八月に入り、社員達は交代で休暇を取り始めた。
奈緒は入社してまだ間もなかったが、三日間の有休が貰えた。
奈緒はその休みを利用して、千葉の実家へ帰る事にした。
母の聡美とは徹の葬儀以来会っていないので、久しぶりに顔を見せに行きたかった。
有休に入る前日の朝、奈緒はいつものように省吾にコーヒーを持って行った。
「明日から実家に帰るんだって?」
「はい。水木金とお休みをいただきます。その間はお弁当を作れなくてすみません」
「そんな事は気にしないでいいよ。お母さんと水入らずでゆっくりしてくるといい」
「ありがとうございます」
奈緒はぺこりとお辞儀をする。
「ただし……」
「はい?」
「奈緒、ちょっとここに来て」
省吾の言葉に、奈緒は意味がわからないといった顔をする。
「えっ?」
「ここだよここ」
省吾は組んでいた足を解くと、膝の上を指差す。
その意味に気づいた奈緒は、途端に赤くなる。
「三日……いや土日を含めたら五日間も奈緒に会えないんだぞ? だからその前に奈緒の香りを補給させてくれ」
省吾は当然のように言い放つと、両手を広げて奈緒が来るのを待っている。
いきなり突拍子もない要求をされた奈緒は戸惑っていた。
しかしその時の奈緒の脳裏に、さおりと新藤に言われた言葉が蘇る。
『奈緒ちゃんがOKのGOサインを出してあげないと、きっと前に進めないんじゃないかな』
『徹の事は一日も早く忘れて、君はその指輪をくれた素敵な男性と幸せになる事に集中した方がいい。そして今度こそ本当に幸せになるんだ。徹と三輪さんがあの世からうらやましがるくらいにね。思いっきり最高に幸せになって、あいつらにギャフンと言わせてやれ!』
二人の言葉は奈緒の背中を押した。
奈緒は少し緊張しながらゆっくりと省吾に近付く。
そして省吾の膝の上に座った奈緒は、省吾の首に手を回すとそっと唇を重ねた。
奈緒はこの時初めて、自分から省吾にキスをした。
突然奈緒からキスをされた省吾はかなり驚いている様子だった。
しかしすぐに奈緒をギュッと抱き締めると、今度は省吾主導のキスが始まった。
「んっ……」
長い長いキスが続く。
キスだけでは物足りなくなった省吾の手は、奈緒の衣服の上をさまよい始める。
そして奈緒の柔らかな胸の膨らみを捉える。
「あっ……んっ」
奈緒の甘い吐息は更に省吾を加速させた。
省吾の焦らすような手の動きは、忘れていた奈緒の女の部分を激しく掻き立てる。
かすかに感じる省吾の香り、繊細な手の動き、そして奈緒の耳元に感じる省吾の息遣いは、奈緒がしばらく忘れていた感覚を呼び覚ます。
しかしそれは今までのものとは全く違った。奈緒が初めて感じる感覚だった。
二人はなるべくしてこうなった。
生まれた時から二人の運命は決まっていた。
なぜか奈緒にはそんな風に思えた。
省吾からの熱い抱擁は、刺激的であるのにどこか安らぎを感じるから不思議だ。
奈緒は省吾に抱き締められながら、自分の居場所はここなのだと確信する。
省吾のキスは終わる気配がない。
それどころか、奈緒の服の上をさまよっていた省吾の手は、とうとう奈緒の服の下への侵入を試みる。
奈緒はキスを受けとめる事に必死で、その事に気付いていない。
省吾の手が奈緒の素肌を捉えた時、奈緒は漸く気付いた。
「あっ……駄目……」
奈緒の小さな抵抗などまったくの無力だった。
省吾は奈緒の服をたくし上げると、ブラジャーのホックを外す。
露わになった奈緒の乳房を見た省吾は、感嘆のため息をつく。
「なんて美しいんだ奈緒……」
省吾はまるで尊いものにでも触れるように、大きな手で奈緒の乳房を包み込む。
そして優しく揉みしだいた後、その先端の蕾を口に含む。
「はぁっっ……」
奈緒はその快感の渦に溺れそうになったが、慌てて言った。
「ここじゃ駄目……誰かが来たら……」
「じゃあどこならいいの?」
省吾はそう言って舌先で奈緒をいじめる。
「っっふぅん……」
奈緒が何も言えなくなると、省吾は奈緒の耳元でこう囁いた。
「今夜うちに来る?」
「え?」
「もう我慢出来ない……奈緒が欲しいんだ」
「…………」
「奈緒?」
「わかったわ……」
奈緒が素直にYESと言ったので省吾は満足気に微笑むと、再び奈緒の乳首を口に含んだ。
するとまた奈緒が小さく喘ぐ。
その後なんとか理性を取り戻した二人は身体を離した。
そして奈緒は衣類の乱れを直してから役員室を出た。
廊下に出た奈緒は、ドアにもたれかかりながらじっとしていた。
高鳴り続ける心臓の音を必死に鎮めようとしていた。
少し落ち着いたところで、奈緒は漸く秘書室へ戻って行った。
コメント
15件
はぃはぃ、会社てはダメですよ🥰
奈緒が欲しい‥(ノ∀\*)キャ💕 ついに省吾さんの本音が。 奈緒ちゃんも覚悟ができたね😆 ドキドキが止まりません。
ゴールデンマイク君臨キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!