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数日後。
怪異探求倶楽部の部室では、あの日、高館家で何が行われていたのか、信愛の口から部員たちへ一部始終が語られていた。
「猫の霊ね・・・」
焔垂がなんとも言えない表情で呟く。
「てか、そんな酷い事件あったんだね」
茜の言葉に、信愛は頷いた。
「6ちゃんねるのペット嫌い板って、元は無責任な
飼い主を非難する為の板だったらしいんだけど
次第に動物が嫌いな人が集まるようになって
最終的には動物を虐待したり
いじめたりする板に変化していったんだってさ」
「なんでそっちにシフト
しちゃったの?って感じだけどね」
さくらが呆れたように眉をひそめる。
「確かにね!元のままの板だったら
かなり有益な板になってた筈なのにね」
「ホントそれだよ」
信愛も同意する。
すると焔垂が、ふと思い出したように口を開いた。
「俺も今朝、白縫さんから話聞いた
後にネットで調べてみてさ。当時の
書き込みがまだ残ってたから読んでみたんだよ」
「まぢで!?」
茜が身を乗り出す。
「ど、どんな内容だった?」
信愛が恐る恐る尋ねると、焔垂は露骨に顔をしかめた。
「酷すぎて最後まで読めなかった
吐き気したよ・・・まじで」
「そんなに酷かったの?」
さくらの問いに、焔垂は重い口調で続ける。
「わさび塗った割り箸を猫の肛門に
突き刺したら面白かった!とか」
一同の表情が凍りつく。
「犬の目に目薬の代わりに
アルコールかけたら面白い声出した!とか」
「うっそ・・・」
信愛が顔を引きつらせる。
「まぢで・・・」
茜も絶句した。
焔垂の口から語られたあまりにも非情な投稿内容に、一同は言葉を失う。
しばらく、部室には重苦しい沈黙だけが流れた。
やがて、さくらが沈痛な面持ちで口を開く。
「しかも、面白かったってさ・・・それってつまり
言い方から察するに実体験って事だよね?
わさびとかアルコールとかさ・・・」
「そう・・だよね・・・」
茜の声から、いつもの明るさは完全に消えていた。
「やばすぎだよ・・・あれ」
焔垂は嫌悪感を隠そうともせず吐き捨てる。
「血の通った人間がやる事じゃねーよ」
「そりゃ猫の霊も怒るの無理ないよね」
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
信愛の言葉に、誰も反論できなかった。
そこで、さくらがふと思い出したように朝陽へ目を向ける。
「でもさ?今回は朝陽くんがアレルギーじゃなかったら
気づかなかったかもしれないよね」
「それは本当その通り」
信愛も素直に認める。
「お手柄じゃん♬よっ♬MVP♬」
茜が明るく囃し立てる。
しかし、当の朝陽は俯いたまま口を閉ざしていた。
いつもなら何かしら言い返してくるはずの朝陽が、妙に静かだ。
信愛が不思議そうに顔を覗き込む。
「ん?どうしたの?」
しばらく迷った末、朝陽はおずおずと顔を上げた。
「いや、僕ってその・・猫アレルギーでしょ?」
「うん」
「それを理由に猫を殺しちゃう
人が居るなんて、信じられなくて・・・」
先ほどまで少しだけ戻りかけていた部室の明るい空気が、再び静まり返った。
「朝陽・・・」
焔垂が心配そうに名前を呼ぶ。
朝陽は俯いたまま、自分の胸の内に浮かんだ恐ろしい想像を口にした。
「僕は軽度のアレルギーですけど
もし重度だったら同じことしたのかな?
って考えたら、自分が怖くなったって言うか」
「朝陽くん・・・」
信愛が心配そうに見つめる。
だが、その沈んだ空気を吹き飛ばすように、茜が呆れた声を上げた。
「何バカな事言ってんの?」
朝陽が顔を上げる。
「朝陽くんなんて蟻すら殺せなそうじゃん?
猫殺して見せ物にするなんて
そんなのあるわけ無〜い♬無〜い♬」
「きゃはは、確かに♬」
さくらも思わず笑みをこぼした。
その言葉に、朝陽は少しだけ困ったような表情を浮かべる。
「なんか遠回しに貶してませんか?」
「まぁ言い方には若干のディスあるけど」
焔垂が苦笑しながら続ける。
「茜と花牟礼の言う通りだよ。朝陽は心配すんな」
そして、迷いのない声で言い切った。
「もしそうなりそうなら、俺らが全力で止めてやる」
「先輩・・・」
朝陽は思わず焔垂を見つめた。
先ほどまで胸の奥に渦巻いていた不安が、その一言で少しだけ軽くなったような気がした。
コメント
1件
うわ、今回のエピソードは重かったですね……。ペット虐待の書き込みを実際に読んだ焔垂の「吐き気した」って言葉が、何より生々しくて。それでいて朝陽が「自分のアレルギーが重度だったら同じことしてたかも」って自問するシーン、すごく人間らしい不安だなと思いました。でも茜の「蟻すら♡♡♡なそう」ってツッコミと、焔垂の「全力で止めてやる」で救われた感じ。仲間に囲まれてるからこそ、ああいう弱さも吐露できるんだろうな。×××さん、キャラ同士の掛け合いのバランスが絶妙ですね。