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化け物に対し、自衛隊が動いた事によって化け物の存在は世界中に大きく知れ渡る事になった。他国は日本の海域に海軍の艦船を送るようになり、日本の国際的秩序は乱れ始めていた。
東京都 渋谷区
化け物が消息を断って約1週間が経過した。東京都知事は東京都全区に警備網を張り、都民の生命と安全の確保に最善を尽くしていた。
日本国立研究所
国立研究所に東京都知事が招かれていた。数人の研究者たちは知事をある部屋に連れていく。
「私に見せたいと言う物は?」
「こちらです。」
研究者の1人がスイッチを押すと、壁の厳重なシャッターが解放される。シャッターの奥には、防弾ケースに入れられた片足があった。
「これは……」
「警察の対物ライフル弾によって吹き飛ばされた化け物の片足です。現場にありましたので国立研究所に持ってきました。」
「…やつは…細胞をくっ付けて再生するのではなかったのか…?」
研究者の1人は片足に近ずきながら言葉を続ける。
「恐らくは、対物ライフル弾の威力が予想以上に強力で、数個の細胞の破壊に成功したのだと思います。」
「…なるほど…つまり、対物ライフル弾は有効なのか…」
「いぇ。そうとも限りません。この片足の細胞のDNAを元に化け物の生態図を制作したのですが…」
研究者はレントゲン写真のような図を知事に見せる。
「これは…ここが頭か?」
「はい。その通りです。」
「まて…なぜ…なぜ脳がない…」
レントゲンの生態図の頭部には脳らしき細胞はなく眼球でいっぱいだった。
「分かりません…しかし、脊髄は確認できました。恐らくは…この脊髄が脳の役割を果たしているのだと思います…」
「脊髄…?まて…つまり、あいつの動きが素早かったのは…」
「はい。恐らくは脊髄反射を行っていたのだと思います。」
脊髄反射とは、脳が指示をしなくとも脊髄が指示をして素早く危険なものから身体を遠ざける一種の人体の現象である。例えるなら、熱湯の入ったやかんに手が触れた時、素早く手を離すことがあるだろう。あれを脊髄反射という。
「脊髄反射を利用していると言うことは…人間の何倍の速度で識別、及び判断を行い行動すると言うことです…」
「それは……」
「もし、その化け物が学習能力を持ち合わせていたのなら…もしかしたら銃火器が通用しなくなるかも知れません…」
「人知を超えた完全生物ってわけか…だが、そんな生物がなぜ急に…エイリアンだとでも言うのか?」
知事の疑問に研究者は応じる。研究者はアイパッドの資料を知事の前に提示する。
「これは……?」
「この化け物のDNA物質の種類です。DNA内に人間と同じDNA物質が複数見つかっています。これほど人間のDNAを持っていると言うことは…… 」
「”元”は人間って事か…?」
「はい。恐らくは……」
知事はフンッとため息を付き腕を組む。
「一体…誰がこんな事を……」
「……まぁいい。私はこれから化け物の再度出現に向けて東京都内の警備網を強化する。この国立研究所はその片足を元に化け物の情報を形成し東京都庁及び内閣組織に提示してくれ。」
「わ、分かりました。」