TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


遊牧民だったハンの家が、奪い取った土地を統治したのは、つい余年前。


ジオンを即位させ、国としての体裁を整えた。


続き、統治王にふさわしい正妃をと、縁組を選り好みしたのが、裏目に出てしまったようで、三十を越えようとしているにもかかわらず、王には、いまだ子どころか、正妃もおらず――。


これではと、大臣たちが、慌てふためき適当な側室を用意はしたが、子ができる様子はない。


そうだろう。


王が通いつめるのは、後宮ではないのだから。


しかし、来月、正妃を迎える。


これで、やっと国として認められる。


さて。


だからこそ。


あの小娘から、王を引き離さなければ――。


「本当に、あの小娘のことがお気に入りのようですね。若いというだけで、そう取りえなどないように思えますが。ドンレ様はいかがお思いです?」


邪念にふけるドンレの耳を、若人の声が突いた。


女官長の私室だと言いたげに、グソンの身のこなしは、儀礼ぶり、先ほどとはうって変わって、よそよそしかった。


ドンレは、ゆっくりと身をおこし、床に垂れる帳越しに愛妾を見る。


「だが、それこそ最大の武器であろう?男にしてみれば、女は若いほどいい。そうだろう?」


意味深なドンレの視線を避けるかのように、グソンは窓辺に身を移し、外の風を通した。


「若い。それだけでしょう?そんなものすぐに飽きます。私はあなた様のように、経験深い女人にそそられますが?さて、今日は、少しばかり汗をかきましたな。風が心地いい」


歯が浮くようなグソンの言葉を受け、ドンレは思わず顔を伏せた。


向けられる、端麗な顔立ちのなかで、白い歯が光っている――。


ただの官にしておくにはもったいないと、側においてみた。


だが、グソンはドンレなど見ていない。彼女の体を通り越し、その力を見つめている。


甘いささやきも、たゆたう吐息も、すべて形だけのもの。


ドンレの体などなくてもかまわないのだ。


――わかっている。


溺れてしまった快楽は、とてつもなく深いことも。


あの肌を手放すことを思えば、受けるおなざりな愛撫にも、がまんできた。


いや、今では、それにさえ、ドンレは酔いしれていた……。

loading

この作品はいかがでしたか?

66

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