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「おなか一杯になったら、次はお背中の傷も手当しましょうね!」




腹が一杯になって意識が戻ると、興奮で忘れていた痛みが蘇る、見ると上半身裸の自分の体はあちこち擦り傷だらけだ



二人は縁側に座り、桜が風呂敷を開けるとそこには消毒液や絆創膏の傷の手当セットと、えんじ色の羽織があった




「ハイ!背中向けてください、うっわぁ~~!凄い傷だぁ~!痛いでしょう?」



細い指先が傷を確認するように、そっとジンの背中に触れた



「もうそんなに痛くないよ」




ジンは照れながらも、桜が自分のことを心配して傷の手当をしてくれるのを嬉しく感じた。こんな風に、ここに来てから仕事上の親しみではなく、本当の夫婦のように彼女が愛溢れる眼差しで自分を見つめてくれるのが・・・とても嬉しかった、桜が背中の傷を見つめながら顔をしかめる




「本当にごめんなさいね、ジンさん・・・ここに来てからずっとうちの親族の無茶ぶりに振り回されて」



クスッ「僕は楽しいよ」



本心だった、傷は痛いが、それ以上に充実感がある気分は爽快だ



「でも・・・」




桜は傷だらけのジンの背中に消毒液をかけ、軟膏を塗り込みながら心が苦しくなった



可哀想に・・・こんなにボロボロになって・・・自分の実家の行事ごとに、流れとはいえ巻き込まれて・・・彼は偽装の夫なのに、まるで本物の家族になろうと充分やってくれている、そしてみんな彼を好きになっている



本来の彼は都会のスタイリッシュなオフィスで、野生の豹のようにしなやかに生きているのがふさわしいのに・・・




じっと桜は手当てをしながら、ジンの蜂蜜色の背中を見つめた・・・



消毒液を染み込ませた脱脂綿が、傷口に触れるたびに小さく体が震える、ああ・・・この人が本当の夫だったらどんなにいいだろう・・・



その時小さなアゲハ蝶が何処ともなくやってきて、ジンの頭に止まった・・・





―アゲハ蝶でさえこの人に近づきたいのね、私と同じ―

*:.。. .。 .:




こんな偽装の契約関係ではなくて、実際に相思相愛で・・・思いやりで繋がり、お互いがお互いのものなら・・・こんな遠慮はしないのに・・・



吸い寄せられるように桜はジンの背中を撫でた、指先が傷のない滑らかな部分をなぞる



もっと触れたい・・・その体にキスしたい・・・頬をすり寄せたい・・・理性が溶けていく、自分でも驚くほど抑えられない衝動が胸の奥から溢れ出し、そして・・・




―ちゅっ・・―




「うわぁ!!」




突然、桜がジンの背中の肩甲骨にキスをした、柔らかな唇の感触にジンは驚いて飛び上がった




「くすぐった!!なっ何?」





キスされた背中を押えて頬を染めてジンは桜を見た、振り向くと、顔を真っ赤に染めた桜が両手を口元に持っていって恥ずかしがっている。まるで自分の行動が信じられないという表情だ



「ごっ!ごめんなさい!私ったら・・・」


「謝らなくてもいいけど、君はいつも不意打ちだね」


「だ・・・だって・・・」





―あなたがそんなにセクシーなのがいけないんでしょ!つい彼を触ったり、キスしたりしたくなる・・・―





桜はそう言いかけてやめた、二人の間に一気に緊張感が高まった、祭りの喧騒が遠くに聞こえるが、この空間だけが静寂に包まれている、ジンはじっと桜を見た・・・



顔を真っ赤に染めた桜が両手を口元に持っていって恥ずかしがっている、ぼんやりと髪をアップした彼女のきめ細かい肌のうなじを見つめる・・・


耳の後ろに小さなホクロがあることに目を引かれる。ホクロすらも愛らしい、他にも体のどこかにホクロがあるのだろうか・・・



途端に、全裸でジェットバスに浸かって伸びている桜を思い出して体が熱くなった、あの時の湯気に包まれたピンク色の肌、水に濡れた髪・・・ジンは慌てて心をそそる体から視線を移動させ、唇に目が止まった



一見しただけで、グミのようにリップが艶めいて素敵だなと思った、柔らかそうなピンク色の唇は、キスする幸運に恵まれた男に至福を約束させそうだ




「その浴衣の柄は何かの花?」



平静を装おうと、ジンは話題を変えた



「朝顔です」


「可愛いね」




ジンの視線は白地の朝顔の浴衣から、姿勢の良い赤い帯に向かった、細い腰を締める帯の結び目が、なぜかやけに妖艶に見える


彼女に触れたいという圧倒的な欲望をなんとか抑える、体の内から不意に燃え上がった興奮が一気に股間に集まる



―い・・・いかん、この褌の格好じゃ、興奮すると丸わかりだ・・・―




慌ててジンは背中の手当てに礼を言って、桜の持ってきたえんじ色の羽織をはおって体を隠した

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