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天童進とマリー、フラムの3人―――
ギルドマスターより与えられた獣人の国クロヴィスの王族の救出―――
という依頼を果たすためリーヨンから転移ゲートを使いここ港街アクアマリノを訪れていた。
港町アクアマリノは、聖王国の領地に属しており、獣人の国クロヴィスの国境付近に位置している。
海に面しているため、クロヴィスのみならず、世界各地の国々とも貿易を盛んにおこなわれている。
数千キロ以上離れたリーヨンの属しているライラックの国とも交流が盛んにあり、この転移ゲートもその一つであった。
主な生産品として、新鮮な魚類や世界から輸入される絹糸や毛織物が市場に出回ることが多い。
さらに街の武具や道具屋には時折世界から取り寄せられる珍しい武具が並ぶこともある。
「ススムさん!見てください!」
「海ですよ!海!」
「私初めて見ました!」
ずっと森の中のロレーヌの村で育ってきたマリーは初めて見る海に大興奮していた。
「マリー君そんなにはしゃいだら他の観光客の人の迷惑になるよ。」
フラムさんが優しく注意を促すが、そんな言葉が全く耳に入らない程マリーは興奮が収まらなかった。
「ふむ確かに懐かしいほどの磯の香りだ。」
「地球にいた頃と海の景色はあまり変わらないみたいだな。」
「海なら調合や錬金の素材として使える物が豊富に採れるだろうな。」
進は、異世界に来てから初めて見る海が日本にいた頃とあまり変わらないことを確認する。
「ふ、二人とも・・・目的忘れてないかい?」
進とマリーの自由さに呆気を取られるフラムであった。
とりあえず、3人は街中を歩き、本日泊まる宿を探していた。
実際の獣人の国に潜入するのは明日以降と考えていたのである。
「ススムさん!ここのギガントクラーケンの串焼きとか美味しそうですよ!」
「確かに美味しそうだ」
進とマリーは露店で売り出されている食べ物に目をキラキラしながら眺めた。
「もう、しょうがないな。」
「お金は俺が出すから三人で食べよう」
フラムは3人分の串焼きを買い、進とマリーに手渡した。
「「ありがとうございます!」」
まぁススム君も年相応の少年なんだからたまにはこういうのもいいか。
フラムは、なかなか見ることのできない進の屈託のない笑顔に負けてしまった。
3人は美味しそうに食べ、満足しながら街の探索を続けた。
暫くすると、進は街の中心辺りある武具屋を発見した。
「フラムさん!マリーちょっと防具を見ていかないか?」
「オレの胴の胸当てやマリーの装備を買いたいと思っていたんだ。」
「確かに、もうウィッチの装備は使えないですし、でもお金は大丈夫ですか?」
「ワイバーンを大量に狩っただろ。」
「その素材を今日ここに来る前に売ってきて、金貨100枚になったからそれなりの武具は買えるはず。」
金貨100枚は日本円で100万に相当するかなりの大金である。
それを収納のスキルから取り出し、進たちはアクアマリノの武具屋に入っていった。