テラーノベル
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ひとしきり彼女の視線を受け止めた後、怜は顎に手をかけると上を向かせ、奏の唇を奪う。
「んっ……」
今まで怜と交わしたキスの中でも、特に激しさと熱さを纏わせたキス。
全てを食らい尽くしてしまうのではないか、と思うほどの貪るような口付け。
怜の舌がヌルリと奏の口腔内に入り込んできた。
小さな後頭部を筋張った手で押さえられ、妖艶に蠢く彼の舌は奏の歯列と舌を攻め立てていく。
「っ……ううぅっ…………んっ」
重なり合った唇から奏でられる水音が大きく響き始め、彼女の唇は彼の唾液で艶やかさを帯びている。
吐息を微かに弾ませ、奏の唇を堪能する怜は、余裕を失っているように思えた。
気を失ってしまいそうになるほど長く交わされるキスに、奏の身体は骨の髄まで砕けてしまいそうになる。
奏を抱き起こした際、滑らかな身体を支えていた強い腕は、細く括れた腰と背中を妖しく撫で回している。
唇を離すと銀糸が繋がり、怜の口周りがキスで混ざり合った液体でベトついていた。
互いの唇がすぐに触れ合いそうな距離で、怜は奏に煽られるかのように、急言で吐息混じりに呟く。
「ダメだ……奏に触れたくて堪らない……」
唇を塞ぎながら、若干荒々しく奏をベットに横たわせると、露わになった白皙の首筋に顔を埋めた。
形の綺麗な怜の唇と舌が這いずり回り、無骨な手が奏の美乳を揉みしだく。
「ああぁっ……っ…………んあぁっ」
奏の声が色を滲ませながら唇から零れると、首筋に顔を埋めていた怜は、デコルテ、双丘へと唇を伝わせ、頂に佇む尖端を舐めしゃぶった。
「んんっ…………はうっ……あっ……」
「奏……」
奏が如何わしい声を上げるたびに、怜は膨らみ揉み上げながら、二つの小さな果肉を舌先で転がし、吸い上げる。
いつしか時間は正午を過ぎ、強い日差しがカーテンの隙間から差し込み、寝室が仄かに明るさを帯びていた。
こんな明るい時間に、上半身を晒したまま抱きしめ合い、怜のされるがままの状態に、奏の表情は恍惚に歪んでいた。
薄紅の唇はうっすらと開き、艶麗な表情を浮かべながら色を含ませた息遣いと声を上げる。
意志が強いと言われる黒い瞳は、怜が与える愉悦でトロンとしている。
好きな男に肌を触れられ、唇を奪われ、奏は初めて味わう官能の渦に吸い込まれていくように感じた。
(怜さんに抱かれたら……私、どうなっちゃうんだろう……?)
愛撫だけで、心も身体もこんなにドロドロになっているのだ。
そこから先、自分がどうなってしまうのか、奏は想像もつかない。
気が付けば、怜は色白の上半身の至る所に、肌を強く吸い上げている。
時折チクリと若干痛む感触に、奏は身体を小さく震わせた。
「奏……」
怜が耳朶に囁くと、欲情を孕ませた眼差しで奏を見つめる。
「奏は、俺だけの女。絶対に誰にも……渡さない……!」
彼は自分自身に誓うかのように言葉を放ち、華奢な身体を強く抱きしめ、白磁の首筋に顔を寄せる。
「怜さ……ん…………好き……」
奏の不器用ながらに伝えた告白を耳にした怜は、抱きしめる腕に、更に力を込め、唇を奪った。
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