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僕の家には戦争がある

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僕の家には戦争がある

4 - 第4話 依存という名の同盟

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2025年06月22日

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「なぁ、日本。今日……なんかあった?」

空はいつものように笑っていた。けれど、日本にはわかる。

それは“探ってくる”笑顔だった。

「いいえ、別に……」

日本は目をそらした。けれど、空は日本の部屋にずかずかと入り込んできて、勝手にベッドの上に座る。

「ウソついてもわかるよ? だって、日本の顔、泣いた後の顔してるもん」

その一言に、日本は身体をびくりと震わせた。

「……!」

「見てないよ。でも、感じる。……僕、日本のこと、ずっと見てるから」

空はぽすんとベッドに寝転び、日本の枕に顔を押しつける。

「今日さ、教室でアメリカとフランスが何か言ってた。『日本ってほんと空気だよな』って。僕、ムカついたよ」

「やめて下さい……そんな話、したくありません」

「でも、日本が何も言わないと、ずっと舐められるままでしょ」

空の声は低く、そして冷たい。

「僕が……全部消してあげよっか?」

その瞬間、日本の中で、何かがぞわりと揺れた。

「……冗談、でしょ?」

「さぁね? 冗談かどうか、日本が決めたらいいよ」

空は笑いながら、日本の手を掴む。

その手は子供のように華奢で、けれど妙に冷たかった。

「僕ね、日本がひとりぼっちになるの、イヤだ。だから、学校でひとりでも平気なように、僕が全部……囲ってあげる」

(囲って――)

その言葉の意味が、怖いくらい自然に胸に染みた。


「ねぇ、日本。明日から一緒に行こっか、学校」

「……え?」

「朝、迎えにいく。で、一緒に帰ってこよう」

それは優しさの形をしている。

でも、日本はふと、空の目を見て思った。

(この子も……どこかおかしい)

でも、それを指摘したら、崩れてしまう気がした。

だから日本は、ただ黙って――うなずいた。


僕の家には戦争がある

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