「なが、いくん……だめっ……」
「会社でこんなことして、気持ちいい?」
いやいやと首を振ってもやめてもらえない。お腹の奥がきゅんとして苦しい。
くりっと胸の先端をつままれると、押さえた口から声が漏れた。
「ああっ……んんぅ……!!」
「気持ちいいの認めたら?」
永井くんのもう片方の手が、すっと下がってスカートの裾から入り、脚の間をゆっくり擦る。
「湿ってる。これなに?」
「もうっ、だめぇ……誰か来ちゃう」
このフロアには誰もいなくても、誰かが来る可能性がないわけじゃない。
私の心配をよそに、永井くんの手が脚の間の小さな私をクロッチ越しにぐりっと押したり、つまんだりして弄ぶ。 ぱっと彼が離れ、急に現実に引き戻されてぽかんとする。
身体が中途半端に疼いている。落ちたファイルを永井くんが拾い上げて私の顔を覗き込んだ。
「仕事、早く終わらせましょう」
「うん……そう、だね」
資料さえ確認できれば終わりが見えてくる。もう少しやって、あす休日出勤すれば問題ないと告げると、それはダメだと言われて首を傾げた。
「明日は無理です」
「え、な、なんで」
「たぶん離してあげられないので」
「はい?」
なんとか今日中に終わらせようという永井くん。訳がわからないまま、資料を持って出て行く彼を追いかける。フロアに戻ればもう誰もいなくて、デスクで2人で資料とカタログを照らし合わせ始めた。
意外とこの作業が大変で時間がかかるのだが、永井くんのおかげでサクサクと進む。1時間ほどで作業を終えて、確認済みの付箋を付け総務課に提出してきた。
「ありがとう永井くんのおかげ」
エレベーターに乗りながら、永井くんに声をかけた。
「お役にたててよかったです」
ぐっとエレベーターの操作盤の前に追い詰められる。他に乗っている人はいないけれど、明らかに距離感がおかしい。
彼の無言の圧を背中に感じていると、ふーっと首の後ろに息を吹きかけられて身体が小さく震えた。「やっ……」
「敏感」
1階に着くとすっとエレベーターから降りた永井くん。首の後ろがまだ熱い。若干むっとしながら永井くんの後ろをついて行く。誰のせいでこうなったの? その言葉を冷静に考えると、ものすごく恥ずかしいような気がして目を伏せた。
「荷物って家ですか?」
「ううん。駅のロッカーに置いてきたの。取りに行ってから向かうね」
会社を出たところでそう話すと、俺も行きますと言って永井くんはついてくる。
最寄り駅のロッカーの鍵を開けると、当たり前のように荷物を持ってくれた。
「重たっ。何入ってるんです? 石?」
「もうっ、女子はいろいろ必要なの!」
ふーんと言いながら、2人で歩きはじめる。彼のマンションが見えてくると、ドキドキと胸が鳴った。
「夕飯はチゲ鍋です」
「うわー!!! 美味しそう!!」