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翌日、朝の日差しで目が覚める。起き上がろうとした時、何故か身体がいうことを聞かない。起き上がりたいと思っているはずなのに、なぜかベッドから出れなかった。
(高校…、行かなきゃなのに…っ。)
私はそう思いながら布団の中から動かずに、ただただ昨日の事を振り返った。その時、心臓がきゅっと縮こまった。怖いという感情で身体が震えてしまう。別にパーソンの行動が怖かったわけではない。なのにどうして。
(私、高校が怖くなっちゃったんだ…。 )
私は自分の手のひらを上げた。視界には細かく震える自分の手が映る。その時、ドアをノックする音。私はなんとかベッドから起き上がり、ドアを開けた。そこには、いつも通りスワンがいた。
「朝食ができました。マリー様。」
「…わかりました。3分後に行きます。」
私はそう言ってドアを閉め、ベッドに丸くうずくまる。行きたくない。行きたくない。
「本日の朝食は焼き魚、白米、味噌汁、キュウリとタコの酢の物です。」
「いただきます。」
まずは焼き魚を一口、そして白米を二口…。何故だろう。味がしない。噛んでも噛んでも白米の甘い味や焼き魚の新鮮な味が出てこない。
「…御馳走さまでした。」
「もうよろしいのですか?」
「ごめんなさい。あまり食欲がないみたいです。」
「そうですか。」
そう言ってお皿を下げる。私は自室に行くため、重たい足を動かした。自室のドアを開け、ベッドにダイブすると、ふかふかのベッドが私の全身を柔らかく包む。
(どうしよう…、瞼が………。)
目を開け、起き上がると、そこには父が座っていた。
「起きたか。」
「えっ、お、お父様!?」
時計を確認すると、なんと午後の6時過ぎだった。
「す、すみませんっ!今日、こ、高校っ…!」
私が慌てた様子でいると、父がくすっと笑った。
「今日は休日だぞ。マリー。」
「え?」
私は壁に飾られたカレンダーに目を向けるすると、今日の日付が青字で書かれていた。
「ほ、本当だ…。」
「随分疲れていたんだな。」
そう言って、父の大きな手が私の頭に置かれる。
「しっかり休みなさい。」
「は、はい。ありがとうございます…。」
そう言うと、父は部屋から出ていった。
(嘘、今日休日だったの?)
私はベッドから起き上がり、カレンダーを再確認した。今日は●月✕日。確認すると、やっぱり青字で書かれている。私は安心してため息を吐いた。
「明日も行かなくていいんだ。」
夕食の時間になり、スワンから食卓に来るように言われる。階段を素早く降り、机の上を見ると、そこにはバターチキンカレーとナンが置かれていた。
「いただきます。」
まず最初に口にしたのはバターチキンカレー。まず始めにカレーをスプーンですくい、鼻に少し近づける。手であおぐように匂いを嗅ぐと、シナモンとコリアンダーの匂いがほのかに香る。そして一口飲むと、ぴりっとした辛さが舌を優しく刺激する。このカレーにナンをつけて食べると、ナンの柔らかい甘味とカレーのぴりっとした辛味が私を虜にする。
「御馳走様でしたっ。」
昨日の恐怖や不安を忘れるくらい、素敵な夕食になった。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。