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アメリカ病み

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アメリカ病み

2 - 第2話 俺はどうしたら?

♥

206

2025年07月06日

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注意


前回と同様

プロイセン はこう表示するね








皆様…お気をつけて…下さいね


しばらく日本達はわいわいと夕食を食べていた。


🇯🇵「こうして皆さんと集まって食べるのもいいですね、」

🇩🇪「あぁ、そうだな日本。」

プロイセン「みんなで食べるの楽し過ぎるぜー!」

🇮🇹北「やっぱりピザは最高だよね~!日本ももっと食べないのー?」

🇯🇵「ありがとうございます。では、もう一切れだけ……」

箸を取ったその指に、絆創膏が見えた。

一瞬、ドイツが視線を落としたが、何も言わなかった。彼もまた、すべてを口に出すほど不器用ではない。

🇩🇪「……食べる量が少ない気がする。無理する必要はないが、しっかり栄養は摂れ。」

🇯🇵「心得ております。……すみません、少し考え事をしていたようです。」

日本の笑顔は穏やかだが、どこか遠くを見ていた。

アルフレッドの家で交わされた、あの言葉――「ヒーローって、どうしたら辞められるんだろうな」――が、何度も脳裏にこだました。

🇮🇹北「……あのさ、今日の日本、ちょっと元気ない?」

無邪気に問うその声に、日本はふっと目を細めた。

🇯🇵「そう見えましたか?……ごめんなさい。少しだけ、昔のことを思い出していただけです」

🇮🇹北「そっか……でも、無理はしないでね?俺たち、友達なんだから」


友達なんだから。それは日本に強く響いていた。


ふと、プロイセンがグラスを持ち上げた。

プロイセン「なぁ、今日は珍しく全員そろってんだ。こういう日は祝っとかねぇとな?」

🇩🇪「兄貴……まぁ、構わん。乾杯くらいはしてやる」

🇮🇹北「わーい!じゃあ俺、ジュースにする!」

🇯🇵「では……いただきます」

それぞれのグラスが軽く打ち鳴らされ、優しい音が夜の空気に溶けていった。

笑い声、冗談、叱責、ぬるい空気。

そんなひとときの中で、日本の脳裏にこびり付いたのは、孤独に包まれた部屋で「ありがとう」と呟いたアルフレッドの声だった。

🇯🇵(……彼が、もう刃に手を伸ばさないように。そう祈るしか、今の私にはできませんね。でも、私はきっと目の前でやられても、きっと同じことをしてしまうでしょう。)



食事を終えたあと、プロイセンがふと呟いた。

プロイセン「そういやよ、日本。お前、さっきドイツに“すぐに会える”って返してたろ。どこにいたんだ?」

その問いに、日本の手が一瞬止まる。

ドイツも目を細めた。

🇩🇪「まさかとは思うが、アメリカの所にいたのか?」

空気が、一瞬だけ凍った。

🇯🇵「……はい。少し、話があったので」

🇩🇪「何か問題でも起きてるのか?」

🇯🇵「問題……と言えば、問題かも知れませんね。ですが、そこまで大きなものではないので大丈夫です。」

🇮🇹南「はっきりしねぇな。何か隠してんじゃねぇのか?…」

🇯🇵「いえ、隠しているわけではありません。ただ……いえ、大丈夫です。ほら、もう遅い時間ですから早めに帰らないと」

焦って日本はイタリアの家を出ようとするがイタリアが、止める。

🇮🇹北「それなら、俺達ん家止まっていかない?」

不意の提案に、日本は足を止めた。

🇯🇵「……え?」

🇮🇹北「だって、今日は皆で集まったんだし、ゆっくりしていこうよ。疲れてるならなおさら!日本、いつも途中で帰っちゃうし、たまにはいいじゃん?」

笑顔の裏に、どこか心配の色が滲んでいた。しかしイタリアの一緒に過ごしたいと言う思いが強くあった。

🇮🇹南「そうだそうだ。どうせまた一人で帰ってもどうせ難しい顔してんだろ?」

ロマーノも紡ぐ

🇯🇵「…………」

(やめてください、そんな目で見ないでください。優しさに触れたら、壊れてしまいそうになる)

だが、彼らはもう気づいている。

日本が、笑顔の奥で何かを必死に隠していることに。でも、何なのかは…分からないまま

🇯🇵「……お言葉に甘えて、少しだけ、お邪魔させていただきます」

ついに、そう口にしたとき、日本の声はほんの僅かに震えていた。

🇮🇹北「やった〜!!じゃあお風呂用意しとくね!」

🇮🇹南「布団も出さねーとだな、ったくバカ弟のせいで手間かけさせやがって」

そう言いながらしっかり準備をしていた。

プロイセン「今日はとにかく寝てけよ、日本。マジで。今のお前、めっちゃ寝不足顔だぞ」

🇯🇵「……ふふ。そこまで言われると、返す言葉もございませんね」

ふわりと笑ったその表情は、今夜初めて、本当の微笑みに近いものだった



数十分後。

イタリアの家の和風客間に、敷かれた布団が整っている。

日本は湯浴みを終え、まだ濡れた髪を拭きながら、ふと天井を見上げた。

🇯🇵(……今夜、帰らなくてよかったかもしれません)

