第1話𓂃 ◌𓈒𓋪
桜が芽を開くこの時期
私たち3年生にとっては
これが最後のコンクール
みんなが真剣に練習している
だけど私は彼のことで頭がいっぱいになってしまう
校庭で走り回っている彼
どうして気になるのかは分かっている
私は彼が好きだから
乱夢「あんた、いつまで見てんの、」
気づくと私はずっと彼を見ていたらしく
中学から同じ乱夢(らむ)に声を掛けられていた
香奈「え、何が」
乱夢「何がじゃないでしょ、
何時までも見てないで練習しなっての」
香奈「見、見てないから」
私は少しでも誤魔化そうと嘘をつくけど
バレバレだったらしく溜息を大きくつかれた
乱夢「あんたさー。いつまで片思い拗らせてんの」
香奈「いや、だってさー。ね」
乱夢「水瀬ってモテんだからね」
香奈「え、そうなの」
私はこの時に初めて知った。
彼はかっこいい。
モテるだろうとは思っていた
サッカー部なだけあって運動はできるし
勉強もできるし
こんな私にも話しかけてくれるし
でもたまに抜けてて、おっちょこちょいな
ところがルックスとのギャップを生み出していて
確かに好きになっても仕方がない人だ
乱夢「そろそろ本気でアピんないと
取られてもしゃーなしになるよ」
香奈「それだけは、やだ」
乱夢「じゃあ頑張れ、応援はするよ」
香奈「やっぱ乱夢優しいね」
乱夢「違うから、ずっと、うじうじしてんの
ウザイだけ」
香奈「照れ隠し?」
乱夢「違う」
私はたまに乱夢のことを揶揄う
大体はデコピンされて怒られるけど
それでも乱夢は大好き
香奈「やっぱ私、乱夢のこと好きだわぁ」
乱夢「ありがと」
香奈「反応うっす」
乱夢「ほら、今は恋よりコンクール」
香奈「はーい」
そうだ、
今集中すべきはコンクール
最後なんだ。
だからこそ優秀賞を取りたい
悔し涙なんか流さない。
流すのは
嬉し涙だけだ。
第1話…end
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!