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やっぱり似たもの同士の二人♡ 鉄壁女子の花梨ちゃんも柊さんの前では安心して自分をさらけ出していて、やっぱり二人はお似合いです💕 花梨ちゃん、🍷飲んでご機嫌で羽目外し過ぎてやっちまったなぁ…🤣🤣🤣Www
柊様 花梨ちゃんの寝顔を見ていてそのまましちゃったの?そんな事無いよね あまりに可愛くて抱きしめていただけだよね(#^.^#) それにしても二人似ているね 狙った獲物は逃さない‼️なんて 二人とも仕事以外も狙った獲物早く落としましょ🩷この後柊様が目覚めた後の会話が楽しみ😊
あら〜〜😆起きたらびっくり‼️ よほど楽しい時間だったかな💓💓 もう2人の会話に笑ってしまいました🤭🤭🤭
二人の会話は、デザートを食べ終えてもなお続いていた。
花梨はワインの酔いもあって、いつもより饒舌になっていた。
柊は話を聞き出すのがとても上手く、花梨は前の職場での仕事や私生活についてぺらぺらと話す。
それを聞いた柊がするどい突っ込みを入れるので、花梨がそれに答え、話はさらに盛り上がっていった。
「で、その客は結局どうしたんだ?」
「もちろん、物件を購入しましたよ」
「一億以上する物件をか?」
「はい」
「すごいな、入社一年目でか?」
「そうです。私は新人だろうが何だろうが、狙った獲物は絶対逃しませんから!」
花梨が得意げに言うと、柊は思わずクスッと笑った。
「えっ、 課長、なんでそこで笑うんですか?」
「いや……」
「気になるじゃないですか! 笑ってごまかすなんて卑怯です!」
花梨は酔うとしつこいようだ。
「ずいぶん絡んでくるな……飲ませ過ぎたか?」
「いいえ、これくらいで酔うような花梨様じゃありませんから」
花梨はとろんとした瞳で柊を睨むと、再び詰め寄る。
「だーかーらー、なんで笑ったんですか?」
「いや……俺と似ているなと思ってさ……」
「私が課長と? どこが似ているっていうんですか? あ、でも、私が課長と似ているってことは、もしかして私は『お姫様』ってこと?」
花梨はご満悦な様子で言った。
「なんでそうなるんだ?」
「だって、課長は『王子様』でしょう? だったら、女の私は『お姫様』になるじゃないですか!」
花梨はそう言って、キャハハと笑った。
(飲み過ぎると人格が変わるタイプか?)
柊はそう思いながら花梨に尋ねた。
「君は飲み過ぎるといつもこんななのか? いや違うな……会社の飲み会ではこんなじゃなかった……」
「課長ってバカなんですかぁ? 会社の飲み会では自重しているので、こんなになるわけないじゃないですかー! それがビジネスマナーってもんです!やだなぁもう!」
花梨はそう言ってケラケラと笑った。
酔っているとはいえ、部下に面と向かって『バカ』と言われた柊は、思わず苦笑いを浮かべた。
「ちょっと飲み過ぎだな。コーヒーをもう一杯頼もうか?」
「いりませーん! もうお腹いっぱいで飲めませーん!」
花梨はそう言ってあくびをした。
「そろそろ部屋に戻ろう。もう今にも目が閉じそうだ」
「眠い……、課長、急にすっごく眠いです」
「ほらほら、まだ寝るな、行くぞ」
「は~い」
花梨は目をこすりながら椅子から立ち上がった。しかし、立った瞬間、身体がグラッと揺れる。
慌てて柊が花梨を支えた。
「おっと……ほら、しっかり立って」
「は~い」
柊は今にも眠ってしまいそうな花梨を支えながら、レストランを後にした。
エレベーターへ向かう途中、花梨はロビーのソファを見つけて座り込む。
「おいおい、こんなところで寝るな」
「ねむーい」
「部屋へ行くぞ。ほら、立って」
「いやー、もう立てない……ここで寝るー」
駄々っ子のようにごねる花梨を見て、柊は困ったような表情を浮かべた。
「じゃあ、俺の背中に乗れ」
柊はしゃがんで花梨に背中を向ける。
「おんぶ?」
「そう。ほら、早く」
「わーい」
花梨はふらふらと立ち上がると、思いきり柊の背中に飛びついた。
その激しい勢いに、柊の身体がぐらりと傾く。
「おいおい、頼むからおとなしくしててくれよ」
「わかりましたー! 課長頑張れー!」
花梨はご機嫌な様子で、柊の肩に顔を埋めた。
エレベーターを下り、部屋の前に着いた時、柊の左肩から花梨の寝息が響いてきた。
「寝ちゃったのか?」
柊はそう呟いて微笑んだ。
(やれやれ、酒癖が悪いお嬢さんだな……)
そう思いながら、柊は花梨をベッドルームへ連れていき、そっとベッドの上に横たえた。
安らかな寝息を立てる花梨は、天使のようにあどけない表情をしていた。
柊はその寝顔を見つめながら、花梨の額にかかった髪を優しく撫で上げる。
その時、花梨が「ううんっ……」と眉をしかめながら寝返りを打った。
花梨の寝顔は、いつまで見ていても飽きない。
柊はベッドに腰を下ろすと、しばらくの間、その穏やかな寝顔を見つめていた。
翌朝、花梨は目を覚ました。
目を閉じたまま気だるげな様子で、うっすらと目を開ける。
そこへまず飛び込んできたのは、窓の外に広がる美しい紅葉の森だった。
(なんて綺麗なの……)
うっとりと紅葉を見つめていた花梨は、背後に温かな空気を感じて慌てて振り向いた。
するとそこには、花梨の肩に顎を乗せて熟睡している柊の寝顔があった。
(えっ、なにっ? ど、どういうこと?)
あまりの驚きに身体を硬直させた花梨は、焦った様子で必死に昨夜の記憶を思い出そうとした。
(えっと、昨日は現調で浜田様の別荘に行った後、ホテルに来て課長と食事をして……)
そこで、ふたたびハッとした。
(え? 食事の後どうしたの? まったく記憶がない…..)
焦った花梨は身体を起こそうとした。すると、ズキンと頭が痛んだ。
(もしかして、やっちゃった?)
急に現実に引き戻された花梨は、背後にぴたりとくっついて眠る柊を意識しながら、なんとかその身体から逃れようとした。
しかし、柊の両手は背後から花梨の腰に回っていて、簡単には抜け出せそうにもない。
(どうしよう……)
もしかしたら、これは夢かもしれないと思った花梨は、ドキドキする心臓の鼓動を抑えながら一度目を閉じる。そして再び、ゆっくりと目を開いた。
しかし、現実は何も変わっていなかったのでがっかりする。
この状況がまぎれもない事実だと知った花梨は、一気に血の気が失せた。
そして、布団の中の自分の状況を確認する。
(えっ! 下着しかつけてないっ、嘘っ! ということは、ま、まさか、しちゃったの? 課長と?)
昨夜の出来事をまったく思い出せない花梨は、青ざめたままその場でじっと息を潜めているしかなかった。