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僕は知っている。
この世界はずっと同じ日を繰り返しているということを…
「なあなあ、今日は部活さぼんね?」
「いいねぇ、ラーメンでも食い行くか。」
男子2人組は昨日と同じ内容を喋っている。
こんなことを言っているのはたまたまなのではないか、とも最初には思った。
でも、”3回目”からは流石に違和感を感じていたのだ。
変わることのない話の内容、先生の授業、そしてパターン化した皆の行動…
疑いようのない事実だろう。
昨日まではまったく同じことを繰り返していた僕も今日は別のことをしようと考えている。
「…久しぶりに部活行ってみるか…。」
僕は荷物を持って、部室に向けて歩き出す。
オカルト部の部室って確か…
ここだ…
ガラガラ
「失礼します…。」
「あれ…!?新庄くん!」
部室の机に座っている先輩、”川口 真凜”は僕を見ると驚いたように反応した。
「お、お久しぶりです…川口先輩。」
「もう〜、そんなかたくなんないでよー!
久しぶりの部員で嬉しいんだから!」
俺以外も最近来てなかったのか…
まあ、部員のほとんどが幽霊部員だしな。
荷物を置いて、先輩としばらく談笑したのち、
さっそく、本題に入る。
「あの…先輩、もし1日がずっとループしてるとしたら、何が原因だと思いますか?」
そう言うと、先輩はピタっと動きを止めて興味深そうに目を輝かせる。
「なになに!?その面白そうな話題!!」
「いや、例えばの話っすよ。」
「うーん…どうだろう?テンプレだと、その日したこととかが主な原因になるんだろうけど…でも、いきなりそんなこと聞いてどうしたの?」
「…いや、何でもないっす。ありがとうございます。」
その日したこと…か…
特に変わりがあったわけではない、ただその日をいつものように過ごしただけだ。
その後も何のヒントも得られないまま、僕は大人しく帰路に着いた。
何かヒントが得られないか、と今日はいつもの帰り道とは別の道を歩くことにした。
「…とはいっても何も起こらないよな。」
そう言いながら、いつもは見ない交差点に差し掛かったときーー
チリン チリン
「!!」
視線を鈴のなる方向に向けると、鈴がついている首輪をつけた黒猫がいた。
「めずらしいな…ほら、こっちおいで。」
黒猫に手を伸ばして撫でようとする。
だが、そのとき、僕はその行動ではなく、自分のいる”場所”に違和感を覚えた。
「……あれ………俺…ここに来たことあーー
ズキ
「…ぐぁ!?頭が……う……」
意識を何とか保とうとするも、それも無駄に終わり、だんだん目が閉じていく。
最後に目に映ったのは、視界を横切る黒猫の姿だけだった。