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#病み
蓬川
やってしまった。
多分、俺のせいだ。
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軽い気持ちだった。
涼ちゃん、最近ずっと張り詰めてるし、
少しでも楽になるならって。
「休憩多めに入れた方がいいんじゃない?」
ただそれだけ。
元貴もすぐ頷いて、
「そうだね」って。
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それで、よかったはずだった。
少なくとも、悪くなるなんて思ってなかった。
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でも、違った。
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さっきのやり取り、頭から離れない。
誘ってもないのに、先に断られて。
あんな言い方、初めて聞いた。
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「気、遣わなくていいから」
「苦しい」
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あの一言で、全部繋がった。
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俺らがやってたこと、
全部“見えてた”んだなって。
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隠してるつもりだった。
バレないように、自然にやってるつもりだった。
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でも、あいつには全部分かってた。
その上で、何も言わなかった。
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で、限界きて、あれ。
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最悪だ。
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優しさのつもりでやったことが、
一番やっちゃいけない形で刺さってた。
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「やり方、間違えたかもな」
さっき元貴が小さく言った。
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“かも”じゃない。
間違えてる。完全に。
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あいつは、ああいうの一番嫌う。
自分だけ特別扱いされるの。
“守られてる側”に回されるの。
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分かってたはずなのに。
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分かってたのに、
目の前の状態見て、焦って、
楽な方に逃げた。
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結果、これ。
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正直、今すぐ追いかけたい。
何か言わなきゃって思う。
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でも、多分それも違う。
今行ったら、余計に閉じる。
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だから動けない。
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こういう時に限って、
何が正解か分かんない。
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ただ一つ分かるのは、
さっきの“苦しい”って顔、
あれ多分、結構限界近い。
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時間、そんなにない気がする。
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なのに、
俺は今ここで立ってるだけ。
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何もできないまま。
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——ほんと、最悪だ。
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