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彼女がシャワーに入っている音は、ものすごく想像をかきたてる。もはやただの変態だ。彼女への思いがこんなに大きくなっていたのに驚く。
あのまま風見さんと結婚するのだと思っていたのに、何が起こるかわからないものだと口角が上がる。
コーヒーを入れていると彼女がリビングに入ってくる。
「ソファ、座っててください」
「あ、ありがとう……」
ちょこんと腰掛けて、そわそわと落ち着かない様子の彼女。そっとローテーブルに盛り付けた皿を置く。
「簡単ですけど」
「わー!!!」
盛り付けにはこだわらないけど、さすがに今日はと気合を入れた。喜んでいる姿をみてホッとする。
一緒に食べ始めれば、のんびりとした時間が流れる。なんかめっちゃくちゃ幸せだな。
「藤原さん」
契約どうしますか? と訊く前に、相性がどうだったか訊きたい。まあ訊くまでもないけれど、一応。
「……なに?」
「どうでしたか、セックスの相性」
コーヒーをこぼしそうになった彼女の頬がボンッと赤くなった。それだけでもよく分かる。
「あ、あ、あぁ、せ、セックスね」
「まあ、聞かなくても分かりますけど、一応」
「な、なんでわかるの?」
なんでって。じゃあ、答えますよ? 天然の彼女にちょっかいを出すのはなんだか楽しくて仕方ない。
「そりゃそうでしょ。あんなにイキまくって、よがってるの見たら……」
「ちょっと!! もう、何言ってんの!!」
ぶりぶり怒りながら、顔を真っ赤にした彼女。その唇を奪いたい。ここで押し倒して、ソファで抱きたい。後ろから攻めて、昼間っから鳴かせたい。獰猛なその衝動をぐぐっと押さえつけた。
「で、どうしますか。サブスク契約」
これだけはきちんと確認しておこうと、彼女の顔を覗き込む。すすんで契約を結んでくれなければ意味がない。
「復讐、ほんとに一緒にしてくれる?」
「いいですよ。できることであれば協力します」
「……じゃあ、よ、よろしくお願いします」
「サブスク契約付き?」
「付き……で」
よーーーーーしっ!!! と心の中で盛大にガッツポーズを取る。
有頂天になっているのがバレてはまずい。まずは契約でもなんでも、俺のことで頭をいっぱいにさせて、俺の形を覚えてもらって……。やばい、想像しただけで胸の鼓動がどんどん速くなってきた。
「藤原さん」
「ん?」
顔を覗き込まれて、ドキっとする。かわいらしい彼女の顔。このままずっと俺のそばにいて欲しい。
「今晩もいいですか? サブスク」
「はぇ!? き、きょうも!?」
「予定ありました?」
じっと彼女を見つめると、少し困ったように見つめ返してくる。やっぱり毎晩は嫌? せっかく契約したんだし、たくさん抱きたい。今すぐ押し倒したい。
「わ、わかった……」
「よろしくお願いします」
さすがにもう顔が緩むのを抑えられなくなって、ニコニコと微笑む。
復讐なんて忘れるくらい、まずは俺に溺れてもらおうか。焦らず、じっくり泥濘に落としてあげたい。もう出られない快楽の深い澱みまで、一緒に行きたい。
復讐よりも、彼女との新しい関係を想像するだけで、胸が躍った。