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鋼谷が冥王の虚無の手に対峙しているその時、遠くから鉄の鎖が風を切る音が聞こえた。次の瞬間、重厚な鉄の鎖が冥王と鋼谷の間に降り立ち、硬い金属音が響き渡った。その鎖の端を握っていたのは、鋼谷がかつて聞いたことがある伝説の「フィジカルギフテッド」――通称「鉄鎖の男」だった。
彼の名は篠田剛。異能の一つに数えられる“フィジカルギフテッド”の中でも、彼は群を抜いて強力で、特に「鉄鎖」を自在に操る能力を持つとされていた。篠田の鉄鎖は通常とは異なり、その強度と柔軟性は異常で、敵の攻撃を受け止め、反撃することができるよう強化されていた。
「お前が…冥王か。」
篠田の視線は鋭く、圧倒的なフィジカルのオーラが辺りを支配する。冥王は軽く口角を上げ、興味深そうに彼を見つめた。
「フィジカルギフテッドが、わざわざこの場に現れるとはな。だが、無力な人間に何ができる?」
冥王は虚無の手をかざし、篠田に一撃を加えようとした。しかし、その瞬間、篠田の鉄鎖が異様なスピードで反応し、虚無の手を阻むかのように交差した。その鉄鎖は、単なる武器を超えて篠田の意志を持つかのように動き、冥王の手を封じ込めた。
「お前の異能が恐ろしかろうが、俺には関係ない。」篠田は強い口調で言い放った。「俺のフィジカルは、異能すら凌駕する。」
鋼谷はその光景に息を飲み、篠田の異常なまでのフィジカルの強さを改めて実感していた。篠田の鉄鎖は、虚無の手の力を一時的にでも抑え込むことができる数少ない存在だったのだ。
篠田は鋼谷に目を向けると、無言でうなずいた。二人の目が合い、短いながらも互いの決意を感じ取った瞬間だった。
「鋼谷、次はお前が動く番だ。」
篠田が冥王を鉄鎖で押さえつけている隙に、鋼谷は全力で攻撃のチャンスを見出そうとした。しかし、冥王は不敵な笑みを浮かべ、虚無の手を一層強力に発動させようとしていた。
次々と繰り出される鉄鎖の攻防と、鋼谷の戦いの幕が、ここから新たに開けようとしていた。
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