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前回と同様
プロイセン はこうら表示するね
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皆様…お気をつけて…下さいね
しばらく日本達はわいわいと夕食を食べていた。
🇯🇵「こうして皆さんと集まって食べるのもいいですね、」
🇩🇪「あぁ、そうだな日本。」
プロイセン「みんなで食べるの楽し過ぎるぜー!」
🇮🇹北「やっぱりピザは最高だよね~!日本ももっと食べないのー?」
🇯🇵「ありがとうございます。では、もう一切れだけ……」
箸を取ったその指に、絆創膏が見えた。
一瞬、ドイツが視線を落としたが、何も言わなかった。彼もまた、すべてを口に出すほど不器用ではない。
🇩🇪「……食べる量が少ない。無理する必要はないが、しっかり栄養は摂れ。」
🇯🇵「心得ております。……すみません、少し考え事をしていたようです。」
日本の笑顔は穏やかだが、どこか遠くを見ていた。
アルフレッドの家で交わされた、あの言葉――「ヒーローって、どうしたら辞められるんだろうな」――が、何度も脳裏にこだました。
🇮🇹北「……あのさ、今日の日本、ちょっと元気ない?」
無邪気に問うその声に、日本はふっと目を細めた。
🇯🇵「そう見えましたか?……ごめんなさい。少しだけ、昔のことを思い出していただけです」
🇮🇹北「そっか……でも、無理はしないでね?僕たち、友達なんだから」
友達なんだから。それは日本に強く響いていた。
ふと、プロイセンがグラスを持ち上げた。
プロイセン「なぁ、今日は珍しく全員そろってんだ。こういう日は祝っとかねぇとな?」
🇩🇪「兄さん……まぁ、構わん。乾杯くらいはしてやる」
🇮🇹北「わーい!じゃあ僕、ジュースにする!」
🇯🇵「では……いただきます」
それぞれのグラスが軽く打ち鳴らされ、優しい音が夜の空気に溶けていった。
笑い声、冗談、叱責、ぬるい空気。
そんなひとときの中で、日本の脳裏にこびり付いたのは、孤独に包まれた部屋で「ありがとう」と呟いたアルフレッドの声だった。
🇯🇵(……彼が、もう刃に手を伸ばさないように。そう祈るしか、今の私にはできませんね。でも、私はきっと目の前でやられても、きっと同じことをしてしまうでしょう。)
食事を終えたあと、プロイセンがふと呟いた。
プロイセン「そういやよ、日本。お前、さっきドイツに“すぐに会える”って返してたろ。どこにいたんだ?」
その問いに、日本の手が一瞬止まる。
ドイツも目を細めた。🇩🇪「まさかとは思うが、アメリカの所にいたのか?」
空気が、一瞬だけ凍った。
🇯🇵「……はい。少し、話があったので」
🇩🇪「何か問題でも起きてるのか?」
🇯🇵「問題……と言えば、問題かも知れませんね。ですが、そこまで大きなものではないので大丈夫です。」
🇮🇹南「はっきりしねぇな。何か隠してんじゃねぇのかコノヤロー…」
🇯🇵「いえ、隠しているわけではありません。ただ……いえ、大丈夫です。ほら、もう遅い時間ですから早めに帰らないと」
焦って日本はイタリアの家を出ようとするがイタリアが、止める。
🇮🇹北「それなら、俺達ん家止まっていかない?」不意の提案に、日本は足を止めた。
🇯🇵「……え?」
🇮🇹北「だって、今日は皆で集まったんだし、ゆっくりしていこうよ。疲れてるならなおさら!日本、いつも途中で帰っちゃうし、たまにはいいじゃん?」
笑顔の裏に、どこか心配の色が滲んでいた。しかしイタリアの一緒に過ごしたいと言う思いが強くあった。
🇮🇹南「そうだそうだ。どうせまた一人で帰ってもどうせ難しい顔してんだろ?」ロマーノも紡ぐ
🇯🇵「…………」
(やめてください、そんな目で見ないでください。優しさに触れたら、壊れてしまいそうになる)
だが、彼らはもう気づいている。
日本が、笑顔の奥で何かを必死に隠していることに。
🇯🇵「……お言葉に甘えて、少しだけ、お邪魔させていただきます」
ついに、そう口にしたとき、日本の声はほんの僅かに震えていた。
🇮🇹北「やった〜!!じゃあお風呂用意しとくね!」
🇮🇹南「布団も出さねーとだな、ったくバカ弟のせいで手間かけさせやがって」そう言いながらしっかり準備をしていた。
プロイセン「今日はとにかく寝てけよ、日本。マジで。今のお前、めっちゃ寝不足顔だぞ」
🇯🇵「……ふふ。そこまで言われると、返す言葉もございませんね」
ふわりと笑ったその表情は、今夜初めて、本当の微笑みに近いものだった。
数十分後。
イタリアの家の和風客間に、敷かれた布団が整っている。
日本は湯浴みを終え、まだ濡れた髪を拭きながら、ふと天井を見上げた。
🇯🇵(……今夜、帰らなくてよかったかもしれません)
孤独な帰り道のことを考えずに済む。それと同時に、
🇯🇵(しかし、もしこの腕の傷がバレてしまったら…)最悪な可能性が頭をよぎるがすぐに消して
