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「……声、か」
ずっと見ないようにしていたロイさんの瞳をチラッと見上げると、意地の悪い顔で微笑んでいる彼と目が合ってしまった。
「だってさ、芙弓。君の人形が聞きたいって。可愛く喘いでる声……もっと僕達に聞かせてよ」
「い、いやっ!はしたない、そんな!」
「んー、だってさ。強情な子だから困ったね。さて、どうしようか」
「そっか、分かった」
『彼』は私の背後でコクッと頷くと、私の腕を離すして太股を掴んで持ち上げた。
羞恥で頭がいっぱいになり、部屋中に響かんばかりの悲鳴をあげる。くの字の様に私の体が曲げられ、自分の脚の間にロイさんの高揚した顔が近づいて来た。そうかと思うと即座に表情が変わり、にまぁっと場違いな程に子供っぽい笑顔を浮かべ、私の秘部を指ですっと軽く撫でる。その程度の行為でも容易く甘い声をこぼしそうになり、私は恥ずかしさからギュッと瞼を強く閉じて唇を噛んだ。
「ふーん……。コレは案外簡単に可愛い声をあげさせる事が出来そうだね」だ なんて、可愛い笑顔を浮かべながら言われ、不覚にもその可愛さに胸の奥がキュンッとしてしまう。
「脚はそのままね」
「了解」
完全に意気投合してしまっている彼等はそう言いながら、私の部屋着のズボンに手をかけ、それを脱がす。
「右の方、一回離して。次こっちね」
「こうかい?」
「うん、そう」
『彼』が手を離した隙にズボンを下ろし、ロイさんがそれを引っ張っている。連携しておこなわれるせいで抵抗する隙がまるで無い。
「だっ、ダメ!何を考えて——」
文句を言い終わる前にすっかりズボンも下着も脱がされ、私は一糸まとわぬ姿になってしまった。
恥かしさであがる悲鳴。そんな私をロイさんは、にまぁとした、なんとも言い難い顔で暫く見詰めたかと思ったら、口元を右手で押さえて顔を逸らした。
「……しゃ、写真撮りたい……」
ボソッと呟くロイさんの声を聞き逃さなかった私は「絶対に殺す!!」と叫び、ボロボロ涙を流しながらも怒りを露にする。人生で一番の殺意が今胸の中に宿った。
「馬鹿だな、そういう事は黙ってやらないと」
フォローにも何にもならない一言を『彼』は言うと、私の首に軽いキスをしてきた。耳に『彼』の柔らかい髪が当たって少しくすぐったい。
「そうだったね、僕としたことが失念していたよ」
「え、ヤダ……ホント許して、そんなっ」
「ふふ……冗談だよ、冗談。あー……でも、半分くらいはね。今は自分の衝動を優先したい気分だから、冗談って事の方にしておいてあげる」
衝動とやらのおかげで写真に撮られるという最悪の事態は免れたが、卑猥なポーズをとらされているという事実からは逃げられた訳ではない。細々と抵抗は続けてはいるものの、力強く押さえられていては非力な私ではどうにもならず、易々と完全に露出されている秘部にロイさんの指が触れる事を許してしまった。彼の白い指先が少し入っただけで、ぬちゃっという水音が微かに聞え、身体が震える。
(な、何で?無理矢理されてるっていうのに)
自分の体の反応なのに理由がわからない。
「ちゃんと濡れてるね。芙弓はココを自分でも触った事ある?ねえ、ねえ」
意地の悪い質問をしながら、ロイさんが薄い和毛の部分をそっと指の背で下から上へと撫でていく。
いちいち問いになど答える余裕の無い私は、ただ黙って、色々な意味を込めながら必死に首を横に動かした。
「そっか、それは嬉しいな。じゃあ、全部僕が初めてなんだね?ココに触るのは」
ロイさんは優しく微笑むと「じゃあ、優しくしてあげないとね。……最初くらいは」と言って離し、自分の中指を私に魅せつける様にして舐め始た。厚みのある紅い舌が彼の肌の上で淫靡に動き、長く美しい指先を濡らしてその指を淫猥なものへと変化させていく。きめ細かな肌に唾液が十分に絡むと、ロイさんは妖艶な笑みを浮かべ、私の秘部のナカにその指をゆっくり沈めて一旦止まった。
「んあぁぁっ!い……ッ」
鈍い痛みが下腹部に走ったが、知識の上だけで勝手に想像していた程の痛みは無く、少しだけ安堵の息をつく。
「動かすよ、いい?」
