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27話 今月の紙芝居ニュース
夜
焚き火は
ほそく揺れている
ふっくらは
丸い体を沈ませて座る
短い脚を折り
手には
開けかけのお菓子袋
琶が
紙芝居の枠を立てる
大きな体
長い首
重なった鱗
畳まれた翼は動かず
爪だけが
紙の端を押さえる
一枚目
出来事は
ほとんど描かれていない
道が一本
人影がひとつ
それだけ
ふっくらは
目を細める
二枚目
畑の絵
ただの畑
草が少し揺れているだけ
三枚目
空の絵
雲がひとつ
何も
起きていない
ふっくらは
お菓子をつまみながら
首をかしげる
そして
最後の紙
出来事は少ないまま
ただ
紙の端に
黒くない
墨でもない
何か重い線が
描き足されている
それは
説明にも
記号にも見えない
重さだけが
形になったような
そんな線
ふっくらは
じっと見つめる
目が
動かない
琶は
紙に触れたまま
その“重さの線”には
指を伸ばさない
なぞろうとせず
確かめようともしない
焚き火の光が
その線を
わずかに照らす
ふっくらは
小さく息を呑む
紙芝居は
静かに閉じられる
出来事は少ないのに
何かだけが
そこに残ったままだ