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#普通
野々さくら
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ありあ
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会議室で皆が話し合いを続けていると、不意に扉が開いた。
姿を現したのは、編集長・江波山忍と、小諸哲哉、そして吉次美沙だった。
忍はにこやかに笑う。
「お、来てたんだな」
その姿を見た瞬間、焔垂は勢いよく立ち上がる。
「江波山さん!お邪魔してますっ!」
姿勢を正し、深々と頭を下げた。
その様子を見た忍は思わず吹き出す。
「わ〜はっはつは」
笑いをこらえながら肩を揺らす。
「そんなに畏まらなくても(笑)
軍隊じゃあるまいし(笑)」
しかし焔垂は真顔のままだった。
「いえ! 江波山さんは敬愛する
MWの編集長ですから!」
その言葉に茜が呆れたように笑う。
「邪〜魔ッ!」
そう言うと、焔垂の肩を掴み、そのまま強引に椅子へ押し戻した。
「お、おい!押し潰すな!」
「そのまま潰れろ〜♬」
会議室に笑いが広がる。
そんな空気を見渡しながら、美沙が穏やかに微笑んだ。
「みんな元気そうね」
信愛も立ち上がり、軽く頭を下げる。
「あ、美沙さん」
美沙は優しく問いかけた。
「馬場さんから話は聞いたのかしら?」
「は、はい。今し方」
少し遠慮がちに続ける。
「でも、本当にいいんですか?」
美沙は迷いなく頷いた。
「もちろんよ。あなた達にはお世話になったんだし」
その横で、哲哉も柔らかな笑みを浮かべる。
「そうだよ。気にする必要なんてないよ」
少し表情を引き締め、続けた。
「君らが居なかったら、タマちゃんは自責の念から
引退していたかもしれない。それを君らが繋ぎ止めた」
ゆっくりと言葉を重ねる。
「タマちゃん程歌える歌手は、そうそう
居るもんじゃないからね。これは日本の
音楽業界に大きな影響を与えたんだ」
信愛は驚きを隠せない。
「そんな大袈裟な・・・」
哲哉は苦笑しながら首を振った。
「それに江波山の影響で、オカルトに対しては
多少の興味があってね。御船愛子の名前は
昔から知っていたんだよ」
茜が感心したように呟く。
「なんか色んな人に知られてるんだね
信愛のお母さんって」
信愛も苦笑する。
「うん、私もびっくりしてる」
すると忍が腕を組みながら口を開いた。
「それだけ未解決事件調査隊は
沢山の人の記憶に残ってるって事だよ」
さらに穏やかな口調で続ける。
「天縁教団の一件に触れさえしなければ
今でも有名な霊媒師として活躍していた筈だ」
信愛は静かに目を伏せた。
「そんな凄かったんだ・・お母さんって・・」
さくらは信愛の横顔を見つめながら言う。
「でもさ? 信愛のお母さんも凄いけど
お父さんも凄いと思うんだよね私」
「え?お父さんが?」
信愛が不思議そうに聞き返す。
さくらは頷きながら続けた。
「だってさ? 坪野もお母さんも言ってたけど
お母さんは千里眼騒動の時、間違いなく
自殺願望があった訳でしょ?」
信愛は静かに頷いた。
「そう言ってたね」
さくらは腕を組み、ゆっくりと言葉を整理するように口を開く。
「それってつまり、お母さんはお父さんと
出会ってなかったら、自殺してたか、もしくは」
一度言葉を切り、全員の顔を見回した。
「修理固成に利用されてた可能性があるって事でしょ?」
信愛は小さく息を吐く。
「あ!そっか!そういう事になるね」
さくらはふっと笑みを浮かべた。
「ようは、お父さんは日本を
救った英雄って事になるじゃん」
その言葉に茜も目を丸くする。
「確かにそうかもね♬」
焔垂は腕を組み、しみじみと呟いた。
「純粋な愛が救った訳か」
その瞬間、茜が吹き出す。
「ぷっ、きゃはははは」
焔垂が眉をひそめる。
「何吹き出してんだよ、今のどこに
笑う要素があったんだよ!」
茜は笑いを堪えきれない様子で肩を震わせた。
「だって焔垂の口から『純粋な愛』
なんて言葉が出てくるんだもん」
信愛も思わず笑ってしまう。
「あはは、確かに」
茜はさらに笑いながら言う。
「笑うなって方が無理があるっしょ」
朝陽は静かに頷いた。
「純粋な愛ですね〜」
さくらが嬉しそうに朝陽を見る。
「お! 朝陽くん、いいこと言うね」
焔垂は呆れたように肩を落とした。
「俺が言った台詞、まんまじゃねーか」
茜は首を傾げ、とぼけた表情を浮かべる。
「え? そうだっけ? 私わかんな〜い」
信愛は微笑みながら朝陽へ視線を向けた。
「朝陽くんのオリジナルだよね?」
朝陽は少し照れくさそうに笑う。
「はい♬オリジナルです♬」
頭を掻きながら続けた。
「なんか言葉がふ〜っと舞い降りてきました」
焔垂は口角を上げながら小さく怒る。
「お前らな〜・・・」
茜は満足そうに笑った。
「朝陽くんもやっと私たちのノリが分かってきたね」
信愛もくすりと笑う。
「染まってきたね(笑)」
さくらは両手を上げて嬉しそうに声を弾ませた。
「良い傾向〜♬良い傾向〜♬」
それを見た馬場は苦笑する。
「良い傾向と言っていいのか? それ」
皆のやり取りを眺めていた美沙は、自然と笑みをこぼした。
「貴方達が居ると、どんな場所でも
明るくなるみたいね」
茜は胸を張り、いたずらっぽく笑う。
「それがウチらですから♬」
コメント
1件
×××さん、今回も温かい空気に包まれた回でしたね。特に「純粋な愛」の話で焔垂さんがからかわれる流れ、思わず笑っちゃいました。朝陽くんが「言葉が舞い降りた」って言いながらオリジナルって主張するところ、すごく可愛くてほっこりしました。信愛さんのご両親の話が、泣ける話なのに皆のノリで明るくなるのが、この作品らしいなあ。