🇯🇵(大丈夫です。きっと誤魔化せます。)そう思いながら風呂の部屋から出て、リビングへ向かっていった。
🇮🇹北「……日本、お風呂上がるの遅かったよね」
🇯🇵「ええ、少しだけ考え事を……」
🇮🇹北「そっか……あのさ、今日の日本どこか寂しいそうだったから……なんか、心配になっちゃってさ」
その言葉に、日本は小さく息を呑む。
🇯🇵「……寂しそう、ですか」
🇮🇹北「うん。」
時間が少しすぎていく。するとロマーノが
🇮🇹南「おい、バカ弟と日本。そろそろ寝るぞこのやろー」と言いながら日本を客室に案内する。
🇮🇹南「着いたぞこのやろー。おやすみなんだぞ…」🇮🇹北「じゃあ、おやすみなさい!」
静かに障子が閉まる。
その音の後、日本は初めて、深く息を吐いた。
(もしも、彼――アメリカさんも、今、どこかで誰かに「おやすみ」と言われていたら。少しは……救われているでしょうか。それとも、もう…)
仰向けのまま、目を閉じる。
アメリカの家には、静寂が満ちていた。
テレビもつけていない。音楽もない。
聞こえるのは、自分の吐く息と、壁時計の針が進む乾いた音だけ。
🇺🇸「…………」
電気もほとんどつけず、ただ、ベッドの縁に座っていた。
ぐったりとした姿勢で、ぼんやりと床を見つめる。
その視線の先には、捨てきれなかった刃と、開封された薬の瓶。
日本からもらった包帯と薬――それらも傍らに、無造作に置かれていた。
指先が震えている。
それは寒さのせいではなく、明らかな恐怖と衝動のせいだった。
🇺🇸「……やっぱり、だめだったな……」
震える声が漏れる。
頭の奥がじんじんと痛む。
薬のせいなのか、それとも何か別の、もっと深い痛みのせいなのかは、わからない。
(日本が言ってた。「包帯と消毒液はある。でもそれで救われるわけじゃない」って)
(その通りだ。こんなもので、何も解決しない……)
棚の上のスマホを手に取り、ロックを外す。
通知はもう消していた。
「心配してる」「返事をくれ」――そんな文字列に、反応する気力すらなかった。
指が勝手に動いてしまう。
包帯の端をほどき、乾ききっていない傷を見つめる。
赤黒くなった傷跡に、何かがこみ上げてくる。
🇺🇸「……ヒーローがこれって、最低だよな……」
しかし、心配されないようにと。「俺は大丈夫のんだぞ!」とメールに入れて放置する。
震える手で、小さな刃を掴む。
何度もやろうとして、何度も止めた。
でも今夜は、やけに――誰の声も届かない気がした。
🇺🇸「ごめんな、日本……」
さっきまでの“救い”が、もう届かない場所にあるようで。
まるで夢の中だったかのように、あの優しい言葉たちが、遠のいていく。
(どうせまた、明日が来るだけなんだ)
(俺の声は誰にも届かない。イギリスにも、フランスにも、カナダにも……)
(誰も……助けてなんて言える相手じゃない)
再び、刃が腕に触れようとした――その瞬間だった。
📱「……っ」
スマホが、小さく震えた。
画面には、カナダの名前。
🇨🇦《兄さん、起きてる?》
震える手で、スマホを取り上げる。
ほんの数秒前まで刃を握っていた手とは思えないくらい、躊躇して、恐る恐る。
【返信中……】と表示されるだけの画面を、じっと見つめた。
……そして、ようやく、短く打った。
🇺🇸《うん。起きてる。……どうした?》
すぐに、通話の着信が来た。アメリカは通話オンにする。
🇨🇦《いや、最近元気なさそうだったからさ、忙しかったよね》
その言葉は、あまりに穏やかで、優しくて。
だからこそ、痛かった。苦しいんだ、だけど
🇺🇸《……元気だよ。仕事も多いし、ちょっと疲れてるだけさ。ほら、ヒーローって忙しいからな★》
いつもの調子を、意識して乗せた。声だけは。でも、言葉が少し喉が詰まっていて、喉につっか掛かっていた。それがきっとバレている気がして仕方なかった。
🇨🇦《そう……?無理してない?》
🇺🇸《この俺が?してないって。ほんと、マシューは心配性だな〜。俺のこと、子ども扱いしすぎなんだぞー★》
言いながら、ふと刃に手を伸ばしかけていたことを思い出し、反射的に手を握る。
隠さなきゃ――とにかく隠さなきゃ。
日本にはそれでバレかけた。それ以上、誰にも知られてはいけない。そう、思う。思うしかないんだ。
🇨🇦《……それでも、兄さんの声、ちょっと元気ない気がするんだよね》
声の調子が、ほんの少し下がる。
カナダのこういうところ――誰かが嘘をついたときに、優しくそれを包み込むように問い直すその口調が、今はやけに刺さる。だから
🇺🇸《……大丈夫。大丈夫だから。マジで、マシュー。ちょっと寝不足なのかも。薬飲んで寝るよ》
その“薬”が、もらった睡眠薬であることを、あえて曖昧に伝えた。それが睡眠薬であるとも、自分の選んだ“逃げ道”であるとも、どちらともとれるように。アメリカは無意識のうちにそうしていた。無意識に助けを呼んでいたのに、助けられることもない。自分がそうしているから。