自分の指先で慰めた時の快感とは全然違い、男の人から触れられる感覚に、奈美の全身が泡立つのを感じた。
「俺、今日は君を堪能するって……言ったよな?」
ゾクリとする妖艶な笑みを湛えた後、豪はショーツに手を掛け、焦らしながら剥がしていく。
不意に、彼が奈美の膝下と背中に腕を差し込み、身体を抱き上げた。
これから直に口淫される事で、何も考えられない状態の彼女は、思いもしなかった豪の行動に瞠目する。
「え? な……何!?」
いわゆる『お姫様抱っこ』の状態で、彼はベッドに向かうと、丁寧に下ろして横たえた後、彼女の頭の横に両手を突いて被さった。
「なぁ、奈美さん」
驚いたまま、彼女は彼を見上げる。
「ソファーでしても、奈美さんの体勢が辛そうだから、ベッドに移動したんだけど、大丈夫か? ワンピースも、着たままでするのはシワになるから、俺としては脱いだ方がいいと思うんだけど……」
細身の身体を硬直させる奈美と、微苦笑を見せる豪。
「もちろんセックスはしないし、奈美さんが嫌なら、着たままでいい」
彼女は、彼から顔を背け、しばらく考えた。
(口ではそう言ってるけど、もしかしたら……。でも、シワだらけのワンピースで帰るのも嫌だし……)
なぜか分からないけど、豪は、奈美の意思を尊重してくれる気がした。
行為の前に、ちゃんと確認してくれたのだから。
奈美は、大きく息を吐き切った後、ゆっくりと彼に面差しを向ける。
「ワンピース……豪さんに脱がせてもらっても…………いいですか?」
笑みを浮かべた豪の表情は、安堵の色を滲ませているように見えた。
勁くて男らしい腕が、奈美の背中を支えながら起こすと、ワンピースのファスナーに手を掛ける。
静かな部屋に響くファスナーを下げる音が、秘め事の始まりを告げるよう。
柔らかなベッドサイドの灯りに包まれる中、両手を上げると、彼はスルリとワンピースを抜き取り、奈美をふわりと抱きしめる。
「さっきも言ったが、君が嫌がる事はしない」
「はい……」
耳元で囁く豪の甘やかな声音と、首筋から仄かに香るミント系の爽やかな香りに、奈美は気を失いそうになる。
彼は服を着たままで、彼女はブラとキャミソール、下は何も身に付けていない状態。
あまりにも恥ずかしい格好をしている奈美の頬が、ますます紅潮していった。
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