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『さようなら僕の奥さん』 作 夢宮 楓
ある日、突然、僕の奥さんこと、弥美(やみ)が、僕にこう言った。
『私、好きな人ができたの、だから離婚したいの……』
『え……?』
弥美?……好きな人って、いつの間にそんな人をつくったんだ……。
『貴方のことは愛してるわ、けどそれは愛なの、なにも求めないで幸せに感じることができる、素晴らしい愛だわ……』
『……なら……なぜ、離婚したいなんて、言うんだ』
僕は声を絞り出して言った。
この時、僕は怒りよりも、突然の衝撃が、僕の心を痛めつけていた。
『……私は、恋がしたいの……、身も心も揺るがす、恋がしたいの』
『……恋?』
『ごめんなさい、貴方、けど、これからも友達として、そばにいて欲しい、それじゃダメかしら?』
少しの時間がたってから僕はこう言った。
『……恋から、その好きな人への気持ちは愛へと変わると思うかい?』
『……わからないわ』
『僕のこと愛してるんだよね?弥美?』
『……』
彼女が俯きながら唇を噛む。
僕が弥美に、意地悪な言葉をはくなんて……本当、こう言う時に優しく送ってやれればどんなにいいか……。いいやつで終われるのに、こんなことを言うなんて……自分が悲しいよ。
『……愛してる』
『私も、貴方のこと愛してるわ……』
『僕は君が、他の人にむいても、愛してるよ』
僕はこんな時にでも、僕はそばにいれることが、君と話せることが……幸せなんだと目を瞑り、実感していた。
『これからまた友達からだね、弥美』
『……うん』
そして、僕は離婚の書類にサインした……。
『……ありがとう』
笑顔で、僕から離婚の書類を受け取りながら弥美はそう言った。
さようなら、僕の奥さん。
これからよろしくね、友達の弥美さん。
終
【作品について】
もう少し長い文にしたいような気もしましたが、この短さがいいのかもと思い、ものすごい短い文でまとめてみました。自分は説明することが好きなので、なかなか説明文を減らすとなると短い文にまとめるのはとても難しいと感じました。
登場人物(設定)
主人公(男性)(喧嘩は時々していたが、ただそれも本音のぶつけあいのような喧嘩で、1番奥さんのことをわかろうとし、そして、愛してる。弥美がすぐ隣にいたり、話をすることで、主人公は愛を幸せを感じていた。)
奥さん[弥美](女性)(愛に飽きたに近い、主人公は愛してくれるが、恋だった頃のように、激しく自分だけを独占欲で独占しようとしてくれないことに少し不満をもっている。だが、主人公のことは、愛してる。今もずっと、主人公のそばにいること、話をすること、それが1番の安心できる場所らしい)
(設定だけ)
奥さんの好きな人(男性)(まだ若く、けれど弥美のことが好きで好きで、自分のものにしたいと考えていて、他の人といるとなんか無性にイライラする)(彼は会社の御曹司であり、見た目は大人っぽいが中身は、少し子供っぽいところがある)(←そんなところが弥美が惹かれている理由なのかも)