テラーノベル
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「なぁ、日本。今日……なんかあった?」
空はいつものように笑っていた。けれど、日本にはわかる。
それは“探ってくる”笑顔だった。
「いいえ、別に……」
日本は目をそらした。けれど、空は日本の部屋にずかずかと入り込んできて、勝手にベッドの上に座る。
「ウソついてもわかるよ? だって、日本の顔、泣いた後の顔してるもん」
その一言に、日本は身体をびくりと震わせた。
「……!」
「見てないよ。でも、感じる。……僕、日本のこと、ずっと見てるから」
空はぽすんとベッドに寝転び、日本の枕に顔を押しつける。
「今日さ、教室でアメリカとフランスが何か言ってた。『日本ってほんと空気だよな』って。僕、ムカついたよ」
「やめて下さい……そんな話、したくありません」
「でも、日本が何も言わないと、ずっと舐められるままでしょ」
空の声は低く、そして冷たい。
「僕が……全部消してあげよっか?」
その瞬間、日本の中で、何かがぞわりと揺れた。
「……冗談、でしょ?」
「さぁね? 冗談かどうか、日本が決めたらいいよ」
空は笑いながら、日本の手を掴む。
その手は子供のように華奢で、けれど妙に冷たかった。
「僕ね、日本がひとりぼっちになるの、イヤだ。だから、学校でひとりでも平気なように、僕が全部……囲ってあげる」
(囲って――)
その言葉の意味が、怖いくらい自然に胸に染みた。
「ねぇ、日本。明日から一緒に行こっか、学校」
「……え?」
「朝、迎えにいく。で、一緒に帰ってこよう」
それは優しさの形をしている。
でも、日本はふと、空の目を見て思った。
(この子も……どこかおかしい)
でも、それを指摘したら、崩れてしまう気がした。
だから日本は、ただ黙って――うなずいた。
コメント
4件
んふふ、凄く最高ですまじでほんとに大好き愛してる 控えめに言って結婚しよ(?)