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冒険者組合に着いた俺は、早速受付嬢へと声をかける。

「こんにちは。どうなりました?」

「こんにちは。セイさんですね。いい人が受けてくれましたよ。呼んできますね」

そう言ってカウンターを離れていく。

先程と違いまばらに冒険者はいるが、美人な受付嬢に声を掛けたら起こると言われているテンプレは起こらなかったな。

今それが起こっても、いいようにやられるだけだが……



「お待たせしました。

こちらが今回の依頼を受けてくれたミランさんです。

歳は13歳と若いですが、知識も豊富で有望な若手です。

こちらは依頼を頂いたセイさんです。

では、後はお二人でお願いしますね」

後は若いお二人で。お見合いか!

冗談はさておき。

「セイです。ここではなんですので、場所を変えたいのですが、大丈夫ですか?」

「ミランです。街中であれば大丈夫ですよ」

ミランの答えを聞いてから、冒険者組合を二人で出た。




「どこか軽食を摘めて静かなところを知りませんか?」

組合の外に出ると、早速俺は尋ねた。

何せ、何も知らないからな。

「んー。では、偶に行く食事処でもいいですか?」

「構いません。案内お願いします」







案内された場所は地球でいうところのカフェのような建物だった。

画像


「いらっしゃいませ。ご注文は?」

ここでも美人な女性が注文を取りに来た。

「俺はサンドイッチと果実水を下さい。

ミランさんも如何ですか?ご馳走しますよ?」

流石に地球でいう中学生と割り勘はカッコ悪いです……

「宜しいのですか?では、同じものをお願いします」

ミランは異世界あるあるの西洋人風の見た目の金髪ではあるが、どこか学級委員のような雰囲気の美少女だ。

ここでも気を遣って同じものを頼んだしな。

「承りました」



店員のお姉さんが離れたところで話を切り出す。



「これからの話なんだけど他言無用で頼む」

よくよく考えたらこっちはお客さんだ。

あまり遠慮した喋り方だと逆に気を遣わせるかもしれないし、何より楽だから普通に喋ろうと決めた。

「もちろん組合にもだ」

「はい。口止め料のことも聞いているので、大丈夫です」

ミランは約束を守るタイプに見えるから大丈夫そうだな。

俺とは真逆だな……

「怖い言い方になったけど、実は大したことじゃないんだ。

俺はなぜここにいるのか記憶がなくてな。

それで困らない様に、ここの常識的なことを知りたいだけなんだ」

「はあ」

「な?いきなりこんなことを言われたら頭を疑うだろ?だから黙って貰うために口止め料も払ったんだ」

相手が年下の静かそうな子だからか、上手く言えたな。

「理由はわかりました。何から話せばいいですか?」

視界の端にさっきの店員が料理を準備しているのが見えた。

「それは料理を食べながらにしよう」



タイミングよく店員が来た。



「こちらがサンドイッチと果実水になります」

目の前に置かれたサンドイッチは美味そうだった。

謎肉も挟まれているが、この世界でも生きていくと決めた以上はなんでも食べるぞ。

女性が下がったのを確認してから、サンドイッチを手に取り食べた。


「美味いな!果実水もスッキリする」

向かいで同じように食べたミランも。

「はい!ここは店内も落ち着いていて、ご飯も美味しいのです!」

…急に子供っぽくなったが、大丈夫か?

「ところで聞きたい事なんだが・・・」

俺は聞きたい事をメモした紙を読みながら聞いた。

・時間や季節

・成人は?

