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今日の儀式、キラーは誰だろう。
「ちょっとあんた。なにボケッとしてるの。そろそろ始まるわよ。」
「嗚呼、うん。」
ローリーに背中を叩かれて我に帰る。
「まだあの男の事考えてるの?いい加減忘れなさいって。」
「でも…」
フェンミンの言ってることは正しかった。
いい加減私も忘れないと…でも、ジウンがゴーストフェイスに何をされてるのか心配で…。
「彼も男なんだし、向こうでも上手くやってるはずだよ。」
「ドワイト…うん、分かった。」
三人に励まされて、少し荷が軽くなった。
私はポケットを触り、あるものがちゃんと入ってるのか確認をした。
「来たわ。」
ローリーがそう言った瞬間、足元に霧が迫っているのに気がついた。
「みんな、全員生存を目指そうね!」
ドワイトが言う。
「ええ。」
次に目を開けると、景色が変わっていた。
「みんなバラバラのところにいるみたいね…。」
目の前にあった発電機を修理して、向こうの方で誰かがフックに吊るされたため、その場に向かった。
どうやら吊るされていたのはローリーらしい。
「今日のキラー、トリックスターよ。」
そう言われ、治療中だった手を一瞬止めてしまった。
「前より格が違うわ。強くなってる。」
「…そう。教えてくれてありがとう。」
「こちらそこよ。私は向こうの発電機を修理するわ。」
「分かった」
お互いに別の場所に向かった。
「そっか…ジウンか…。」
『強くなってる』
「よかった…向こうでも頑張ってたんだ。だったらこれも返せる。」
なんて独り言を呟きながら、まだ一度も触られてなかった発電機を見つけて修理していた。
あともう少しで終わる、そう思った瞬間…
「君…」
聞き覚えのある声がした。
ローリーでも、フェンミンでも、ドワイトでもない。
「ジウン…」
「あぁっ!!」
彼は走りだし、私を抱き締めた。
「ごめん…ごめんね…?何も言わないでいなくなっちゃって…」
声が若干震えていた。
きっと泣いてるんだろう。
「ううん、いいのよ…会えてよかった…」
私も抱き締め返し、彼の背中を擦った。
「これ、返そうと思って。」
そう言って私はポケットから、彼の置いていったボイスレコーダーを渡した。
「それ、僕の…」
「ずっと返そうと思ってたんだけど、中々会えなくてさ…」
彼にそれを渡した。
顔を見てみると、やはり泣いていた。
涙でマスカラがぐちゃぐちゃだ。
「ジウンって相変わらず涙もろいよね。」
私はまた彼の涙をハンカチで拭ってあげた。
これで私の目的も果たされたことだし…
「…よし!ジウン、私と鬼ごっこしましょ?あなたが鬼ね。」
「え?」
「捕まえるならどんなやり方でもいいから!さ、行くわよ!」
彼の役目も果たさないと。
「う、うん…!」
ジウンのナイフ投げは驚くほどに上達していた。
岩の後ろに隠れても、少しの隙間があるならそこを狙ってくる。
「あぁっ…」
あっという間に私は瀕死状態になってしまった。
「ごめんね…」
再び泣きそうな眼差しを向けられる。
「っ…あなたはキラーよ。役目を果たしなさい。」
「……」
彼は何も言わずに私を担ぎ上げ、フックに吊るした。
「ぁあ″あ″あああああ~~!!!」
痛い…叫ぶだけじゃこの痛みは静まらない。
「~っ!いい音だよ!!」
ジウンの顔は火照っていた。
何故かは分からないが、その言葉が少しだけ嬉しかったのは何故だろう。
彼が本来思うはずの事を口にしたからだろうか。
私の今まで見ていたジウンの面影がどんどん消えて行く。
これで良かったんだ。
「さようなら…ジウン。」
そして私はトリックスターに何度もフックに吊るされ、処刑されてしまった。