望みは何でも叶えます(笑)】
次の日綾子は仕事から戻りいつものように夕食と入浴を済ませるとパソコンへ向かった。
ドラマの感想を教えてと言われていたので『God』へメールを送ろと思ったが先に『God』からメールが来ていたようだ。
綾子はすぐに開いてみる。
【一週間くらいしたら町立図書館へ行ってみて下さい____】
(え? どういう事?)
綾子はびっくりしていた。この町の図書館には『フロストフラワー』がない事はわかっている。
以前綾子は町立図書館で『フロストフラワー』を探してみたがなかった。図書館に入荷リクエストを出してみたが新刊ではないしかなり古い本なので絶版になっていて無理だろうと言われた。
ネットの古本にも出回っていないし東京の古本街でも見つからなかったので諦めていた。
その本が一週間したら図書館にあると『God』は言っている。一体どういう事だろうか?
気になった綾子はドラマの感想と共に質問のメールを送った。
しかしすぐに返事は来なかった。
(今日はまだ帰っていないのかな?)
綾子は自分が無意識にそう思っている事には全く気付かずに小さなため息をつくとパソコンを閉じて早めにベッドへ入った。
コメント
6件
エンジェル(綾子)さん、楽しそう🥰 夢中になって Godさんとメールのやり取りしてる~.✉️💓 Godさんも 仕事そっちのけって....💓🤭ウフフ 一週間後、本を手にした後のエンジェルさんの反応が楽しみで、 ワクワクが止まりませ~ん😆💕💃🎵🕺🎶
恋が始まる前みたい💓なんとなく相手の事が気になり、何かしたいと思い、気が付けば相手のことを考えてる( *´艸`)フフフ♡ 「フロストフラワー」を手にした後の2人にどんな変化が起きるんだろな〜♪₍₍◝(*〃꒳〃*)◟⁾⁾♪ウキウキw 今はGod仁さんに綾子さんが少しずつ気を許してることが嬉しい🥹
水が染みてくるように少しずつ2人の心にお互いが入ってきているね〜😊🫰 チャット💬メール✉️も2人が楽しければ良し👌 「フロストフラワー」も1週間後には読めそうで、God仁さんに感謝だね、綾子さん😇