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23
#執着
さぶれ
1,448
──部屋へ入るなり腕が捕まれ、寝室に連れて行かれると、そのままベッドの上に押し倒された。
「どうして、いつもいきなりなの?」
「いきなりは、ダメなのかよ?」
私の身体の両脇に手をつき、上から見下ろしてくる。
「ダメとかじゃなくて……どうして、そうなんでも強引でって……」
今にも射すくめられそうにクールに切れ上がる目元を、振り仰ぐ。
「……したくないのか?」
ストレートに訊ねられて、
「そういうことじゃなくて……」
見つめていると知らず知らずのうちに虜まれてしまいそうな、強気な眼差しから目を逸らした。
「俺は、まどろこしいのは苦手なんだよ」
耳に唇が付けられ、「抱きたい、おまえが」吹きかかる吐息とともに低く囁きかけられる。
「待ってって、だから……」
抵抗する間もなく、彼の押しの強さに惹かれ、落ちてしまいそうにも感じる。
「だって、まだ付き合うかどうかも話してないのに……」
覆いかぶさる身体を、ようやく胸の手前で押しとどめて言うと、
「俺と付き合ってほしいって、さっきも言っただろ?」
そうもっともらしく告げられた……。
「さっき……?」と、頭を巡らして、
「あ……れ? もしかして車の中で言ってたのって、そういう意味……だったの?」と、今になってようやく気づいた。
「そうだって……」
やっとわかったのかとでも言うような顔をされて、
「だって……まさか、そんなにすぐに付き合うとか言うなんて、思わなかったし……」
ぼそぼそと口にしながら、『どこへ?』だなんてとんでもなく恥ずかしいカン違いをしていたことが、にわかに照れくさくなる。
「今頃気づいて、赤くなってんのかよ?」
彼がくくっと喉の奥で笑う。
「だって、」と、口を尖らせて、「だってそう思う方が普通でしょう?」照れ隠しの言い訳をすると、よけいに顔が真っ赤になって、ますます彼には笑われる羽目になった……。
笑いが収まると沈黙ができて、互いに顔を見合わせる。
「抱いて、いいよな?」
返事もしないうちに上から身体の重みでのし掛かられ、首筋に熱を孕んだ唇が寄せられる。
「……ん、ちょっと、待って……」
胸元がはだけられ、ブラのストラップが肩から引き下ろされる。
「待たない……いや、待てない」
ブラの上部の布地がずらされて、覗いた胸の突先が二本の指にくっと挟まれると、
「……ぅん……っ」
堪え切れない声が口から漏れた。
舌先で乳首が転がされ、「……あっ、ん……」というあられのない声とともに、ベッドから腰が浮き上がると、背中に回された手がすかさず下着の留め金を外そうとして、
「やっぱり、待って……」と、彼の手首をぎゅっと掴んで止めた。
「どうしてだよ?」
手を止め、じっと私の瞳を見据える彼に、
「……私もまだ彼と別れたばっかりだし、彼女ともしっかり別れてからにした方がいいでしょ……」
言うと、「ああ……」と、彼が息をついた。
「そうだよな……。……俺は、何でも性急すぎだよな」
言いながらベッドにドッと自分の身体を投げ出して、
「会社を経営してると即断即決がカギになってくるから、ついそういうのが当たり前になっていてな」
眉間にしわを刻み苦い表情を作った。
「普段から仕事の癖が染みついているのも、考えものだよな……」
そうして仰向けにシーツに寝転がると、ふぅーっとひと息を吐いた。
コメント
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第39話、読み終えました。お互いにきちんとケリをつけてから進もうとする主人公の誠実さと、仕事柄即断即決が染みついた彼の性急さがぶつかるシーン、すごくリアルだなと感じました。特に「さっき言っただろ?」の台詞回しと、後から照れながら気づく主人公の反応のギャップが印象的です。彼の「待てない」という言葉の裏にある真剣さも伝わってきて、この先どう関係が変わっていくのか気になります。