テラーノベル
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「ジンさぁ~~~ん!!」
その時、桜が下駄をカランコロン鳴らしながらやってきた、可愛い赤い兵児帯のリボンが金魚の尾ひれの様に背中で揺れている、必死に走る姿に転ばないかと心配になり、ジンは思わず立ち上がった、桜は腕に大きな風呂敷を抱えている
途端にジンの頭の中にスティ―・ビー・ワンダーの『Isn’t She Lovely』が流れて胸が苦しくなる、自分は本当に桜に首ったけだ
「ジンさん!探したんですよ!お疲れ様です!お背中の傷の手当をしましょう、それとこれ!」
息を弾ませながら桜が差し出した風呂敷の上には、ホカホカと湯気を立てる美味しそうな丸い物体が並んでいた
「タコ焼き!」
「そう!私が学生時代に食べてた『10タコ』です!!」
「あの一つ10円の?」
フフフと桜が嬉しそうに笑った、懐かしい思い出が蘇るのか、その表情は少女のように無邪気だ
「今はお店をやっていたおばあちゃんじゃなくてお子さんが引き継いでそこの屋台に出てました、値段はさすがに一つ10円ではないけど、お味は保証しますよ」
「へぇ~・・・」
「ハイ!どうぞ!」
桜に手渡された熱々のたこ焼きが、細長い舟皿に6個ずらりと並ぶ、経木の薄い木肌がわずかに湿り気を帯び、ソースの茶色がじんわり染み出している、マヨネーズの白い曲線が波のように引かれ、その上を鰹節が湯気で踊っている
ごっくん・・・「うまそぉ~~」
一つをつまようじで突くと、中からトロリとした液体が溢れ、湯気と共にソースの甘い匂いが立ち上った、我慢できずにジンは一気にまるまる1個を口の中に放り込んだ
「あっちぃ~~~!!!」
「キャー!ダメよ!ジンさん!焼きたてを一口で食べちゃ!ハフハフして!ハフハフ!!」
口の中が大火事だ、慌てて上を向き、口いっぱいに空気を入れて、宙に向かってハフハフとタコ焼きを冷ます、口から湯気が噴き出てまるで火を噴く龍のようだ
「うまい!!なんだこれ!」
熱さが引いた瞬間、衝撃的な美味しさが口の中に広がった。外はカリッと、中はトロトロ・・・タコの弾力とソースの甘じょっぱさ、鰹節の風味が絶妙に絡み合い、思わず目を閉じる
クスクス・・・「ハフハフしてね」
桜が笑いながら食べ方を教えてくれる、やっとタコ焼きの食べ方をマスターしたジンが感動して桜に言った。さらに桜が持参した瓶に入った冷たいラムネでタコ焼きを喉に流し込むと最高だった
炭酸が口の中をさっぱりさせ、次のタコ焼きへの期待を高める
「ね?タコ焼きにはラムネでしょ?」
桜がジンの食べっぷりを見てフフフと可愛く笑う、その笑顔にジンの胸が温かくなった。桜の言った通りこんな美味い食べ物があったのかと感動し、御堂筋で桜と一緒に食べたお好み焼きより、自分は断然タコ焼き派になると思った、今度自分でタコ焼きを作ってみよう、難しそうだが桜がいれば何とかなるだろう
その時にハッとした、いつでもジンの心の中では桜と何かする自分がいる
もう自分は一人ではない感覚がとても自然だった
コメント
3件
ジンさん、もう桜ちゃんナシの未来は考えられないね(*´ ˘ `*)ウフフ♡ この気持ちに正直になって、桜ちゃんに思いを伝えてほしいなぁー✨️ 10🐙私も食べてみたくなりました( 'ч' )
や~ん💖もう🤣 一生ハフハフしてなよってくらいお二人さんお似合いだわ💕 ジンさん心に素直に従うべし👍桜ちゃんを離しちゃダメよ😊
桜🌸ちゃんが来たー🐙たこ焼きラムネ最高😻ジンさんの頭の中は桜ちゃんでいっぱいだねー もう本物夫婦だよ❤️