「宝条さん!?」
また、私は名前を口にしてしまう。
全身を宝条さんで包まれている体は、徐々に体温を高めていく。
耳は宝条さんの胸にあたって、ドクンドクンと鳴っているのが聞こえる。
もしかしたら、これは私の心臓なのかもしれない。
でも、突き放そうとか嫌だとか、なぜかそんな気持ちはなかった。
「やはりお前は、思った通りの人間だ」
ギューッと、腕に込められる力が強くなる。
「予定していたよりも、時間がかかってしまったが、間違いない」
ギュギューッと、さらに力が強くなる。
さすがにこれはキツく、私は意識があるうちに、小刻みに宝条さんをペシペシと叩いた。
「なんだ? 人がいい気分に浸っているというのに」
文句を垂れながらも、宝条さんはゆっくりと体を離してくれる。
開放感に、私はハァーと思い切り息を吐いて、スゥーと目一杯空気を吸った。 ***************
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