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「おかえりなさい、コウちゃんユキちゃん」
夜行バスでなかなか寝れなくってへとへとな由貴といびきかいて爆睡だった虹雨をで迎えてくれたのは虹雨の母親の晴美だった。ニコニコとして2人を家に入れる。
「由貴ちゃんはほんと体格も良くなって。お父さんと一緒やねぇ」
「そうっすか……ふぁぁ」
その体格の大きさからか夜行バスの中の座席の小ささに窮屈で体が痛かったのと虹雨のいびきでずっと寝られなかったのだ。
新幹線でも帰られるのに虹雨が高速バスの定期券を持っていたのでそれに合わせて帰ってきたためしょうがなかったのだ。
「虹雨、つぎはバスやなくて新幹線がいいわ」
「それだけの稼ぎができたらの話や。まぁもう当分はどこもでかけることないやろ、多分……」
そうだよなぁと由貴は幼馴染の実家ともあって足をだらけてくつろぐ。
「あ、コウちゃんと由貴やないか」
「しぐにぃ、これ頼まれとったお菓子な」
「サンキュー、それネットで頼んでも1ヶ月待ちだったからやっぱり現地はすぐ手に入るねぇ。あ、由貴も久しぶり。おっさんになったな」
「由貴がおっさんやったらしぐにぃはおっさん……」
バシ!!!
しぐにぃこと、#時雨_しぐれ__#が虹雨を平手打ちして2人で小競り合いしている。
「こらこら、コウちゃんとしぐちゃんも喧嘩せんといてよね。はいはいお茶でも飲んで」
晴美がお茶を出してくれたのだが
「そうゆっくりできん、今日はここ泊まるけど事務所と天狗さんのところに行かんとあかんのや」
時雨は虹雨の兄で東京に住んでいる。晴美が先日調子を悪くして一時帰省している。
もう虹雨と由貴が住む家はもう決まったのだ。ここからすぐ近くの中古戸建の平家であった。賃貸ではあるが。
「はーーい。じゃあ由貴、行こか」
「おう……ほんまお前の家族は賑やかやな」
「そうや、由貴は自分の家族のところには行かんでええのか」
由貴は黙った。彼の両親はとうに離婚して、姉は愛知の方で結婚して子供がいるが母親だけ地元に残っているものの由貴と母親の間に確執があり頼ることができなかったのだ。
「元気な姿見せてやりなよ、母ちゃんが言うにはすっごい心配してるってさ」
「……いいよ、いかへん。それよりも時間厳守のあの人のところへんでもええのか」
と由貴は壁掛け時計を指差す。
「あーそうやな。いかなかんなぁ」
「めんどくさそうにすな。僕らの命の恩人や」
「お前が勝手に命乞いしたからやろ……」
「そうやけどさぁ……」
2人は着いてすぐだが移動することにした。
2人は地元でも大きな山の前に着いた。その前にはお寺があり、とても広い境内、野良猫たちがニャーニャーと鳴いている。
「猫は昔よりも減ったな……」
「そやな、昔は猫捨寺とか言われとったもんな。僧侶さんが猫好きだからと言ってさ……」
門の前では2人の坊主が立っていた。待っていたかのように。
「お待ちしておりました」
「それでは、行きましょう」
虹雨はその2人に右手を上げて気軽に挨拶をするが、由貴は久しぶりすぎて初めて見るその坊主たちに頭を下げる。坊主たちも誰だ、と見ている。
「虹雨、なんか変わったなぁ……昔よりも」
「そやなぁ、色々変わったなぁ。でも基本は変わらんし、天狗様も元気にしとるよ」
「そかそか……」
「そかそかって、お前は天狗様に助けてぇってゆうたのに全く……」
「そやったなぁ」
2人は坊主たち着いていくと更に奥の門の前に誰かが立っていた。180センチ近い由貴よりもデカい袈裟を着た男。
「虹雨、また来たか……って横にいるのは」
「倉田さん、由貴ですよ。都会で死にかけていたところを救って連れて帰りました」
「ほぉ、死にかけていた男がまた死にかけたのか、はははっ。大きくなったなぁ。まぁあの時も大きかったけどなぁ」
倉田という男はずっと笑っていた。彼はこの寺を取り仕切る僧侶でもあり、冠婚葬祭の事業をまとめている倉田グループの社長でもある。
「なんか前見た時より雰囲気変わった気がするけども、倉田さん」
由貴が虹雨に耳打ちする。
「外見だけ変って中身はそのままだ。前の外見は修行中に死んだ」
「死んだっ???」
倉田が振り返った。声が大きすぎたと由貴は口を閉じる。倉田が門を開けさらに奥に進んでいく。
「中身だけ入れ替え……どういうことだよ」
「まぁ話が長くなるからまた今度な」
「ふうむ……」
「あまり変なこと聞かんほうがいい、あいつの中身はやばいって知ってるだろ」
「……あぁ、そやな」
由貴は思い出したのだ。子供の頃に虹雨と由貴で霊能力を手に入れて天狗様のお膝元で地元の心霊現象を解決したり、悪さをする霊達を退治したりして地元では有名になっていた2人だった。さらに取材を受けじわじわと知名度が上がりお金ももらうようになった。
しかし2人の活動を知ったお金儲けをしようとしたテレビ局などマスコミ達が利用してやろうと誇大に取り上げ始めた。
これではいけないと思った天狗様が直属のお世話役の倉田が2人の元に現れて2人の活躍の記憶をこの世から消したのだ。2人には記憶はあるのだが。
「……下手なことをまたしたら記憶を消されるだけでは済まないぞ」
虹雨がそういうと倉田が振り向いてニヤッと笑って2人はゾッとした。そしてカラス達がバァああああああっと飛び立った。
#衝撃のラスト
山根利広
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コメント
1件
みぅ🤍🥀です〜 おかえりなさいのタイトルにぴったりな、ほっこりとざわざわが混ざった回でしたね。虹雨の家族の賑やかさにほっこりしたけど、倉田さんの「中身だけ入れ替え」「死んだ」の台詞がめっちゃ不気味で…由貴の母親との確執も気になるし、カラスが飛び立つラストの黒い空気、すごく好きです。続きが早く読みたいです🌙