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「結局、惚れた女の為なら平気で忠臣を罰したエマヌエル皇帝と変わりませんな」
グロスター公爵が高らかに笑いながら言った言葉に皆が気まずそうに目を逸らした。
父、エマヌエル・ルスラムは罪深い男だ。
僕の母が暗殺された怒りをぶつけるように過剰な断罪をした。
それにより未だ、皇室への不信感が常に漂う。
反皇室派を上手く口車に乗せれば、クーデターも容易いだろう。
「父上の行動は無意味だ。怒りに任せて罰を与えただけ。一緒にしないでくれ」
僕の言葉を皆が静かに聞くのが分かる。
皇太子が皇帝を批判するなど許されない。
でも、この場面を見た誰が僕を罰せられると言うのだろう。
母親を殺された怒りで狂った父親を諌められない程に幼かった自分。
そんな僕をただ無償の愛で包んでくれたビルゲッタ。
「僕は一度も猫の呪いにビルゲッタがかかったことを口にしていない。随分物知りなグロスター公爵は、皇太子妃を陥れた首謀者ではないか?」
ここにいる騎士たちにはビルゲッタが昼間猫になってしまう呪いにかかっている事までは説明してある。
僕はどうかビルゲッタの頑張りを皆が理解してくれる事を願った。
ビルゲッタは他の貴族令嬢とは違い強かさに欠けた。
陰口を言われても、言い返して相手を打ち負かす強さもない。
そもそも自分に反感を持っている人間でも傷つけたりできないのだ。
僕は優し過ぎる皇太子の揶揄されていたが、本当に優し過ぎるのはビルゲッタだ。
どんな時も、彼女は僕の支えになる為に多くの知識に精通し勉学に勤しんだ。
誰にも文句のつけようのない礼節を身につけるように歯を食いしばって厳しい妃教育に耐えた。
愛さずにはいられない女の子を冷たくあしらってきたのは僕だ。
僕を認められなくても、ビルゲッタの本質に気づける人間は必ずいる。
悔しいけれど、男ならいじらしいビルゲッタを愛せずにはいられない。
周りの騎士たちが、グロスター公爵への拘束を強める。
くだらないやきもちを焼きそうなのを唇を噛んで耐えた。
「皇太子妃? 他国に逃げたような人間が皇太子妃ですか? 目を覚ましてください! いつまでも女のケツを追いかけていたら、民衆から笑われますよ。離婚は成立しているんです。他の男と駆け落ちした女などお忘れください」
「大いに笑えばいいさ。僕はみんなに⋯⋯本当はビルゲッタにずっと前から彼女だけを愛してるって伝えたかった」
スルッと漏れた本音に自分でも呆れる
帝国の九割は平民。その平民の気持ちなんてビルゲッタがいなければ考えたことも無かった。
目の前の貴族しか目になかった僕に彼女は昔囁いた。
皇宮の前で不満を垂れる平民の集団が目に余るとつぶやいた時だった、
『私も前世は平民なの。だから、気持ちを知って欲しいと言うのは分かるな。同じ人間だもの。人を好きになって、一緒に美味しいご飯を食べたいって考えてる』