『今日23時に帰る』
『ご飯いらないから先寝てて』
数分前に届いていたメッセージに、キッチンで気がつく。まさしくそのご飯を今作っていたところだった。
ちゃんと連絡してくれていたのに気づかなかった俺が悪いけど、久しぶりに2人で食べられると思って舞い上がっていたから少し落ち込む。
『ハンバーグだったのに』
ため息と共にメッセージを打ち込んで送ると、案外すぐに既読がついた。
なのに、いつもならすぐに返ってくるはずのメッセージがなかなか来なくて、こんな感情丸出しの言葉でさすがに困らせてしまったかと少し後悔。
呆れられたかな、と緊張しながら返事を待っていると、突然鳴り響く着信音。勇斗からだった。
「もしもし、勇斗?」
「あ、ごめん仁人。せっかく作ってくれたのに」
「いや、全然大丈夫。俺もめんどいこと言ってごめん」
「めんどくねえよ、まじ仁人のハンバーグ食べたかった」
「作り置きしとくから明日食べよ、いっしょに」
「おう、楽しみにしとく。」
「そういえば、トイレットペーパーもうストック無かったよな?買って帰るわ」
「あぁ、ありがと助かる」
「…じゃ、そろそろ休憩終わるから切るな」
「そっか、がんばってね」
「ありがと、頑張る」
「じゃあ…」
「…あ、待って仁人」
「なに?」
「爆速で帰るからさ、風呂は待っててよ」
「え、……」
「じゃあな」
気がつけば通話は切られていて、耳には無機質な音が響いていた。
風呂は待ってて、なんて、…ばかはやと。
少し悶々としながら、1人分のハンバーグを焼いた。
コメント
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ねえええ、ほんとにめっちゃすき、なんでそんなめっちゃいい作品ばっかり書けるの!!!すき!!続き楽しみ!!!!!