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すかいお~あ@毎日投稿&猫化?
けだま15号🍓🐾໊
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【ワトソンの回想 3】
駅を出ると、道はすぐに細くなった。
舗装はされているが、
人の往来は多くない。
———
石の家が並んでいる。
どれも古い。
手入れはされているが、
新しくはない。
———
歩きながら、いくつかの家を見た。
違いが見つからない。
窓の位置も、
壁の高さも、
ほとんど同じに見える。
———
風土のせいかもしれない。
そう思った。
だが、
それだけでは説明がつかない気もした。
———
数人がこちらを見る。
すぐに視線を外す。
声はない。
挨拶もない。
———
「静かだな」
私が言う。
———
「そうだな」
ホームズは短く答える。
———
それ以上は続かない。
———
遠くで、音がした。
水の流れる音だ。
———
ここまで来ると、はっきりと聞こえる。
止まることなく、続いている。
———
「聞こえるか」
ホームズが言う。
———
「川か」
———
「それだけではない」
———
私は耳を澄ます。
水の音の向こうに、
何かがあるような気がした。
だが、
確かめることはできない。
———
教会の尖塔が見えた。
村の中心にあるのだろう。
———
その方向へ歩く。
誰も声をかけてこない。
誰も近づいてこない。
———
ただ、
見られている。
———
理由はわからない。
———
ホームズが足を止める。
———
「どうした」
———
「少し早いな」
———
「何がだ」
———
彼は答えない。
———
再び歩き出す。
———
川の音は、変わらない。
少しも。