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すかいお~あ@毎日投稿&猫化?
けだま15号🍓🐾໊
【地方資料より抜粋】
霧の朝には
名前を呼ぶな
アヴォン・ナ・カイリン
娘の川
石は濡れて
足を取る
一人は石に
つまずいて
二人は霧に
道を失い
三人は水に
消えていく
———
四番の人は
川に帰る
川は名前を知っている
———
「失礼」
———
振り返る。
男が立っていた。
———
穏やかな顔立ちだった。
年齢は三十代半ばほどに見える。
———
「お待たせしました」
———
軽く頭を下げる。
———
「ユアンです」
———
その声は落ち着いており、
どこにも違和感はない。
———
「遠いところを、ありがとうございます」
———
笑みすらある。
———
私は、名乗り返す。
ホームズも、わずかにうなずく。
———
「村は静かでしょう」
ユアンが言う。
———
「ええ」
———
「何も起こらない場所です」
———
そう言って、彼は外に目を向ける。
———
遠くで、水の音がする。
———
「このあたりでは、よくあることです」
———
穏やかな声だった。
———
「どうぞ、こちらへ」
———
彼は歩き出す。
———
私は、わずかに遅れてついていく。
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