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「お前、やってる事がマジでストーカーだな。この前俺が言った事、もう忘れたか? もし付き纏ったり、危害を加えるんだったら警察に通報するって言ったよな? 何なら今、お前の手を引っ張って、そこの交番に突き出してもいいんだぞ?」
豪が、顔をすぐ近くの交番に向け、優子の手首を掴み、交番へ連れて行こうとすると、急に焦り出し、手を強引に引き抜いた。
「ちょっ……じょ…………冗談でしょ!?」
「冗談じゃなくて、本気なんだがな」
凍てつくような彼の眼差しに怖くなったのか、優子は、そそくさと改札の中へ入っていく。
「…………逃げられるのも今のうちだからな?」
豪は、消えゆく元カノの背中に、そう呟いた。
豪は、心身ともに疲弊したまま、自宅マンションへ戻った。
ビジネスバッグと上着をソファーに放り、ゴロンと寝転ぶ。
スマホを取り出して見てみると、十八時半過ぎに、見知らぬ携帯の番号から着信履歴が通知されている。
「奈美か!?」
彼は、電話をしようか迷った。
親友の純は、彼女にあのメモを渡してくれたようだ。
だが、会社のホームページの問合せ欄に、豪のプライベートの事で誹謗中傷の書き込みがあった今は、彼女に電話をするべきではない、と考え直す。
場合によっては、奈美を巻き込んでしまう可能性も、あるかもしれない。
(全てにケリを付けたら……奈美に必ず連絡する……!)
豪は決心して、彼女に連絡したいのを堪えた。
翌日。
刑事数名が、パソコンや特殊な機械を持参して来社し、社のサーバーを調べていた。
豪は、警察に協力すると上層部に伝えてあったので、捜査に立ち会っている。
捜査員が持ち込んだ機材を使い、サーバーに残っていたIPアドレスを入力すると、すぐに送り主が判明した。
彼の予想通り、岡崎優子のスマホ。
刑事が、署で事情聴取をしたいと言ってきたので、豪は一度、企画部に戻った。