テラーノベル
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「にゃあ」
ある日、マンションに帰るとそんな鳴き声と共に猫が1匹
ブルーがかったグレーの毛並みのその猫は俺を見るとタタタッと軽い足取りで走り寄ってきた
「なぁに?お前、どこの子?」
「にゃ〜」
まるで返事するかのように一声
そのまま足元にスリスリと頭を擦り付けてきた
「ふふっ……お前可愛いな」
「にゃあ」
動物にはあまり縁がないけど、こうやって人懐っこい子を見ると可愛いなと思う
しゃがんで頭を撫でると嬉しそうにゴロゴロとノドを鳴らした猫に思わず目尻が下がる
「じゃあね、ちゃんと家に帰りな」
首輪はしてないけど、これだけ人に懐いているんだ
きっと飼い猫だろうと思い、さっともうひと撫でしてそう言って立ち上がる
「にゃ……」
立ち上がった俺を見上げる瞳と目が合う
愛らしいその目に後ろ髪を引かれながらマンションの自動ドアをくぐり、エレベーターに乗り込む
「え……!」
「にゃ〜ん」
エレベーターの中でドアが閉まった瞬間、足元に感触がして驚いて見ると、玄関前で別れたはずの猫が見上げていた
「え、ちょ……着いてきちゃダメだよ」
「にゃ〜」
『なんで?』とでも言うような顔で見てくる猫
上目遣いのその目に何故か既視感を抱く
『え〜、なんでダメなの?』
同じような目で訴えてきたのは誰だっけ?
「にゃぁ〜」
「え……どうしよう……」
幸いこのマンションはペット可だけど不在の時間が多い俺には飼うなんて無理だし、きっと本当の飼い主が探しているだろう
「んにゃあ」
こちらの気持ちなんか知らないとばかりに擦り寄る小さな体を追い出すことなんてできなくて、そっと抱き上げると猫は満足そうに、にゃあと鳴いた
「でもどうしよう……しばらく翔太呼べなくなっちゃうな……」
ふと、猫アレルギーだった恋人の事を思い出し、呟く
「にゃっ!」
「ん?何〜?」
「にゃあ〜」
突然耳をピンと立てた猫は何かを言いたげに顔に手を伸ばしてきた
「ははっwwくすぐったいって〜ww」
そのままペロペロと顔を舐められて思わずくすぐったさに笑う
「まぁ、仕方ないか……お前のご主人様が見つかるまでだぞ〜?」
そう言いながら鍵を差し込みドアを開けると、猫はパッと俺の腕から降りて我が物顔で家の中に入って行った
「なんだか翔太みたいだなw」
「にゃ〜」
その気まぐれな姿に恋人を重ねて、ふとさっきの既視感は翔太だと気付く
「ふふっw翔太が猫だったらこんな感じかもね」
「にゃあっ」
「なぁに?もしかしてお前の名前“しょうた”なの〜?w」
「にゃ〜」
まさかと思いつつも“翔太”の名前に反応する猫
「……しょうた?」
「にゃ〜」
名前を呼ぶと足元にポンと前足を乗せて立った
「今日は翔太来ないし……じゃあ今夜はお前翔太の代わりだね」
「んにゃあ〜」
「ふふっ、可愛い」
それから猫は俺から全く離れようとせず、一緒にベッドに入った
いつも感じている恋人の温もりとは違うフワフワした温もりに癒されて、すぐに夢の中に……
「………ぃ、」
「ん……」
「亮平〜」
「………んん?」
翌朝、カーテンから覗く光と共に聞こえてきた声に徐々に頭が覚醒する
………声?
「え?」
「おはよう」
「え?翔太??……あ!ちょっと待って、今猫がいて……」
目の前にいたのは恋人で、昨夜の出来事を思い出して慌てて起き上がる
猫がいる部屋に翔太が来てしまったと思って周りを見渡すが、あの猫の姿がない
「あれ……?」
「………」
「昨日、猫を拾って………って、なんで翔太裸なの?」
混乱する中、改めて翔太を見ると艶やかな肌が惜しげもなく晒されていた
「え?昨日シたっけ……?」
「……にゃあ////」
「え?」
記憶を辿ろうとしていると、翔太は真っ赤な顔で小さく鳴いた
「………昨日の猫……俺////」
「………は、はぁ!?」
確かに翔太に似てるなと思ったし、翔太の名前に反応したけど………あれが翔太??
「なんでか知らないけど、急に猫になっちゃって……どうしようと思って亮平のトコに来たの」
「え……え??」
「……にゃあ」
「ーーー可愛いっ!」
「ふはっw猫と俺どっちがいい?」
「昨日の猫も可愛かったけど、やっぱりこっちの翔太がいい!」
「がははっww」
「ふふっwじゃあ色っぽい姿の翔太にはたくさん鳴いてもらおうかな〜♡」
「………へ?」
「可愛く鳴いてね」
「え、ちょ……待っ……!」
なんで翔太が猫になったのかは分からないけど、せっかく現れた可愛い恋人(しかも全裸)
いただかないわけないよね?
おしまい
コメント
16件
猫の日かぁ〜 気付いたら、終わってた🤔 色々、探して見てみよう🐈⬛
ここからやろがい😇😇
