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「はい。僕は感情を持つ旧式のロボットです。人間に嫌われているのは十分承知しています。なので出て行けと言うのであれば今すぐ出ます。」
僕がこう返すとクロムさんは笑顔になりこう言った。
「君は真面目な少年だな。いやロボットか。わしらは別に君らのような旧式のことを嫌ってなんておらんよ。なぁエリー。」
「ええ。逆に感情がないロボットは無機質すぎて怖いもの。ねぇダニー?」
ダニーと呼ばれた男の子は「うん」と言いながらこくりと頷いた。そしてクリムがそしてダニーを見て笑いながらこう言った。
「まぁ、この子も旧式ロボットだからな。わしらが特殊かもしれんな。」
なんだって?この子ロボットなのか。気が付かなかった。僕の驚いた様子を見ながらクリムは続ける。
「わしらはなかなか子供に恵まれなくてね。わしもエリーも諦めていたんだが、感情の持つ子供型のロボットが発売されて、すぐに買ったんだ。一旦はそれで幸せだったんだがね。」
エリーが悲しい顔をしながらこう言う。
「私たちはダニーという名前をこの子につけて愛情を注いできた。でも当たり前のことだけど、ダニーは歳を取らずに私たちだけ歳をとって、私たちが死んだあとのこの子のことを考えるとね。最近はダニーを見るたびに心配に感じるわ。」
ロボットは壊れることはあっても歳をとることはない。ダニーが感情をもって見た目が人間であっても、人間とは違う。それは僕にも言えることだ。
「少なくともダニーは今幸せを感じていると思います。未来のことはダニー自身が決めていくことですよ。」
僕がこう言うと、夫妻は笑いながら「そうだね」と言った。しばらくすると充電が終わり、僕はこのシェルターから出ることにした。
「充電をさせてくださりありがとうございました。3人ともお元気で。」
僕がこう言うとクリムは、
「おまえさんも気をつけてな。こまめに充電を忘れるんじゃないぞ。」
別れ際ダニーが僕に向かってこう言った。
「ロボットのお兄ちゃん!また遊びにきてね。」
僕は笑いながら「また来るね」と言ってシェルターを後にした。夫妻とダニーがこれからどうなるかは分からないけど、少なくとも僕から見た彼らは幸せそうだった。
僕も元を言えばeveに対してカズヤさんの代わりに作られた存在だ。ロボット同士なら人より長く生きられるし、夫妻のような心配もしなくていい。
でもそれが良いことだとは何故か僕は思えないのだ。