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光の道の向こうから、ひとすじの流れ星がすべりおりてきた。それは広場の真ん中にふわりと着地して、
やがてやわらかな姿をととのえていった。
銀色の髪は夜空みたいにきらめき、
衣は星の光そのもの。
顔ははっきり見えないのに、
胸の奥にすっと届くあたたかさを感じた。
「……星の女王さま」
思わずわたしは声に出していた。
女王さまは、そっとほほえんで言った。
『ミナ。あなたの小さな手で集めた宝物は、
ひとつひとつがまごころそのものでした。
笑顔花はやさしさ、卵は勇気、星の粉は希望、
お手紙はまっすぐな愛、キャンディはぬくもり。
それらを結びあわせたのは、あなたの心なのです』
わたしの目に、涙があふれた。
「お兄ちゃんを……元気にしてください!」
女王さまは静かにうなずいた。
『あなたの願いは、すでにかなえはじめています。
あなたの行動が、お兄さんに笑顔を戻したでしょう?
それが魔法のはじまりなのです』
「でも……!」
声が震えた。
「まだ、お兄ちゃんは……」
女王さまはわたしの手を両手で包んだ。
星の光がじんわりと伝わってきて、
胸の中があつくなった。
『信じなさい。あなたの愛が、彼を生かす力になります。
ミナ、あなたはもう魔法を持っているのですよ』
わたしは涙をふき、うなずいた。
小さな手でも、本当に届くんだ。
広場には拍手と歓声がひろがった。
でも、わたしの耳にはただ、
女王さまの声だけが響いていた。