その問いに対し私は当然異を唱えるつもりでいたのだが、彼がこちらの答えを聞く前に指をゆるりと動かし始めたせいで言葉には出来なかった。
「あ、あぁっ」と、短い声が私の口から零れ出るのを嬉しく思っているのか、背後に居る『彼』が私の甘い吐息を恍惚とした様子で聴き入っているのが雰囲気でわかる。その喜びを刻みたいかの様に『彼』は私の肌に強い力で吸い付くと、赤い印をそこかしこに残し始めた。
「うん。白い肌に紅色の花弁がよく似合うね」
ぬちゅぬちゅっと音をたてながら濡れそぼる膣を優しく愛撫していたロイさんが、嬉しそうに微笑む。行為とは反する爽やかささえ感じるその笑みに、淫靡な気持ちになりつつある自分が、酷く下種な生き物の様な気持ちになってきた。
鈍い痛みすらもう無く、長い指が膣壁を撫でる感触を心地よく感じてしまう事がものすごく悔しい。劣情を体現する水音は大きさを増し、零れ出ている蜜の量の多さを嫌でも私に知らしめる。その蜜は膣やロイさんの指を濡らすだけでは済まず、ベッドの上にもドロッと零れ落ちた。
ずっと毛嫌いしてきた行為なのに、自分の体が喜んでしまっている事実が私の心を強く締め付け、その悔しさから唇をキツく咬んだ。
「血が出てるよ?唇は強く咬まないで。ココが痛いのなら、もっと優しくしてあげるから」
ロイさんが左手でそっと頬を撫でると、名残惜しそうにその手を離し、私の秘部の方へ端正な顔を沈めていった。
「な、何を——」
私がロイさんの行動に戸惑いっていると、顔を無理矢理横に向けさせられ、『彼』が自ら咬み傷を作ってしまった私の唇を、癒すかの様に舐める。唇の方に気を取られている間に、ロイさんがグショグショに濡れる秘部を舌でペロリと舐めた瞬間、指とは違う、酷く熱い感触に驚き「ひっ!」と短い悲鳴をあげて背を反らした。
指で紅い木の実にも似た肉芽を擦りながら、柔らかな舌が痴情に濡れる陰裂の上を嬉しそうに這う。止めどなく溢れ出る蜜とロイさんの唾液が混じり合い、それらの絡んだ長い指がナカに戻って来て膣壁をも弄ぶ。指では奥を、熱い舌では膣口とを丹念に弄られ続けていると、腰の辺りにヘンな疼きを感じた。
「腰、動いてるね。気持ちいいんだ?」
少し血のにじむ唇を舐めていた『彼』が嬉しそうに囁く。
(うそ……ありえない、そんな……)
思いは言葉にならず、ただただ私の口からは意味の無い音だけが出る。荒い吐息を整える事が出来ぬまま力なく首を横に振ると、『彼』が「嘘つきは、お仕置きされるんだよ?」と言いながら私の耳を少し強めに咬んできた。
「そういえばね、快楽と痛みを同時に与え続けると、痛みにすら快楽を感じるようになるって聞いた 事があるんだ」と言ったのは人形の『彼』だ。
「試してみたくなるよね。まぁ、最初くらいは普通にしてあげるけど」
意地の悪い声でロイさんがそう言うと、私の秘部から指をゆっくりと抜き取り、膝をついて座った。 そして、ベルトをカチャカチャと小さな金属音をたてながら外し、恍惚とした表情で己の滾るモノを、穿いているズボンの中から引きずり出した。
「——っ!?」
初めて見る勃起した雄を前にして言葉が出なかった。先走りに濡れるソレは、夕闇で既にもう薄暗いさの方が勝っている部屋の中でも目を惹き、視線を反らす事が出来ない。激しく反返った自らの根元近くをロイさんが軽く掴むと、蜜に濡れる私の秘部にソレを押し当ててきた。ドクドクと波打つソレはとても熱く、硬く、秘部を擦られるだけで私の意に反して淫口がヒクついてしまう。まるで本能的にソレを欲しているかのようで、心とは相反する体の反応に、私の瞳からポツリと涙が零れ落ちた。
「……嫌かい?僕と繋がるのは。やっぱり、気持ち悪い?」
口をへの字にしてコクコクッと頷くと、途端にロイさんの表情が切なそうなものへと変わった。
その表情にチクッと心に針の刺さったような痛みを感じ、複雑な気分になった。快楽に溺れる怖さはあるが、体の奥に感じる疼きもどうにかしたい衝動も感じる。
でも、それをハッキリとロイさんに伝えるには私達の関係はあまりにも曖昧で、『もう此処まできてしまったのだから、いっそ本能に流されてしまおうか』という様な気持ちにはどうしてもなれなかった。