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#雪男BL
透子
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佐久間くんに対して、俺はちょっと怒ってることがある。
……この人、俺のこと絶対に馬鹿だと思ってる。
いや、そうは思ってなくても『蓮は鈍いからなぁ〜俺の気持ちになんて気付くはずないよなぁ〜』くらいのことは思ってそうだ。
あのさ。
流石に分かるよ。
だって佐久間くん、めちゃくちゃダダ漏れだからね。
俺のこと、好きでいてくれるんだよね?
仲間としてじゃなく、恋愛感情を抱いてくれてるんだよね?
言ってくれればいいのに、佐久間くんは必死に隠そうとしている。
多分、俺を困らせないようにって気を使ってくれてるんだろうけれど。
そんな気遣い、いらないんだよ。
だって俺も、佐久間くんのことが好きなんだから。
だから今回、お膳立てしようと思った。
佐久間くんが、俺に告白しやすいように。
『蓮が好きだよ』って、蓋をしようとして大失敗している気持ちを解放してもらえるように。
温泉に行きたいっていうほんとに小さな呟きを拾い上げて、俺から誘う形で旅行を決めて。
休みの件は……実はね、元々2人で出掛けないかって持ちかけようと思っていたから、佐久間くんのオフに合わせて空けておいたんだ。
こういう時、メンバー間で共有しているカレンダーアプリの存在は有難い。
そりゃあ、俺から言った方が早いのは分かってる。
でも……うん、俺は怒ってるんだよ。
俺の気持ちに気付いてないくせに、『蓮は鈍いから』って思い込んで俺のことを好きなまま諦めようとしてる佐久間くんに。
自分の方が鈍いじゃんって、言ってやりたいんだよ。
なんで告白する前から諦めんだよって。
……そんな訳だから、佐久間くんへの気持ちを隠すつもりもなく。
意味深な言葉を並べ立てて、翻弄している。
俺のことばかり考えて、俺のことで頭の中いっぱいにすればいい。
かくして。
佐久間くんはしっかり頭の中を『なんで?』『なに言われるんだろ?』『蓮はどういうつもりなんだろ?』でいっぱいにしているようだ。
脱衣所で服を脱ぎつつ首を傾げている佐久間くんの様子に、自然と口元が緩む。
……と、同時に、ね。
やっぱり少し、ムラムラしてしまった。
佐久間くんってさ、腹筋は綺麗に割れてるのに筋肉質っていう訳じゃなく俺よりずっと薄いんだよね。
肌が白くて、ウエストは細く全体的にしなやか。
純粋に風呂友として一緒に入る時は別にムラムラなんてしないのに、こう……多少の下心があると駄目だ。
(俺たちは風呂友、風呂友、風呂友……)
心の中で念じて、俺も服を脱ぐ。
ちらりとこちらへ目を向けた佐久間くんが、光の速さで顔を背けた。
ピンクの髪から覗く耳が、真っ赤になっている。
普段ならこんなことないのに、今は俺のことを意識しまくっているから。
(可愛いなぁ)
「佐久間くん」
「ンっ、ひゃいッ!?」
「……いや、どんな返事よそれ」
「う……だ、だって、びっくりして……」
「ふふ。そんなびっくりすることないじゃん」
「そ、そそ、そうなんだけど……っ」
「言っとくけど、まだ話さないからね」
「!!」
パッとこちらへ向けられた顔は、なんだか少しだけ泣きそうだった。
まだこの状態が続くのかって、思っているんだろう。
続くよ、当たり前じゃん。
こんなんじゃ足りないよ。
まだまだ俺のこと、考えててよ。
「蓮、なんか、意地悪……?」
「そう?別に意地悪してるつもりはないけど」
「ええ……絶対、俺のこと振り回して楽しんでるだろ!」
「アハ、それはどうかな」
そういうのは分かるんだ。
それなのに、俺が佐久間くんのことを好きだなんて少しも気付いてない。
というか……端からその可能性を考えてないんだろうな。
『蓮が俺のことなんて好きになるわけない』って、諦めてる。
諦めないでよ。
俺の気持ちに気付かないまま、俺の好意を否定しないで。
「佐久間くん、早く入ろ。時間は有限だよ?リビングでまったりするんでしょ」
「ハッ……そうだった!」
すぽーん!と潔く全部脱いだ佐久間くんは、俺を見上げてにっこり笑った。
「蓮も早く!」
「……うん」
(相変わらず切り替えの早さがすごいな)
自他ともに認める切り替えの鬼。
さっきまで不安そうだったのに、もうニコニコ笑っている。
これだけ感情をストレートに表現出来るのに、どうして自分の気持ちには蓋をしてしまうんだろう。
そういうちょっぴり臆病なところも可愛くて好きなんだけど。
さておき、佐久間くんにグイグイと手を引かれ浴室へ。
入ってすぐのところはシャワーブースになっていて、ガラスで仕切られた向こう側に開放感のある露天風呂が見える。
