テラーノベル
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皆様、こんにちは。芽花林檎です。あたらしい物語をはじめさせていただきました。もう片方の連載との同時進行で行わせていただきますので、ぜひご覧ください。それでは参りたいと思います。
………現実?空想? ………よく現実的にとか、空想的だという言葉を耳にする。でも、本当は、空想とか、現実とか、境界は不透明で、とても曖昧なものなのではないか……..?私たちがいるこの世界も、現実、であると誰がどう証明できようか?……
「授業はじめます、今日は図形の通過領域の問題ですね。」そんな快活な声が、朝から教室に響く。穏やかな日差しが、教室中を満たし、数学の先生が、板書を書き始めていた。「えぇ、ですから、この部分をこの文字についての二次方程式とみて、判別式を使うことにより解の種類を決定する問題に帰着できることから……」どういうことかさっぱりであったが、とにもかくにもまた新しい一日が始まったのである。僕は、数学のノートに、数式と、メモをどんどん書いていった。
ふと、蛍光灯にノイズがにじんだ。パチパチパチっという音を立てて、少し暗くなった後、また復活した。「あら、この蛍光灯新しいのにねぇ。でも、蛍光灯が新しくても、設備が本当に古いから、もうこの学校ごと改修したほうが良いのかもねぇ。」先生がそんなことをつぶやいた。少し経つと、蛍光灯は、何事もなかったかのようにまた教室を明るく照らした。
お昼時になった。長かった授業を終え、一安心したところで、僕は教室を少し見渡してみた。すると、あれ、だれだろう、昨日まであんな子いたかな。漆黒の長い髪をツインテールでまとめ、髪には桃色のピンを付け、きらめきを宿した瞳を持つ少女がいた。外の景色を穏やかな目で眺め、窓から入ってくる風が、彼女の髪を揺らした。光に照らされた顔が、せつない表情に見えたけれど、とても美しくて見入ってしまった。僕は、その女の子が独りだったからか、理由はよくわからないけれど、その女の子に話しかけてみることにした。
「こんにちは。あなたは独りなの?お昼だよ。ご飯食べないの?」そう僕が言うと、その女の子はゆっくりと振り向いて、やさしく笑った。その笑顔が、なぜか一生忘れられないような気がした。大げさだな、自分でも思ったけれど、その輝いたかわいらしい顔に浮かぶ笑みが、とても貴いもののように思えた。
「ううん。ちょっと外を眺めていただけ。そうか、もうお昼なのか。貴方も独り?なら、一緒にお昼ご飯いただきましょうよ。」
初対面のはずなのに、こんなにも親しくしてくれるのか。僕は、今まで女の子にこんな風にされたことがなかったので、うれしくなって、おもわず「うん、そうしよう。」返した。
お昼ご飯を食べるとき、僕たちはいろいろな話を交わした。とても楽しかった。話してみると、その女の子は明るくて快活で、とてもやさしい子なんだろうということがなんとなくわかった。この子ともっと関わってみると楽しいかもしれない。そんなことを思った。でも、彼女は時折、僕に、慈愛に満ちたというか、せつなげで、どこか寂しい雰囲気が混じった視線を向けることがあった。よく理由がわからなかったけれど、僕はそのまま彼女と話し続けた。授業の予鈴が鳴り、急いで支度をしないとと席を立ちあがったときに、僕は、ひとつだけ彼女に聞いた。「あなたは、今寂しいの?」何でこんなことを聞いたのか、よくわからない。人によっては失礼に聞こえるのかもしれない。でも、なんとなく、聞いてみたくて仕方がなかった。すると、彼女はこんなことを言った。その顔が少し陰ったような気もしたが、気のせいであろう。彼女は、僕の目をまっすぐ見据えた。その目に、偽りはなかった。「ううん、寂しくないよ。それにね……明日、貴方に”いいこと”、が起こるから。」その瞬間、教室の空気がわずかに震え、一瞬、目の前を閃光がよぎった気がした。でも、その女の子の飾らないまっすぐな笑顔を見て、そんなことすぐに忘れてしまった。その質問をした後、僕はその女の子と別れた。教室に帰り、僕は、急いで授業の支度をした。授業中、こんなことばかりを考えていた。(また、あの女の子とお昼ご飯を食べたいなぁ。)
この時は、まだ知らなかった。女の子と話すことができて幸福感に満たされていた、ただそこへしか意識が向いていなかったんだ。でも、…….そのうち、僕は知ることになるだろう。「最期」、に、目にしたものを………..
お読みいただきありがとうございました。この連載も随時進めてまいりますので、よろしければご確認ください。今回もありがとうございました。それでは、またお会いしましょう。
本日は、東日本大震災の日でございます。東日本大震災から、15年の月日が経過いたしました。今もなお深い悲しみの中にいらっしゃる皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、震災で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。被災地の皆様の心が少しでも安らかであることを願っております。これからも、皆様と共に歩ませていただければ幸いです。
2026/03/11 芽花林檎
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