・この街の名前

・国の名前

・この世界の名前

・大陸の名前

・学校の有無

・冒険者について

・入市税について

・人口について

・一般的な収入

・魔法について

が書き留めた事だ。

それを聞いたところ……

「流石に一度に聞かれても忘れてしまいます。

順を追って答えますね」

と言い、ミランが答えたことは、聞いたこと以上の内容だった。



・時間は1日24時間。後は半時間と四半時間が主流。細かい時間は一部の時計を持っている者だけが使うようだ。

暦は地球とほぼ同じでひと月30日。12ヶ月で一年。年始の5日がどの月にも属さない休日。一年は365日。この地も四季はあり、今は地球と同じ夏前。

・成人は12歳、結婚出来る年齢。庶民は18歳位で結婚することが多い。25で行き遅れくらい。

・この街の名前はリゴルドー。リゴルドー伯爵家が治める。

・国の名前はエンガード王国。王政。300年以上続いている。

・この世界の名前はここではソニーと呼ばれている。他の大陸では知らない。

・大陸の名前は中央大陸。

・中央大陸は20くらいの小国と大国からなると言われている。

・他の大陸のことはわからないらしい。そもそもあるかどうかも知らないみたいだ。

・学校はあるが、金持ちや貴族しか通えない。

・冒険者はラノベと変わりない。

・入市税が必要なのは壁に囲まれた街くらい。領民は出入り自由。冒険組合や商人組合に登録している者も、入市税はかからない。

・この街は25,000人くらいの人が暮らしていて、リゴルドー伯爵の領地全体で70,000人くらいの人口。

・国は3,000,000人くらいの人口。

・爵位は国王を筆頭に上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、騎士爵があり領地を持っていない法衣貴族、一代限りの名誉貴族がある。

・一般的な収入は月に150,000ギル

・四人家族で月に100,000ギル程生活費がかかり、それ以外に人頭税が年に大人(12歳以上)一人につき50,000ギル必要だ。

・魔法もある。魔力が多くないと使えない。100人に1人くらいが使えるが、魔法使いと言われるくらい使える人は1000人に1人。

魔導書で独学か、誰かに師事しないと使えない。

との事だった。



大変素晴らしい回答に、本当に13歳なのか疑念を抱いたが、この世界の人達はしっかりしているだけだと思うことにした。

「俺は商人組合に登録しているけど、人頭税はどうすればいいんだ?」

「セイさんの場合は商人組合が独自に税を払っているはずです。

ですので、必要ありませんよ。もちろん奥さんが居られたら奥さんの人頭税は必要ですが…」

最後の言葉は、どうせ俺みたいなやつは結婚相手がいないだろう?といったところか?

まあ、実際そうだから何も言えん……

「ありがとう。ミランはどうしているんだ?」

「私ですか?冒険者も商人と同じで組合が払っていますよ。

商人組合と商人さんも、冒険者組合と冒険者も持ちつ持たれつですね。

登録していいことも有れば、義務もありますから」

「なるほどな。ありがとう。ところで商人の義務ってなんだ?」

聞けば聞くほど聞きたいことが出てくる……

「私が知る限りですけど、商人さんは街を移動した場合、その街にある商人組合を通して商売をしなくてはなりません。

商人組合がないような村とかであれば良いと思いますが、勝手な商売は禁止されています」

「とにかく商人組合の許可を取れってことだな。

入市税はこのカードを見せれば免除されるのか?」

カバンから商人組合で貰ったカードを出して、テーブルに置いた。

「はい。私達の場合は冒険者カードが身分証になります」

「ありがとう。依頼は以上だ。サインするから紙を出してくれ」

俺はそう伝えたが、ミランはなかなか動かない。なんでだ?

「あの…こんなことでお金を頂いてもいいのでしょうか?」

やはり真面目な委員長タイプか。

「いいんだよ。冒険者も大変な依頼が多いだろ?

楽な時はとことん楽してもバチは当たらないよ」

怠け者代表に相応しい言葉を贈れたと思う。

「そうですか…ではお言葉に甘えます。

こちらにサインをお願いします」

サインをして木片を渡したら、俺たちは別れた。






あの後、俺は街をぶらついていたんだけど、明るいうちから月が見えたから帰還しようと考え、街の外に出た。


次に戻ってくるのは、ある程度地球での生活に目処がたってからだ。


宿には今日は帰らないと伝えた。


初めて街に来た時と同じ場所に着き、明るい時に薄っすらと見える白い月に願うことにした。


「地球に帰りたい」


…中々景色が変わらない。

やはり明るいうちは無理なのかと思ったその時、いつもの汚い部屋へと視界が切り替わった。



「はっきり月が出ないと、能力ちからが弱まるのかな?」

まだまだ謎が多い能力について考えるよりも、俺には楽しみが待っている。


「よしっ!サファイアを売りに行くぞ!」


俺は先ず、トータル100,000ギルもした宝石を売るため、宝石の買取をしているところをピックアップすることにした。





残金7,600円…在庫多数

〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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