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「美花! 昼休みだよ。お昼に行こう!」
リーチフォークに乗り、荷物を出荷エリアに運んでいる時、透明感のある声が美花の背中に放たれた。
「ちょっと待って〜!」
運転しながら返事を返した後、フォークリフトを充電エリアに移動させ、美花はヘルメットを運転台に戻すと、声の主の元へ駆け寄った。
「なみプー、遅くなってごめんっ!………って、あれ……? 所長!?」
「浦野さん、お疲れさま」
「所長、お疲れさまですっ」
今日は普段とは違い、奈美の後ろには、所長の谷岡 純が一緒にいた。
(あ。そういえば、なみプーの旦那さんと所長って、親友なんだよねぇ。すっかり忘れてたよ……。それにしても所長、何だか雰囲気が変わったように見えるのは、気のせい……?)
年齢よりも若々しく見える谷岡は、どこかチャラい部分もあるけれど、久々に見た上司は、落ち着いた雰囲気を纏わせている。
谷岡は、人懐っこい笑みを湛えて、緩くパーマの掛かった髪をざっくりと掻き上げた。
「美花。今日のお昼、ファクトリーズカフェでご飯にしようよ。所長が奢ってくれるって!」
「いやぁ…………本橋さんには、色々と世話になったからなぁ。浦野さんも、女性リフトマンとして毎日頑張ってくれてるし……。他の人には内緒な?」
美花は、目を細めた谷岡に、いたずらっぽい笑みを向けられる。
「所長、早くカフェに行きましょう! 所長だって早く行きたいですよね?」
「あっ…………ああ、まぁ……な…………ハハハハッ……」
奈美がニターッと意味深に笑みを覗かせると、谷岡が照れたように苦笑している。
「では遠慮なく、ご馳走になります、所長っ」
「よし、さっそく行くか」
谷岡に先導され、美花と奈美が上司の後についていく。
カフェのドアを開けると、エキゾチックな顔立ちの女性店員に出迎えられ、緩やかに波を打つ肩までの髪を揺らしながら、ニッコリと笑顔を見せられた。
「いらっしゃいませ。純さん、お疲れさまです」
「お疲れさま。席、空いてる?」
女性店員と谷岡の会話を耳にしながら、美花は、ん? と思う。
二人の間に漂う親密な雰囲気に、美花の隣で奈美がニヤニヤしていた。