テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
耀聖(ようせい)
112
567
17
皆さんこんにちは!芽花林檎です!
今回も続きに参りたいと思います!
では、ご覧ください!
ーそれから。
暖樹(はるき)は、”彼女”と何回か話したが。
どこか、違う気がした。
何回もそう思った。
根拠なんて、どこにもないのに。
ただ、なんとなくだが。
見ている世界が。
感じている世界が。
知っている、世界が。
どこか、決定的に、まるで暖樹と”彼女”の間に溝があるように、
違っていた。
例えば。
誕生日の話題。
暖樹はもうすぐ誕生日だった。
だから、その話をして、彼女についても聞こうとした。
でも。
彼女は、その時。
何も答えなかった。
ただ、沈黙が流れた。
彼女は、ただ、黙っていた。
答えたくなかった、ようには見えなかった。
むしろ、
知らない、ように見えた。
そのことに関して知識がない。
そんなようだった。
暖樹は不自然に思った。
何故、知らないのだろうか。
でも、暖樹はそのことを聞く気になれなかった。
なんとなく。
何となくだが。
根拠などないが。
訊くのはやめておいた。
例えば。
一緒に歩いているときに見つけた小さな水色の花。
「この花、知っていますか」
暖樹は訊いた。
初めて見た花だった。
すると。
彼女は。
「知らない」
そう、答えた。
沈黙。
すると、彼女は、
「名前がないと、ダメ?」
と聞いた。
「名前があった方が、いい気がする」
と答えた。
名前があった方が、親近感がわくでしょ、ーーー
そう、言おうと思った瞬間。
暖樹は、その言葉を吞み込んだ。
彼女、の表情が、あったから。
表情が、消えていた。
言葉を、失っていた。
それに、驚いたのは勿論だが。
それ以上に。
その奥に。
彼女の、その表情の奥に。
どこか、寂しそうな、
悲しそうな、
感情が隠れている、
そんな気がした。
そう、直感した。
だから。
何も、言わなかった。
そこから、彼女は、口を開かなかった。
たとえば。
ぬいぐるみ。
道端に落ちていた、ぬいぐるみ。
捨てられたものだろうか。
古ぼけて、傷ついた、中の綿が飛び出してしまった、ぬいぐるみ。
クマの。
無造作に、捨てられていた。
布は黒く汚れ、
泥にまみれてしまっていた。
それを見つけた時、彼女は。
そっと、それを拾って。
泥を払って、暖樹に、
「洗い場、ある?」
と聞いた。
暖樹は
「向こうにありますよ」
と答えた。
すると彼女は、そのまま洗い場へ向かった。
そこで、丁寧に汚れを洗うと。
それを持ったまま、歩き出した。
不思議だった。
そんな風に。
丁寧に、扱っているのを、暖樹は不思議に思った。
いつも、無表情なのに。
最近、少しだけ表情が和らぐことはあるけれど。
それでも。
めったに笑わない。
笑っているところを、全然見ない。
でも。
冷たい、人だとは暖樹は思わなかった。
ーーこんな風に。
暖樹は、彼女と会うたび、
彼女の一つ一つの行動が、
一つ一つの表情が、
言葉が、
不思議に思えた。
驚いたことも何度もあった。
どうして、そんな表情をするの。
どうして、そんな風に行動するの。
どうして、どうして、どうして?
