テラーノベル
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パイセンと一緒に家に帰ってきて、おれは部屋に行き、服を着替えた。
そしてパイセンのいるリビングに戻り、ソファへ寝転んだ。
今日は後輩に、パイセンはタヒんでいてもう居ないと言われた。
おかしいっすよね。
冗談にしても笑えないっす。
いや、冗談でも言っちゃいけないことだってあるっすよね。
パイセンはずっとおれの隣にいるのに……。
失礼すぎるっすよねあの後輩。
はぁー……。
気分が悪いっす。
こんな時は………
パイセンをゲームに誘って楽しむ。
それに決まりっす。
「パイセーン!!ゲームしましょうっす!!」
……。
いつもだったら帰ってくる返事がない。
もしかして聞こえてないんすかね?
「パイセーン!!ゲームしましょうっす!!」
さっきよりも大きい声で言う。
それでも返事は帰ってこない。
あれ?
おかしいっすね…。
パイセンが返事しないことなんてなかったはずっすけど……。
あ、もしかして風呂とかトイレとかっすかね。
そう思い、風呂とトイレに行く。
だが、どちらにもパイセンの姿はなかった。
湯船の中も見てみたがいなかった。
部屋の方かと思い、パイセンの部屋にも行く。
だが、いなかった。
ベッドにも、机の下にも。
おかしいっすね。
もしかして外に行った……っすか?
いつもならおれになんか言ってから行くっすけど……。
玄関に行って靴を見ても、パイセンの靴はしっかりあった。
パイセン……どこに行ったんすか?
おれをひとりにしないでくださいっす。
家中を探し回ってもパイセンはいない。
何処へ行ったのか分からなくて、息が詰まる。
上手く吸えない。
浅く、吐くことしかできない。
なんで?
なんでっすか?
なんで、パイセンが見つからないんすか?
パイセンはどこに行ったんすか…?
メールを開いて、社長に連絡する。
『社長ー!パイセンがいなくなったっす!!』
社長からの返信を待つこと数分。
社長から返信がくる。
『えー!?まじで?こっちでも探してみるね!!』
そういうことが書かれていて、少しだけ安心する。
あぁ……パイセン。
どこにいるんすか?
おれをひとりにしないでくださいっす。
何回も同じ言葉を頭の中で呟く。
パイセンがいないと不安で、心臓が押しつぶされそうになる。
ふと、リビングの机に目をやる。
そこにはひとつの瓶があった。
始めてみる瓶だ。
パイセンが本当に眠れなくて困った時に使っていたという睡眠薬(※病院から出ている薬)と、瓶の形は一緒だった。
まぁパイセンが睡眠薬を飲んでるとこなんて見たことないっすけどね。
少しふらつく足で机による。
瓶を手に取り、大きく書かれた文字を声に出して見る。
「“非常事態用”…」
「“非常事態が起こった場合のみ、使用”……」
今って、非常事態っすよね?
パイセンがいないって言う。
じゃあ使ってもいいっすよね?
注意点みたいなのがあったが、読まずに瓶の蓋を開ける。
だって非常事態っすよ?
読んでる暇なんてないっす。
パイセンに怒られたらその時はその時っす。
瓶の中身は錠剤で、これを飲めばいいんだとすぐにわかった。
パイセンの睡眠薬と、この錠剤とでは大きさが少し違った。
けど、今はどうでもいい。
パイセンの睡眠薬と似てるところがあるなんて。
その薬を飲もうとした時に気づいた。
水……いるんじゃないかと。
ここで飲んだら、水がなくて取りに行くの大変。
そう考えて、おれはキッチンの流しに行く。
コップをひとつ手に取り水をいっぱい入れる。
そして、錠剤を取り出す。
たくさん。
多分二粒か四粒が規定だけど、それじゃ足りない。
絶対に。
十粒?それとも二十粒?
分からないぐらい出す。
それを口に含み、水で飲み込もうとする。
さすがに多すぎたのか、上手く飲み込めない。
なので少しづつ飲み込む。
口の中の錠剤が全て飲み込む頃には、口の中には薬特有の苦さが広がっていた。
少しだけ、パイセンが好きなドク■みたいな味だと思った。
「……はは。パイセン…帰ってきたっすか……?」
そう言ってもパイセンからの返事はない。
あぁ……足りないんだ。
もっと飲まないと……。
パイセンが戻ってくるまで……。
ほぼ全部の錠剤を飲み終わると、立ってられなくて、その場に倒れる。
重い体は上手く動かせない。
寒くて、寂しい……。
パイセン、どこにいるんすか?
口無パイセン……。
おれ……、あなたに会いたいっす…。
眠気に襲われ、目を閉じかける。
意識が飛ぶ前に見たのは、半透明の天使だった。
まっててくださいっす。
いま……ぱいせんのとなりにいくっすから…。
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