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#衝撃のラスト
山根利広
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年は大体三、四年生くらいの少年。鞄を斜めがけをし、ファイル見たいのを手にしている。
だが虹雨と由貴は驚かない。なぜなら
「あれ、コウちゃんと由貴くん」
「美守くん、どうしてここに」
二人はこの少年、美守を知っているのだ。そして美守も二人同様霊視能力を持っているのだ。
「……由貴、美守の後ろに何かおるで」
「なるほど、この気はこれだったのか」
美守は後退りする。
「美守っ、見学終わったなら帰りなさいと言ったろ。すいません、今日は小学校の宿題で父親の職場見学だったようなんですよ」
「槻山さん、今美守くんに近づかないで」
「えっ……」
由貴は虹雨の横でカメラを構えている。美守は体が震えている。彼の後ろで大きな黒いものが渦巻いている。
「そか、美守くんが霊能力持ってることをいいことに学校の幽霊達がついてきたんやな。一年前の市役所見学の時に花子さん、今回は……」
「違う、僕が連れてきたんだ」
「なんで?!」
虹雨はその黒い渦の中から口裂け女が見えてきたが明らかに美守が連れてきたにしては大人しくないし、かなりの怨念が渦巻いているようである。
「なんで連れてきたかしらんが、今回は利用されているだけやで!」
『わたしーきれいー?!』
美守の口から典型的な口裂け女のセリフが出る。
『わーたーしーきーれーい!?』
「美守! どうしたんだっ! コウさん……これはっ!」
「槻山さん、だから奥に隠れてください!!! 退治するぞ……口裂け女、いやお前は口裂け女のフランチャイズみたいなもんやな!」
『なにをいう! 私は口裂け女、正真正銘の口裂け女!』
「るっさぃ! 本家のモノマネしただけの女やないか」
『モノマネじゃない、モノマネじゃ……』
美守がずさっと倒れたところで虹雨が体を抱きかかえる。槻山も行こうとしたが、虹雨から手で止められた。
「美守はどうしたんですかっ!」
「今は近づくな!」
騒ぎを聞きつけた他の役所職員たちが入ってくるが由貴が大きな体を生かして部屋に入らせないようにした。
黒いもやはうずまく。
「由貴、ドアを開けろ!!!!!」
「ラジャー!」
由貴は個室の窓を勢いよく開けた。そして虹雨が美守を窓際に置き手を構え何度も組み替え呪文を唱える。
ウゴゴゴオオオオオオ
と、黒い渦は声を出す。
「とっととうせろ!!!!!」
ぐああああああああああああああ
ぐぅううううんんんんん!!!!
と渦巻いた黒いものは窓から出ていった。そして窓際に美守が倒れていた。
槻山が美守を抱き抱えて虹雨たちも一緒に真津喫茶店へ。
美帆子は県庁の方に出張に行っており、今急いで向かっているとのことだった。
喫茶店に行くと渚が喫茶店から自宅兼事務所につながる階段へ案内されて美守をベッドの上に寝させる湊音。そして頭を撫でてやる。
虹雨と由貴は美守の部屋を見渡す。
「今は特に気は感じない……目が覚めたら塩風呂に入れてあげて、渚ちゃん」
「はい、わかりました……父に伝えますわ」
渚は部屋から出る。
「美守……」
湊音は用意してあった氷水につけた布巾を美守の頭に乗せる。
階段を駆け上がる音が聞こえた。髪の毛を振り乱してやってきたのは美帆子だった。
「美守!!!」
「……美帆子さん」
「ありがとう、美守は大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。よくわからないけどこの二人が何かしてくれたみたいで。今は眠ってるだけだ」
虹雨たちも、うなずく。
「ありがとう……なにがあったの」
「美守くんに口裂け女のような霊が乗り移ってたから追い払った」
「……どうして……」
美帆子は寝てる美守の頭を撫でる。そしてすやすや寝てるのを見て安堵の表情だ。そのあと真津マスターも入ってきた。
「じゃあ僕はもう帰るね。あとは……美帆子さん、マスターよろしくお願いします」
槻山は頭を下げて帰っていった。まだ業務の時間である。
「……美守、ごめんね」
と美帆子が謝る。
「美帆子さん、何も悪くはないよ」
マスターがそういうと彼女は首を振る。
「私の家系は代々子供の頃に霊能力を授かって生まれるの。でもそれは子供の頃に消えてしまうの。現に私は何も見えない……」
虹雨はそれを以前聞いてはいた。しかし全くそういうふうには見えず、本当に一般人なのである。
「でも子供の頃に能力は消えるんだろ」
「そう、子供の頃に……」
「いつなんだ、子供の頃って」
「私もいつかわからないけど母が言うには四年生の頃じゃないかって」
美守は今年四年生になる。美帆子とマスターが優しく寝ている姿を見守る。
先ほどまでいた槻山もずっとそばにいたかっただろうと虹雨はふと思うがしょうがないかと少し寂しい気持ちになっていた。自分も片親であり、新しい父親と少しわだかまりがあるからである。
「……ぼく、どうしたの」
そんな最中、美守が目覚ましたのだ。美帆子夫婦は驚き、まだ横になってなさいと言うが美守は体を起こした。
「……どうしてここに横になっているの? 僕」
コメント
1件
うわー、今回もすごい展開でしたね。美守くんがまさか自分で霊を連れてきてたなんて……しかも口裂け女の「モノマネじゃない!」って抗議、ちょっと切なくて笑ってしまいました。虹雨さんの「とっととうせろ!」の一喝がかっこよかったです。最後の美守くんの「どうしてここに?」の記憶がない感じも気になります。続きが気になる終わり方でした!