テラーノベル
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神様が雷霆を放ったかのようにド派手に登場したのは、馬に跨ったロヴィーともう一人──見知らぬ若い女性だった。
「隊長、遅くなり申し訳ございませんっ」
「レン、あなた何、こんなところで油を売ってるの?!」
覆面達を蹴散らしながら近寄って来た二人は同時に口を開いた。
「……助かった」
荒い息を吐きながら、剣を杖代わりにして立ち上がったレンブラントは、なんとかその一言だけ返した。
対してベルは、予想外の展開にホッとして良いのか、更に追い込まれてしまったのか判断に迷う。
ロヴィーはレンブラントの部下であり、軍人だ。もちろん戦闘慣れしているはずだし、そこそこ腕が立つはずだ。
けれど冷静に考えて、この状況でまともに戦えるのは、ロヴィーだけとも言える。
怪我人であるレンブラントは、当然戦力にならないし、見知らぬ女性は黒いマントの中は艶やかなオレンジ色のドレス。茜色の髪をふんわりと結い上げた艶やかな美人だが、どう見たって剣を持って戦える容姿ではない。
そして自分は、剣の稽古は受けたが人を斬ったことがない。
見方は増えたが戦力は据え置きのこの状況で、ロヴィーに全てを任せるのはどう考えても無理がある。
ベルは雨で頬に張り付いてしまった横髪を乱暴に耳に掛けながら、打開策を一生懸命考える。
(やっぱ、自分を覆面達に差し出すことしかできないよね)
そんなふうに諦めかけていた。けれど、それは杞憂に終わることになる。
──キンッ。
いつの間にかロヴィーは、馬を降りて覆面達と対峙していた。
ぎょっとするベルを余所に、ロヴィーは一太刀で3人を斬り倒していく。こう言ってはアレだが、単身で戦っているせいもあってレンブランドより強い。
「隊長、動けますか!?私の馬を使ってくださいっ」
「そうよ、レン。ぼさっとしてないで、わたくしに付いて来なさい!!」
ロヴィーの言葉に被せるように見知らぬ女性は、レンブランドを怒鳴りつける。
酷い言われようだとベルは思いつつ、そっとレンブランドに視線を向けた。
「大丈夫ですか?肩ぐらいなら貸せますよ」
「いや、身体は問題ない。一人で立てる。だが……気持ち的にかなり辛いな」
この切羽詰まった状況で、レンブランドの心情まで慮るほどの余裕はベルにはない。
今はとにかく彼を安全な場所に逃がすのが先決だ。
「あっそうですか。じゃ……っうわぁ」
怪我人と女性が退場していただけたなら、ベルはこの場に残ってロヴィーの援護をするつもりでいた。
けれど雑な返事をした途端、レンブランドに身体を持ち上げられ、みっともない悲鳴を上げてしまう。
「ちょっと、私は残りますよっ」
「本当にあんたは、馬鹿なことばかり言うな。あんたがここに居たら元も子もないだ」
「だからって、ロヴィーさんを一人には──」
「あっ、ベル様ご安心ください。ラルクもマースもこっちに向かっています。すぐに合流するから大丈夫です!」
己の黒歴史を暴露されたことなど知らないロヴィーは、覆面達と剣を交じ合わせながら頼もしいことを言ってくれた。
その間にレンブラントは、もがくベルを強引に抱え込む。
「と、いうことだ。あんたは大人しく俺に抱かれていれば良いんだ」
「……そんなぁ」
情けない顔をするベルの髪を一房取って、レンブラントは口付ける。
「俺は見ての通り怪我をしている。だからベルが傍にいて欲しい」
「っ……!」
まさかの切り返しにベルは不覚にも息を呑んでしまう。
レンブラントはその隙を見逃さず、馬の脇腹を強く蹴った。
コメント
1件
はる。です。第56話読んだわ。 ロヴィーの颯爽登場、めっちゃかっこよかった!一太刀で3人斬り倒すとか戦闘描写の解像度が高くて刺さった。そして見知らぬ女性の存在も気になるし、レンブラントが「怪我してるから傍にいて欲しい」ってベルに甘える切り返し……ずるいよな、あれ。思わず息呑んだわ。 戦力が据え置きなのに打開策を必死に考えるベルの心情も丁寧で、続きが気になる展開だった。ラルクとマースも合流するっぽいし、次回も楽しみにしてる🔥
日暮ミミ♪
542
臣桜
48,719
鷹槻れん

1,179
#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
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