佐久間くんは大きな目を更に大きく真ん丸に見開いて、『ふぉわぁ〜〜』と面白い声を上げた。
「露天風呂だぁ……」
「アハハ。宿決める時に写真で見たじゃん。同じ反応してる」
「だって!やっぱ実物見るのとは違うよ!うわぁぁ……早く入りたい!」
「まずは身体と髪洗ってからね。……やってあげようか?」
「え……っ」
さっきまで目をキラキラさせていたのに、どこか戸惑いを浮かべた表情でこちらを見上げる。
ほんと、可愛いんだから。
「いつも背中とか流し合いっこしてたじゃない?久しぶりにやろうよ」
「う、え、えっとぉ……きょ、今日はいい!」
「ええ……なんで?」
「な、なんで、って……なん、な、なんか、緊張する、からぁ……」
なるほど、意識し過ぎて緊張するってことね。
理解はしたけど、それはそれ。
「却下」
「うぇ!?」
佐久間くんの肩を掴み、檜の椅子にちょんと座らせる。
慌てて立ち上がろうとする上から、シャワーのお湯を出して被せた。
「わぷっ……れ、れぇん!」
「はーい、シャンプーするよー」
「ちょ、だから自分ででき……っ、ほわ」
風呂場に用意されているシャンプーとトリートメント、ボディソープは、敏感肌用で日本製の物らしい。
ちゃんと事前に調べて来たから、俺も佐久間くんもこの辺の物は持ってきていない。
まずはシャンプーを佐久間くんの頭に乗せ、ふわふわと泡立てる。
そこまでされてようやく、大人しくなってきた佐久間くん。
くすぐったそうに肩を竦めて、でも鏡に映る顔は気持ち良さそうだ。
「そういえば、カラシャンは持って来なかった?」
「ん。昨日したから、今日は大丈夫だし」
「綺麗に染まってるよねぇ」
「すっげぇ傷んでるけどなー」
「そう?ふわふわだしサラサラだよ?」
「ケアは頑張ってるもん。でも毛先とかはやっべーの。ブチブチ切れちゃうしさぁ。……蓮はあんまり染めたりしないから、ホントに綺麗だよね。ほとんど傷んでない」
「俺、派手髪色似合わないんだよ」
「えー?そんなことないと思うよ?なんでも似合いそう!ほら、銀髪似合ってたじゃん!」
「あー……映画の時のね」
情報解禁になった時の、佐久間くんの反応が可愛かったのを思い出す。
『すげぇ似合ってんな!なんかズルい!』
『銀髪、めちゃくちゃカッケー!』
なんてひとしきり騒いで……それから小さく呟いたの、俺は聞き逃さなかったよ。
『でも、やっぱいつもの蓮が好きだなぁ……』
ってさ。
ほんと可愛いよね。
これで俺に気付かれてないと思ってるんだから。
ちなみに、メンバーもみんな知ってると思う。
俺の佐久間くんへの気持ちもね。
まあ俺の方はそもそも隠そうとしてないから。
岩本くんやふっかさんにはそれとなく『俺たち以外にバレないようにな』とか『ほどほどにしねーと週刊誌に抜かれんぞ?』とか言われている。
あとは、まあ……『がんばれ』とも。
うん、頑張るよ。
東京に戻る頃には、関係性が変わってるように。
「……よし、1回流すよ。目、閉じててね」
「はぁーい」
洗われることを遠慮していたけれど、やっと諦めたらしい。
言われるまま目を閉じる佐久間くんの頭からもう一度シャワーを浴びせ、泡を流していく。
トリートメントしてる間に背中や腕を擦って……前側を洗うのは丁重に断られた。
いや、俺だって流石に、そっちは……色々我慢出来なくなりそうなのでやるつもりなかったけど。
この後、佐久間くんも俺の髪を洗ってくれた。
背中を流してる時にちらりと肩越しに見た彼の顔は、逆上せたみたいに真っ赤で。
あまりにも可愛くて、うっかり手を出しそうになってしまった。
いけない。我慢我慢。
前は自分で洗って、綺麗に泡を流して立ち上がる。
膝立ちになっていた佐久間くんの手を引いて立たせると、濡れそぼったピンクの髪を後ろへ撫で付けた。
「湯船浸かろう」
「うっ、ん……」
視線をしきりに泳がせて、小さく頷く。
多分頭の中は『何この状況!』でパニックになってるんだろう。
まだまだ、こんなもんじゃ許さないよ、佐久間くん。
もっといっぱい、俺のこと意識しててね。
*****
意地悪目黒くんの種明かし回でした^^
次はそろそろセンシティブの続き書こうかな……
コメント
1件
おお〜来た来た!蓮くんのモノローグ回、待ってました! 「佐久間くんは俺のこと馬鹿だと思ってる」から始まる冒頭、もうニヤニヤが止まらなかったわ。しかも「俺も好きなのに、なんで告白する前に諦めんだよ」って逆ギレしてるとこ、完全にツンデレじゃん(笑) 風呂場で「やっぱりムラムラしてしまった」からの必死に「風呂友」って念じる蓮くん、可愛すぎるだろ。佐久間くんが耳真っ赤にしてる描写もエモかった〜。二人とも鈍感なのに確実に両思いなの、尊すぎて胸が苦しくなった。 「もっといっぱい、俺のこと意識しててね」ってラスト、もう完全に恋する男の顔。次回の告白、心臓バクバクで待ってます🔥