暖樹は、彼女に会うたび、そう思っていた。
そういえば。
暖樹には、もう一つ、不思議に思うことがあった。
最近の、授業。
社会科。
この国の、データ解析。
変だった。
データが、合わない。
人口データと、
総生産。
どうにも、変だった。
労働人口に対して、
生産されているものの量が、釣り合っていない気がした。
ーー多い。
人口のわりに、総生産額が高い気がした。
データの間違いかな、と暖樹は思った。
だから、先生に訊いてみた。
すると。
「何を言っているんだ、君が間違っているのではないかい、もう一回解析してごらん」
と言われてしまった。
違和感を覚えた。
何故、だろうか。
どう考えても、
何回、計算しても。
”全て”、の暖樹の知識を総動員しても。
得意の数学の知識を使って、別のアプローチをひねり出して検証しても。
判らなかった。
解析できなかった。
どうしても、データがあっているようには思えなかった。
”国”の省庁が出しているデータなのに。
あっているはずなのに。
正しい、はずなのに。
この国の信頼できる機関のはずなのに。
間違っている、気がした。
どうしてだろうか。
不思議だった。
何か、自分の知らない”労働力”、があるのだろうか。
そうでなければ、こんな総生産額、できるはずがない。
そう確信できる数値だった。
だから、調べてみた。
家で。
パソコンを開いて。
無性に気になってしまったから。
何故だかわからないけれど。
ずっと、白い画面と向き合っていたが。
どうしても、見つけられなかった。
原因を見つけられなかった。
数時間を費やしても、わからなかった。
親に聞いても、答えは出てこなかった。
ーーーこんな風に。
最近、不思議に思うことが増えてきた。
今まで、当たり前だと思っていたことが。
少しずつ。
不思議、に思えてきた。
何故だろう。
どうしてだろう。
そう思う機会が増えた。
何故だかわからないが。
でも、なんとなく。
暖樹にはその原因がわかる気がした。
そういう感覚があった。
そうーーーーーー
夢を見ていた。
また、夢を見ていた。
今度は、鮮明な夢だった。
現実味を持った。
不思議な夢。
ランタンの、光の下で。
その、地下で。
その、地下で。
ーーーー彼女が、
縛られて、
吊るされて、
そして、
そして、
白衣を身にまとった、
男が、
1人の、
男が、
彼女の身に、
どす黒い、
試験管に入った、
液体をーーーーーーーーー
一瞬。
ー衝撃。
ー爆音。
そして、
彼女の、
頬から、
赤い、
恐ろしいほど、
綺麗な、
不気味な光に反射する、
宝石のような、
綺麗な、
色の、
液体が、
流れ出ていてーーーーーーー
はぁ、
はぁ、
はぁ、
はぁ、
なんの、夢だよ。
何で、こんなゆめをみるんだ。
暖樹は起き上がった。
落ち着け、夢だ。
夢だよ。
あんなこと、あるわけない。
でも。
どうしても。
あの、鮮明な光景と。
生々しい、あの、感覚が。
その願望を、ゆっくりと破壊していく。
あはは、そんなことないよね。
こんな、国に、そんなことあるわけないもんね。
先生の言葉がフラッシュバックする。
ずっと前の、あの授業の、先生の、言葉が。
ーーーーー「””政府””の”福祉政策”や”雇用支援制度”が成果を上げている”結果”、ですね」………………..
今回もお読みいただきありがとうございました!
まだまだ続きます!
お付き合いくださると嬉しいです!
追伸:フォローしてくださっている皆様、ありがとうございます!
本当に嬉しいです!
これからもよろしくお願い致します!
お時間があれば前のお話も見ていただけると嬉しいです!
では、また次のお話でお会いしましょう!!
2026/08/29 芽花林檎
コメント
2件
ありがとうございます!
うわぁ〜今回もめっちゃ気になる展開だった!😭💕 暖樹くんが感じてる「違和感」の積み重ね、すごく丁寧に描かれててドキドキしたよ…!特に誕生日を知らない彼女の反応とか、ぬいぐるみを丁寧に洗うところとか、ひとつひとつの描写が「なんで?」って思わせる伏線になってるのがエモすぎる…! 最後の悪夢、あのビジュアルが脳裏に焼きついて離れないんだけど!? 政府のデータの矛盾も気になるし、この世界の真実がちょっとずつ見えてきそうで続きが待ちきれないよ〜!✨ 芽花林檎さん、また面白い話をありがとうございます!🌸