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### 第一話: 出会いといじめ
小学生のひよりは、内気な性格で、歌うことが大好きだった。しかし、彼女の歌声はクラスメイトたちに理解されず、からかわれたり、いじめられたりすることが多かった。休み時間には一人で校庭の隅に座り、そっと歌を口ずさむひより。その姿は寂しそうで、クラスメイトたちにとっては格好の標的だった。
「また歌ってるよ、ひより!」誰かが叫ぶと、周りの子たちが嘲笑を始める。「変な声!」と心無い言葉を投げかけられ、ひよりはますます自分に自信を失っていく。どうして自分だけがこんな目に遭うのだろうと、ひよりは心の中で泣いていた。
そんなある日、新学期が始まり、ひなたという新しい転校生がクラスにやってきた。ひなたは明るくて社交的な性格で、瞬く間にクラスの人気者になった。初めてクラス全体に向かって自己紹介をするひなたに、みんなが興味津々だった。
「よろしくね、みんな!」ひなたの笑顔は太陽のように明るく、その声は教室中に響き渡った。でも、ひよりはあまり関心を示さず、窓の外をぼんやりと眺めていた。自分とは関係のない世界の出来事だと感じていたからだ。
しかし、ひなたは違った。昼休みのある日、ひよりがまた一人で歌っているのを見つけ、「ねぇ、君、名前は?」と話しかけてきた。驚いたひよりは、一瞬戸惑いながらも「ひ、ひより」と小さな声で答えた。
「ひより、君の歌声、すごく素敵だね!」その言葉にひよりは驚いた。今まで他人から褒められることなんてなかったからだ。「ほんとに?」と半信半疑で聞き返すと、「うん、本当に!私は君が歌っているのを聞くのが大好きだよ!」とひなたは無邪気に微笑んだ。
その瞬間、ひよりの心に小さな火が灯った。初めて自分を肯定してくれる存在に出会ったからだ。それからというもの、ひなたは毎日ひよりと一緒に過ごし、彼女を常に励まし続けた。ひなたのおかげで、ひよりは少しずつ自分に自信を持つようになり、歌うことの楽しさを再び感じるようになった。
そんなある日、校庭でいじめっ子たちが再びひよりをからかっている場面に遭遇したひなたは、毅然とした態度で立ち向かった。「彼女の歌声のどこが悪いの?素敵な声だと思わない?」と強気で問い詰めるひなたに、いじめっ子たちは驚きつつも退散した。その出来事は、ひよりの心に大きな勇気を与えた。
これをきっかけに、ひよりはひなたとの友情を深め、その明るさと優しさに触れながら、自分ももっと強くなりたいと願うようになる。そして、ひなたの存在がひよりにとって最も大切なものになるのであった。