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れんこん
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電車の音に紛れた咳からは相変わらず花が舞う。
相手に気付かれないように、そっと花弁を隠す。
頭痛も少しずつ楽になっていく。
電車に乗り込んだ。
外の景色を眺める。
雫が滴り落ちる窓から外の景色が見えた。
霧でかすんだ町の景色が何だかとても幻想的で、儚くて、とても心は楽だった。
「ケホ、ケホッ」
花は変わらず…いや、朝よりも少し多い。
(自分の養分を吸って育っている?
スマホにメモを残し、背もたれに身体を預ける。
ふと、青年と目が合う。
咄嗟に目を逸らす。
彼は何かに気付いた様に歩いて来る。
電車の揺れによろけながら、俺に言った。
『花…あの、花を吐いてませんか』
ドがつくほど直球な質問に戸惑う。
「ぇ、あ、あの…?」
『ぁあ、すみません、私、研究者の』
『pk、と申します』
「pk…さん?その、花…というのは?」
『あぁ、すみません、説明いたしますね。』
『【花吐き病】』
『と僕は呼んでいるのですが…』
『これは、ウイルスや病原菌があるわけじゃない。』
『これは…病気であり、病気じゃないんです。』
『…この花吐き病、は』
『恋心が引き寄せる気持ちが具現化し、結果自身の身を滅ぼす結果となったものです。』
「気持ちの…具現化……」
『だから、吐いた花の花言葉等…関係するかもです、』
「そう、なんだ……」
『それと…』
『いや、どうせなら私の研究所に来ませんか?』
『時間とか……』
「大丈夫です」
『そうですか…!』
『では行きましょう!結構近いんですよね〜』
『あ、名前と…年齢、聞いても?』
「青井rd、17です。」
『え、20歳かと思ったんだけど』
『年下なんだ…』
「年上なんすか」
『白井pk、今年で24』
「結構離れてた……」
・・・
「お邪魔します」
『どうぞ~、…』
『散らかってるけど、あまり気にしないで…』
『…で、さっきの続き…なんだけど、』
『最近、眠れない事が続いた、食欲、食べる量が増した、頭痛や目眩が増えた』
『とかの症状はある?』
「…睡眠不足は他の要因がありますけど…食べる量は若干…夜とか…すぐお腹が空くことは…」
『それも症状のひとつだと俺は考えていて…』
『自分が摂った食事の栄養を取り込みつつ、成長し吐き出す。』
『その為、栄養失調等を起こすのだと、』
「そう…ですか…」
『治し方は未だ分かってなくて…付き合う、とか…新しい恋に無理矢理目覚めさせる、とか…』
『曖昧かつ、未知数なんだ。』
『青井くんは…好きな人がいるのかな?』
「とっても…優しくて、明るい先輩が。」
『青春だ…』
『兎に角、量…もそうだけど、花は食べた分だけ吐く、じゃなくて、身体にある分だけ出そうとするから、栄養のあるものを出来るだけ沢山食べた方が残る栄養は多いよ。』
「ありがとう…ごさいます、」
「白井さんは…ここまで研究するのに…どれくらい掛かったんですか?」
『…2年半、かな…?』
『俺…のね好きな人がいて』
『その人がこの病気に掛かってさ、』
『必死で治そうとしたんだけど…努力虚しく…って、感じかな…?』
『あの人は…本当に…』
「白井さんは…」
『pkでいいよ』
「pkさんは…掛からなかったんですか」
『……、まぁ、そうなるよね…』
《腕を捲る
目の前に映る白い肌からは、植物が伸びていた。
「!?」
「はッ?何…これ…」
『あは、ごめん、驚かせたみたいだね、』
『見ての通り、俺は身体中を植物に支配されているよ。』
『引きちぎるわけにもいかなくて、』
『こんな症状は始めてだったよ、でも俺は1年半生きてる。』
『偶にすごく体調が悪くなったり、双極ではあるけれどね、』
「…死には…しませんか」
『まだ…分かんないけど…』
『自分の血を元に回復薬を研究中だよ。
青井くんも何か分かったら連絡するよ』
『はい、これ俺の連絡先』
差し出されたスマホはヒビだらけだ。
指先も白く、今にも消えそうで
外に出れば雨は止み、日は沈みかけ、夕日が町を照らしている。
駅で別れ、残りの運賃で家の方面へ向かう。
道中、海が見えた。
雨で霧がかっていて、幻想的な景色だった。
【花吐き病の主な死因とされているのは花に呑まれるからである。】
【呑まれる、というのは身体中に花が生え、全身の養分を吸われる上、覆い尽くされた花に支配されてしまうため。】
【栄養素を吸い尽くした花たちは枯れ、散って行く。】
【骨は脆くなり、粉となり消える。】
【花吐き病を患った患者は跡形なく、消えて死ぬ。】
コメント
2件
「PKさん自身も花に蝕まれてるって……え、マジで腕から植物伸びてるのやばすぎる。好きな人を救えなかった過去を背負いながら、それでも研究を続けてる覚悟が重くて胸にくる。『まだ分かんないけど』って言いながら自分の血で回復薬作ろうとしてるところ、ちゃんと使命感ある研究者してて好きだわ。青井くんも好きな先輩の話をするときの表情が想像できるし、2人の関係がどう転ぶか気になる……!」