隙間からの誘い
突然だが、俺の昔話をさせてくれ、損はさせないぜ?
俺は小学5年生の時、当時仲が良かった、健太(仮名)親が離婚して引っ越すことになった、かといって、学校は転校しない。
家が変わるだけ…のはずだった。
この日から健太は急激に痩せ細っていった。
痩せ型の俺でも心配するほど
「大丈夫なのか?」
「何が?」
「いや、この所給食もまともに食ってねぇからさ」
「…お金が無くって…あはは…」
乾いた笑い声が聞こえた。
この日を境に健太はますますおかしくなって行った。
窓や、少し開いた隙間に喋りかけていた。
「ごめん、まだ行けないや」
「あと少しだけ…」
「分かってるよ、」
そんな言葉が聞こえてきた、
この会話を聞いた日から健太の姿を見なくなっていった。
最後に健太に会ったのは、下校の時。
「ま……今……か…」
独り言の様な、誰かに話しかけてるような、そんな気がして、気がついたら視界には健太が居なくなっていた。
こうして学年は6年生、中一、中二、となって受験シーズン。
「なんであなたはこんな事も分からないのよぉ!」
ペチンッ
「った……」
親が離婚した。
怒りの矛先は俺に向いた
そんな日が続いた頃ふと隙間から声が聞こえてきた。
「縺薙▲縺。縺ォ縺翫>縺ァ…」
最初の頃はあまり聞き取れなかったけどだんだん日を重ねるに連れ、聞こえて来るようになった。
「辛いでしょう?」
「こっちにおいでよ。」
その声は落ち着くような中性的な声だった。
「こっちには辛いって感情はないよぉ」
「楽しいよぉ」
思わず、隙間へ逃げてしまいそうになった。
なんとも魅力的だ。
「ごめん、まだ行けないや」
「そっかぁーいつでもまってるー」
そこから数日は現れなかった。少し心配になりながらも、勉学に励む。
試験当日___
「では、初め!」
ガリガリガリガリガリガリ
シャーペンの音に混じって何か聞こえる。
「もし落ちたらどぉするぅのぉー?」
「もし落ちたらこっちに来ればいいよー、待ってるからねー」
うるさい
「健太くんもこっちに居るからねー」
「健太くん寂しがってるー」
え…?健太が…?
そこからは、健太のことで頭がいっぱいだった。
紙になんて二、三問しか書けなかった。
もう、落ちるのなんて確実だ
なら、いっそ隙間に入ってしまおうか。
帰りの電車の駅のホーム。
電車が来た
「次は〜○○〜○○〜」
人が流れ込む
またあの声が聞こえる。
「こっちーこっちー」
今度はどこからだ?
あっ…あそこからだ
そこはホームと電車の狭い隙間だった。
あぁ……
なんて魅力的なんだ_
気がついたら目の前には健太が居た。
「待ってたよー早く昔みたいにー遊ぼー」
「そうだな!」
コメント
38件
なんかもう天才すぎて気づいたらフォローしてました(?) フォロー失礼します🙇♀️