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#普通
野々さくら
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ありあ
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放課後の職員室。
狗頸学園で教師を務める高館宗太郎は、自分の席に座りながら、深いため息をついていた。
「はぁ〜・・・」
その声には、普段の彼からは感じられないほどの重苦しさが滲んでいる。
そんな宗太郎の様子に気づいた美月が、心配そうに声をかけた。
「随分と元気が無いみたいね?高館先生」
「あっ、赤迫先生・・・」
突然声をかけられ、宗太郎は慌てて顔を上げる。
「何かあったの?」
「いや・・・」
「何か悩み事?」
「いや・・それが・・・」
そこまで言いかけた宗太郎は、ふと何かを思い出したように美月を見た。
「あ!そう言えば、赤迫先生って
怪異探求倶楽部の顧問でしたよね?」
「ええ、まあ、そうだけど」
美月が答えると、宗太郎は少し迷いながらも口を開いた。
「実は・・・彼らに相談があって・・・」
「え?」
美月は意外そうに目を瞬かせる。
「もしかして心霊現象とか?」
「心霊現象かどうかはわからないんですけど」
宗太郎の歯切れの悪い返答に、美月はますます興味を引かれたようだった。
「とりあえず話してみてくれる?」
「話すと長いんですが・・・」
「いいわよ、もう放課後だし」
急かすことなくそう答える美月に、宗太郎はしばらく黙り込んだ。
どこから話すべきか、頭の中で整理しているのだろう。
やがて意を決したように、美月へ向き直る。
「実は──」
◇ ◇ ◇
翌日の昼休み。
怪異探求倶楽部の部室には、いつものメンバーが集まり、昼食を囲んでいた。
授業の合間の穏やかなひととき。
楽しげな談笑が続く中、さくらは朝陽の弁当を覗き込み、思わず頬を緩ませた。
「相変わらず朝陽くんの弁当可愛い」
弁当箱の中には、可愛らしいシロクマをかたどったおにぎりを中心に、色鮮やかなおかずが綺麗に詰められている。
その完成度の高さに、焔垂も感心したように頷いた。
「絹さんのクオリティ、相変わらず凄いな」
「ほんとそれ」
信愛も同意するように弁当を覗き込む。
そんな3人の反応に、朝陽はどこか照れくさそうに口を開いた。
「いや、実は今日は自分で・・・」
「うっそ!?まぢ!?」
朝陽が言い終えるより早く、茜が驚きの声を上げた。
信愛も目を丸くして、改めて弁当を見つめる。
「朝陽くん・・・これ自分で作ったの?」
「あはは・・まあ、はい。たまにはいいかなって」
朝陽は恥ずかしそうに笑った。
「お母さんが作ったキャラ弁を
ずっと見てきたんで、見よう見まねですけど」
「いや、凄いよ!」
信愛が素直に感心すると、朝陽は困ったように笑う。
「あはは・・・ありがとうございます」
すると、茜かが冗談交じりに提案した。
「トックティクに動画投稿してみたら?
『キャラ弁作る男子高校生』とか言ってさ」
「それいい!バズるかもね」
信愛が楽しそうに食いつく。
「いやぁ・・・僕なんて」
朝陽は照れくさそうに視線を逸らした。
「いや分かんないよ?」
さくらが楽しそうに身を乗り出す。
「あれよあれよと言う間に
レシピ本とか出す様になったりして」
「うんうん、有り得る有り得る」
信愛も笑顔で頷く。
しかし朝陽本人は、いまいち実感が湧かない様子だった。
「そうですかね?」
「今は何がバズるかわからないからな」
そう言われても、朝陽はまだ半信半疑といった表情を浮かべている。
そんな彼を見ながら、茜が指を折るようにして続けた。
「おじろくおばさの時の作詞の才能といい
キャラ弁の才能といい、朝陽くんは多才だよね」
「もうやめてくださいよ」
朝陽はますます居心地が悪そうに肩をすくめた。
「照れちゃいますから」
そして、誤魔化すように小さく笑う。
「あはは・・・」
その笑いにつられるように、部室には再び和やかな空気が広がっていった。
すると部室の扉が開き、美月が顔を覗かせた。
「みんな居る?」
「あ!美月ちゃん」
茜が真っ先に反応すると、信愛も美月へ顔を向ける。
「どうかしました?」
「実はね、ちょっとみんなに
頼みたい事があるのよね」
「頼みたい事?」
「なに?なに?」
さくらが興味津々といった様子で身を乗り出す。
すると美月は廊下へ振り返り、誰かを招き入れるように手招きした。
「さぁ、入って」
美月に促され、おずおずと部室へ入ってきたのは宗太郎だった。
「は、はい・・・」
「あ、高館先生」
信愛が驚いたように声を上げる。
「ああ、宗くんじゃ〜ん♬」
茜がいつもの調子で呼びかけた瞬間、美月がわざとらしく咳払いをした。
「ゴホン!ヴン!ヴン!」
「た、高館・・・先生」
慌てて言い直す茜に、焔垂が呆れたような視線を向ける。
「ったく・・お前は教師を
友達か何かと勘違いしてんのかよ」
「あはは・・・つい癖で」
悪びれる様子もなく笑う茜を横目に、信愛は改めて宗太郎へ視線を向けた。
「でも、なんで高館先生が?」
その問いに、宗太郎は少し気まずそうに頭を掻いた。
「実はみんなに頼み事があるのは
俺なんだよね・・・」
「高館先生が?」
朝陽が不思議そうに聞き返す。
先ほどまで和やかだった部室の空気が、ほんの少しだけ変わった。
コメント
1件
うわ、新章キター!高館先生がここまで思い詰めた様子なのは初めて見たかも。普段の和やかな部室の空気とのギャップが効いてるなあ。朝陽くんのキャラ弁エピソードでほっこりした後の展開だから、余計に「何があったんだ…?」って引き込まれる。先生をここまで悩ませる依頼、どんな怪異なんだろう。次話が待ち遠しい!