孤独な帰り道のことを考えずに済む。それと同時に、

🇯🇵(しかし、もしこの腕の傷がバレてしまったら…)最悪な可能性が頭をよぎるがすぐに消して

🇯🇵(大丈夫です。きっと誤魔化せます。)そう思いながら風呂の部屋から出て、リビングへ向かっていった。



🇮🇹北「……日本、お風呂上がるの遅かったよね」

🇯🇵「ええ、少しだけ考え事を……」

🇮🇹北「そっか……あのさ、今日の日本どこか寂しいそうだったから……なんか、心配になっちゃってさ」

その言葉に、日本は小さく息を呑む。

🇯🇵「……寂しそう、ですか」

🇮🇹北「うん。」

時間が少しすぎていく。するとロマーノが

🇮🇹南「おい、バカ弟と日本。そろそろ寝るぞこのやろー」と言いながら日本を客室に案内する。


🇮🇹南「着いたぞこのやろー。おやすみなんだぞ…」

🇮🇹北「じゃあ、おやすみなさい!」

静かに障子が閉まる。

その音の後、日本は初めて、深く息を吐いた。

(もしも、彼――アメリカさんも、今、どこかで誰かに「おやすみ」と言われていたら。少しは……救われているでしょうか。それとも、もう…)

仰向けのまま、目を閉じる。





アメリカの家には、静寂が満ちていた。

テレビもつけていない。音楽もない。

音が

聞こえるのは、自分の吐く息と、壁時計の針が進む乾いた音だけ。

🇺🇸「…………」

電気もほとんどつけず、ただ、ベッドの縁に座っていた。

ぐったりとした姿勢で、ぼんやりと床を見つめる。

その視線の先には、捨てきれなかった刃と、開封された薬の瓶。

日本からもらった包帯と薬――それらも傍らに、無造作に置かれていた。

指先が震えている。

それは寒さのせいではなく、明らかな恐怖と衝動のせいだった。

🇺🇸「……やっぱり、だめだったな……」

震える声が漏れる。

頭の奥がじんじんと痛む。

薬のせいなのか、それとも何か別の、もっと深い痛みのせいなのかは、わからない。

(日本が言ってた。「包帯と消毒液はある。でもそれで救われるわけじゃない」って)

(その通りだ。こんなもので、何も解決しない……)

棚の上のスマホを手に取り、ロックを外す。

通知はもう消していた。

「心配してる」「返事をくれ」――そんな文字列に、反応する気力すらなかった。

指が勝手に動いてしまう。

包帯の端をほどき、乾ききっていない傷を見つめる。

赤黒くなった傷跡に、何かがこみ上げてくる。

🇺🇸「……ヒーローがこれって、最低だよな……」

しかし、心配されないようにと。

「俺は大丈夫なんだぞ!」

とメールに入れて放置する。

震える手で、小さな刃を掴む。

何度もやろうとして、何度も止めた。

でも今夜は、やけに――誰の声も届かない気がした。

🇺🇸「ごめんな、日本……」

さっきまでの“救い”が、もう届かない場所にあるようで。

まるで夢の中だったかのように、あの優しい言葉たちが、遠のいていく。

(どうせまた、明日が来るだけなんだ)

(俺の声は誰にも届かない。イギリスにも、フランスにも、カナダにも……)

(誰も……助けてなんて言える相手じゃない)

再び、刃が腕に触れようとした――その瞬間だった。

📱「……っ」

スマホが、小さく震えた。

画面には、カナダの名前。

🇨🇦《兄弟、起きてる?》

震える手で、スマホを取り上げる。

ほんの数秒前まで刃を握っていた手とは思えないくらい、躊躇して、恐る恐る。

【返信中……】と表示されるだけの画面を、じっと見つめた。

……そして、ようやく、短く打った。

🇺🇸《うん。起きてる。……どうした?》

すぐに、通話の着信が来た。アメリカは通話オンにする。


🇨🇦《いや、最近元気なさそうだったからさ、忙しかったよね》

その言葉は、あまりに穏やかで、優しくて。

だからこそ、痛かった。苦しいんだ、だけど

🇺🇸《……元気だよ。仕事も多いし、ちょっと疲れてるだけさ。ほら、ヒーローって忙しいからな★》


いつもの調子を、意識して乗せた。

声だけは。でも、言葉が少し喉が詰まっていて、喉につっか掛かっていた。

それがきっとバレている気がして仕方なかった。


🇨🇦《そう……?無理してない?》

🇺🇸《この俺が?してないって。ほんと、マシューは心配性だな〜。俺のこと、子ども扱いしすぎなんだぞー★》

言いながら、ふと刃に手を伸ばしかけていたことを思い出し、反射的に手を握る。

隠さなきゃ――とにかく隠さなきゃ。

日本にはそれでバレたんだ。それ以上、誰にも知られてはいけない。そう、思う。思うしかないんだ。

🇨🇦《……それでも、兄弟の声、ちょっと元気ない気がするんだよね》

声の調子が、ほんの少し下がる。

カナダのこういうところ――誰かが嘘をついたときに、優しくそれを包み込むように問い直すその口調が、今はやけに刺さる。だから

🇺🇸《……大丈夫。大丈夫だから。マジで、マシュー。ちょっと寝不足なのかも。薬飲んで寝るよ》

その“”が、もらった睡眠薬であることを、あえて曖昧に伝えた。それが睡眠薬であるとも、自分の選んだ“逃げ道”であるとも、どちらともとれるように。アメリカは無意識のうちにそうしていた。無意識に助けを呼んでいたのに、助けられることもない。自分がそうしているから。

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